ミニ・レビュー
注目のデイヴ・リー・ロスを加えた、オリジナル・ヴァン・ヘイレンが11年ぶりに吹き込んだ新曲(17)(18)を含む初のベスト盤。過去のヒット曲と代表曲が年代順に並べられていて、彼らの18年間にわたるレコーディング・キャリアの総括的回顧作品集といえる内容だ。
収録曲
01暗闇の爆撃機
エドワード・ヴァン・ヘイレンの超絶ギター・プレイを詰め込んだ1分42秒のインストゥルメンタル…というよりも、ギター・ソロ・チューンという方が的確か。タッピング・プレイをはじめ、ギター・フリークには悶絶のテクニックの連続だ!
02叶わぬ賭け
イントロのアルペジオがなんとも印象的なハード・ロック・チューン。楽曲の骨子は驚くほどシンプルだが、ノリのいいヴォーカル、メロディアスに切り込んでくるギター・ソロが、緩急自在のドラマ性を生み出している。
03悪魔のハイウェイ
ヘヴィなギター・リフが特色のミディアム・ナンバー。ヴォーカルのメロディは意外にキャッチーでサビも覚えやすいが、豪快に割り込んでくるギター・ソロは強烈にハード・ロックを主張している。
04踊り明かそう
カウベルに導かれてスタートするファンキーなナンバー。デヴィッド・リー・ロスのヴォーカルもキャッチーで、オールディーズ風のコーラス・ワークも心地良い。テクニカルに組み立てられているバッキングのギターなどは、やはりハード・ロッキンだ。
05ロックン・ロール・ベイビー
フランジャーを効かせたギター・イントロがヘヴィなインパクトを放つ、まったりしたロックン・ロール・チューン。タッピングからジャジィなブレイクを挟み、さらに弾きまくるというギター・ソロも聴きどころのひとつだ。
06アンチェインド
ソリッドなリフを持つハード・ロック・チューン。自在に暴れまわるギターの上で、ヴォーカルがさらに自由に歌いまくる。キャッチーでノリの良いサビも印象的だが、コンパクトながらテクニカルなギター・ソロもまた壮絶。
07ジャンプ
これまでカヴァー曲でしかヒットを飛ばせていなかった彼らが、初めて記録した自作曲ヒット(84年)にして初の全米1位曲。しかも5週連続。超絶ギターで有名なこの曲だが、キーボードが大胆にフィーチャーされているのもミソ。
08パナマ
ファンキーでノリの良いギター・リフを持ったロックン・ロール・ナンバー。まるで語りかけているかのようなデイヴィッド・リー・ロスのヴォーカルが印象的だが、エディ・ヴァン・ヘイレンのギター・ソロも負けじと歌うようにメロディアスだ。
09ホット・フォー・ティーチャー
10ホワイ・キャント・ディス・ビー・ラヴ
ヘヴィかつキャッチーなリフを持ったブギーのノリのロックンロール・チューン。シンセサイザーによる無機的な音像の上に乗る、力強く伸びやかな声のサミー・ヘイガーがエモーショナルに歌い上げている。
11ドリームス
優美なイントロからキャッチーなシンセ・リフが弾け、ポップで爽快な曲調の中にも勇壮なメロディが映える、ダイナミックな名曲中の名曲。力強く歌い上げるサミー・ヘイガーのヴォーカルは、もはや感動的ですらある。
12ホエン・イッツ・ラヴ
優しくムーディなイントロを持つメロディアスでポップなナンバー。柔らかなシンセ・リフとジェントルなコーラスはいかにも80年代風。しかしその上に乗るサミー・ヘイガーのヴォーカルは実にパワフルで、時代に左右されない魅力が感じられる。
13パウンドケーキ
電動ドリルを使ったエンジン音を思わせるイントロが印象的なナンバー。サミー・ヘイガー期のヴァン・ヘイレンのシングル曲としてはかなりヘヴィな仕上がりで、エディ・ヴァン・ヘイレンも思う存分ギターを弾きまくっている。
14ライト・ナウ
ソリッドでクールなピアノがイントロから楽曲を引っ張る、ドラマティックでプログレッシヴなムードも持ったナンバー。サミー・ヘイガーのエモーショナルなヴォーカルが、重厚なドラマ性をさらに盛り立てている。
15キャント・ストップ・ラヴィン・ユー
タイトなリズムとパワフルなヴォーカル、爽やかさとハードネスが見事に一体となった、アメリカン・ロックを体現したナンバー。メロディアスでエモーショナルなヴォーカルも、まさに“王道”だ。
16ヒューマンズ・ビーイング
ハードなギター・ワークが全面的に配されたヘヴィでラフなナンバー。96年という時代に即したダークでアグレッシヴな曲調はなんともユニーク。エフェクトをかけたヴォーカルも、意表をついた作風だ。
17キャント・ゲット・ディス・スタッフ・ノー・モア (ラジオ・エディット)ア
18ミー・ワイズ・マジック
ギターのアルペジオから静かにスタートし、ヘヴィでダークに展開する、グルーヴィかつムーディなナンバー。85年に脱退したデヴィッド・リー・ロスが10余年ぶりに復帰して、ベスト・アルバムに提供したスペシャルな楽曲でもある。