ミニ・レビュー
全10曲中3曲がTV絡みか…とまあ、それはさておき、一時期のメディア舞い上がりブームも沈静化の方向とは御同慶の至り。これで再び、音楽のことだけ考えていればいい生活に戻れそう。というわけで、どことなく肩の力が抜けて気が楽になった姿が見える。
収録曲
01自由への翼
夢を叶えるために旅立つ恋人を寛大な心で送り出す応援ソング。離ればなれになることは辛いが、それでも気丈に最大限のエールを送る姿が実に感動的。16ビートを刻む軽快なブラシ・サウンドは、2人を元気づけているかのよう。
02HOZHO GOH (ホジョンゴ)
インディアンの儀式をイメージした、ユニークなカントリー風ナンバー。乾いた大地と人々に水を呼ぶ祈りのような歌で、ポリリズミックなメロディが特徴的。賑やかな雰囲気を演出しているフィドルやマンドリンにも注目。
03真夏の夜の夢
04この愛にふりむいて
ジャジィなギター・フレーズで始まる、R&B風の落ち着いたナンバー。長い月日を経ても別れた恋人が忘れられないという、切ない恋歌。ユーミンのヴォーカルとその合間を縫うソプラノ・サックスが実にセクシー。
05XYZING XYZING
怪し気なベースで始まるスリリングなナンバー。自分を狼に喩え、2つの意味で“あなた”を求めるという歌で、セクシャルな表現と大人の色気に満ちた妖艶なヴォーカルが魅力。タイトルは“ズィングズィング”と発音するようだ。
0611月のエイプリルフール
ダンサブルな極上ポップ・チューン。別れの言葉を告げる恋人に対し冗談だろうと笑ってうなずいてしまうというユニークな設定。サウンドがあまりにも軽快でシャレているため、聴き手は結局冗談だったと信じたくなってしまう。
07只今最前線突破中
恋を戦闘に喩えたユニークなポップ・ナンバー。最高に魅力的な人が現われたが、先に相手に告白させようと目論む。その様子を英語と日本語を巧みに織りまぜてリズミカルに表現。ギターのカッティングが心地良くグルーヴしている。
08Angel Cryin' X'mas
軽快なロック・ナンバー。独りで塞ぎ込まないでクラブに出向いて恋をしようと、ひたすら鼓舞し続けるクリスマス・ソング。イントロから長めのソロに至るまでロック・ギターが全開で、クリスマスの厳粛さとは無縁なサウンドでおもしろい。
09July
ドラマティックな展開が魅力のスペクタクル・チューン。7月の日本の美しい自然を描写する一方で生命の神秘を問うユーミンの死生観に基づいた歌詞と、重厚なエンディングに至るまでの一貫した叙情的メロディが魅力。
10二人のパイレーツ (album version)
アルバム『U-miz』のエンディングを飾る、安らぎのバラード・ナンバー。恋人をパイレーツに喩え、2人だけの思い出と愛を綴る。ピアノ伴奏を基本にしているので、ユーミンの情感豊かなヴォーカルが堪能できる。