ミニ・レビュー
最初の頃は可愛い手作りボーイズ・ポップスをやっていたバンドがブレイクをきっかけに大化けする様が静かな感動を呼んだ、シャ乱QのシングルA面コレクション。(11)のアレンジのエグさに彼らの成長が見られる。
収録曲
0118ヶ月
92年7月発表のデビュー・シングル曲。とことん明るいポップ・ナンバーで、アクのない、やや不安定気味なつんくのヴォーカルが実に若々しい。別れた後に恋人が抱えていた寂しさに気付くという後悔の歌だ。
02ラーメン大好き小池さんの唄
デビューのきっかけとなったNHK-BSのバンド登竜門番組でグランプリを受賞したナンバー。スリリングなAメロと痛快なサビのギャップが味わいどころ。ひみつのアッコちゃんの「すきすきソング」を彷彿とさせる。
03とってもメリーゴーランド
2ndシングル曲。好きな女性になかなか告白できないウブな男の子の恋心を描いたポップ・ロック・チューン。1stアルバムの制作を経験したためか、デビュー曲に比べてつんくのヴォーカルが格段に上達している。
04友達はいますか
華麗なコーラスで幕を開ける3rdシングル曲。圧倒的な存在感を放つヴォーカルから祭りの要素を取り入れた斬新なアレンジまで、すべての面でレベル・アップを果たした会心作。デビュー1年弱でのこれだけの成長には脱帽だ。
05上・京・物・語
「時として 恋人の 二人には 愛の深さ計る事件があり」と、恋人を残して上京する男心を歌った曲。全編にわたって要所要所で叩かれるピアノのメロディと、食い違うお互いの気持ちを表現した歌詞が切ない一曲。
06恋をするだけ無駄なんて
歌謡曲風のポップ・ナンバー。先の展開が予想できるほどベタなメロディだが、恋人との別れをテーマにしたありがちな歌詞にはよくマッチしている。ベタでも感情を込めて歌い、自分の世界を築き上げるつんくは賞賛に値する。
07シングルベッド
“シャ乱Q”という名前を世間に知らしめた名曲。アコギのイントロ、しっとりとしたメロ、下積み時代を思わせる純粋な歌詞。派手だった見た目とのギャップも面白い、つんくの色っぽいヴォーカルが映えたラヴ・ソング。
08ズルい女
ファンキーなサックスとフロント3人のそろったダンスが印象的な名曲。愛しい恋人のために尽くしたのに、誕生日に放っておかれて終わる恋をファンクにのせるあたり、「バイバイ」とは言いつつも未練もあるし、強がってしまう意地が垣間見える。
09空を見なよ
フォーキーなアレンジと伸びやかなメロディに、空を仰ぎ見ずにはいられない。つんくの粘っこい声より俺のほうが爽やかだぜ、と思ったらカラオケにGO! 誰でも歌えるキャッチーさが魅力のナンバー。
10マイ・ベイブ君が眠るまで
つんく作詞作曲の9thシングル曲。楽曲の土台は常套的な展開だが、緩急のあるメロディの完成度はきわめて高い。“君が先に眠るまでもったいないから起きてる”というフレーズに彼の独特のポップ・センスが感じられる。
11いいわけ
イジケた男の正直な言い訳を綴る重めのポップ・ロック・ナンバー。恋愛における男女の立場を短い言葉で的確に表現したサビ後半の歌詞が実につんくらしい。メロディは一度聴けば覚えてしまうほどキャッチーだ。