ミニ・レビュー
やってくれました。やっぱり夏はサザンだぜ! とお決まりの文句をどうしても言ってしまうような、サービス精神にあふれた豪華2枚組。一家に一枚のベスト盤だ。今までのサザンの功績がいかに大きいか、なんてことは忘れて、笑って泣いて楽しくやりましょ!
ガイドコメント
デビュー20周年記念として98年に発表されたベスト・アルバム。「勝手にシンドバッド」「いとしのエリー」をはじめ、代表曲を2枚組に収録。“夏といえばサザン”といわれる彼ららしい、燦々とした明るさに満ちている。
収録曲
[Disc 1]〈SEA SIDE〉
01勝手にシンドバッド
「砂まじりの茅ヶ崎〜」など、ポップス史上に残る名フレーズがちりばめられたサザンのデビュー曲。寝てる人にバケツの水をぶっかけるような超ハイテンションなメロディと歌詞は何度聴いても斬新。
02いとしのエリー
一世を風靡したTVドラマ『ふぞろいの林檎たち』の主題歌で、サザンオールスターズのファンにとっては“聖域”とも言える、邦楽史に残る名曲。レイ・チャールズもカヴァーした、こみ上げ系サザン・ソウルだ!
03C調言葉に御用心
洗練された歌謡曲で、サザン初期の大ヒット曲。歌詞の“C調”とは“調子いい”という意味で、桑田佳祐お得意のHな歌詞が満載だが、さすがにセンスが良く、清々しさすら感じさせる。
04栞 (しおり)のテーマ
サザンオールスターズのメロウ・チューン・サイドでは最右翼とも呼べる、腰も砕ける名バラード。スウィート・ソウル・シンガー、桑田佳祐のセクシーでアツーイ熱唱もたまらない。
05いなせなロコモーション
ライヴではおなじみのノリノリ曲で「勝手にシンドバット」と並ぶ陽性サザンの名曲だが、なぜかどのアルバムにも収録されていない貴重なシングル曲。「貴方とドリス・デイ〜」など歌詞も秀逸。
06夏をあきらめて
ご存知、研ナオコの代表的名唱で知られるサザン・クラシックス。その切ない歌謡メロディはすでにスタンダードの域。有名なフレーズ「熱めのお茶を飲み意味深なシャワーで〜」はスチャダラパーも引用している。
07チャコの海岸物語
サザン初期の大ヒット曲。チャコとは「ルイジアナ・ママ」などの米国製ポップスを日本語で歌ったポップス歌手、飯田久彦の愛称。言うまでもなく昭和歌謡曲に対する深い造詣と、ただならぬ愛情が生んだメロディだ。
08匂艶 (にじいろ)THE NIGHT CLUB
09鎌倉物語
2枚組の超大作アルバム『KAMAKURA』に収録された言わずと知れた名曲。リード・ヴォーカルはもちろん原由子で、彼女の柔らかい声とともに、曲を構成するすべてのフレーズが永遠の輝きを放っている。
10Bye Bye My Love (U are the one)
“湘南御母堂”といった造語まで飛び出す、桑田佳祐の才気ほとばしる歌詞、狂おしいほどポップな演奏など、根強い人気にも納得。数あるサザンのレパートリーの中でも唯一無二のクールな存在感を残す名曲だ。
11ミス・ブランニュー・デイ
ファッションや流行に流される当時の社会に警鐘を鳴らしたメッセージ・ソングだが、21世紀の現代にも通じるところが凄い。痛烈な言葉の数々でも、やたらとリズミカルでポップに響く。
12海
まるで、海のそよ風のような美メロが、70年代シティ・ポップ度全開のアレンジで展開する珠玉の名曲。シングルで出す予定だったが、直前になって「ミス・ブランニューデイ」に変更となったのは有名な話。
13みんなのうた
歴史的な名盤といわれる2枚組の超大作『KAMAKURA』のリリース以降、約3年間活動を停止していたサザンが88年に発表した復活第1弾シングル。ライヴでは手を上げて左右に振るのがお約束。
14希望の轍
桑田佳祐の初監督映画『稲村ジェーン』のために書き下ろされた曲で、劇中でもオート三輪“ミゼット”を象徴する曲として印象的に使用されていた。イントロの“ヘイ!”のシャウトはコンサートでも定番になっている。
15忘れられたBig Wave
ビーチ・ボーイズを意識したという絶品のハーモニーが聴けるドゥ・ワップ曲で、エヴァーグリーンな輝きに満ちたナンバー。サビの「瞳を閉じて〜」の部分では、ついつい瞳を閉じて聴き入ってしまう。
[Disc 2]〈SUNNY SIDE〉
01真夏の果実
桑田佳祐がインスピレーションの源である自身の聖地“稲村ヶ崎”をありったけの愛で描いた映画『稲村ジェーン』の主題歌として90年の夏を彩った名曲。「四六時中も好きと言って〜」は邦楽史に残る名唱。
02YOU
アルバム『Southern All Stars』に収録され、彼らの楽曲群の中で1位2位を争う人気曲。秀逸なサビメロ「I Remember You〜」が流れる瞬間の「待ってました!」感がたまらない!
03シュラバ★ラ★バンバ
04涙のキッス
カラオケ・ボックスが普及した90年代初頭、街のあちこちで男たちが熱唱したサザン・クラシックスのひとつ。小林武史が関わった渋いアレンジも秀逸で、イントロのフレーズから目頭が熱くなる。
05さよならベイビー
こんなにも切なく、ヒリヒリとした痛みすら伴う大人のラヴ・ソングが、イケイケ・ムービーの大定番“ホイチョイ・プロダクション”の看板映画『彼女が水着に着替えたら』の主題歌だったという事実にビックリ!
06エロティカ・セブン
常盤貴子が風俗嬢を演じ、衝撃的なヌードを披露した伝説のTVドラマ『悪魔のKISS』の主題歌。ドラマの内容にリンクした妖艶なメロディと歌詞の世界は、毎度のことながらスレスレのエロさ!
07素敵なパーティー (NO NO BIRDY)
まるでセピア色の写真のような、切なくも清々しいメロディに涙腺をやられるバラード。当時シングル盤は「エロティカ・セブン」と同時発売され、対照的な曲として、際立った魅力を放っていた。
08そんなヒロシに騙されて
70年代に活躍したアイドル、高田みづえによるカヴァーも有名なナンバー。サザンの初期らしいグループ・サウンズ風なアレンジが懐かしい。ライヴでも定番となっている息の長い人気曲。
09マンピーのG★SPOT
口に出すのも恥ずかしいスレスレのタイトルを、公共の電波でマスコミに読ませたことが何ともロック! ライヴでは桑田佳祐が必ずヅラを被り、全員で“G★SPOT”を連呼するのがお約束。よく考えるとすごい。
10あなただけを〜Summer Heartbreak
細部のコーラス部分まで練りに練られた、鉄壁のウォール・オブ・サウンド! 感動的なほど作り込まれたドリーミーなアレンジに対して、桑田佳祐のヴォーカルはあくまでソウルフル。「真夏の果実」級の傑作曲です。
11Moon Light Lover
12太陽は罪な奴
ギターが王道のロック・バッキングを刻み、燦々と輝く太陽のようなメロディが乗れば、もう誰も真似できない桑田佳祐の独壇場。すこぶるタイトにキマるオケも気持ち良さ全開で、たまらなくハッピーな一曲。
13恋のジャック・ナイフ
まるでユーロビートのような、ハイ・テンションなイントロが有名なナンバー。とにかくサザンの王道を行くお祭り騒ぎのパーティ・チューンだが、歌詞の奥深さもにも耳を奪われる。
14愛の言霊 (ことだま)〜Spiritual Message
幻想的な和的情緒とディスコ・サウンドが合体したポップ・チューン。サザンには珍しい曲調ながらシングル盤は大ヒットを記録。原由子のお囃子から、桑田佳祐のラップまで飛び出すアイディアの洪水に驚かされる。
15平和の琉歌