ミニ・レビュー
彼らの2nd、3rd、4thアルバム。マイケル・マクドナルドが参加する以前の、サンフランシスコ湾岸地域で名を馳せていたころの作品だ。曲の多くは“ロック人種讃歌”で、'70年代前期のロックの有り様がわかる。激しいリズム・ギターと独得のハーモニーが見事。
ガイドコメント
70年代初頭に起きたルーツ回帰のムーヴメントの核をなした彼らの出世作で、72年発表のセカンド・アルバム。代表曲「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」「希望の光」収録。
収録曲
01LISTEN TO THE MUSIC
ジョンストン主導の出世作。ツイン・ギターとツイン・ドラムスが揃い、さらにビル・ペインのキーボードも加わったドゥービーズ・サウンドの最初の完成形が聴ける。気持ちよく乾いたグルーヴもドゥービーズならでは。全米チャート11位のヒットを記録。
02ROCKIN' DOWN THE HIGHWAY
ジョンストン主導による初期の名曲。「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」以上にダイナミックなドゥービーズ・サウンドが堪能できる。快調に突っ走るこのドライヴ感はドゥービーズだけの専売特許だ。タイランのベースとペインのピアノが効いている。
03MAMALOI
シモンズ主導のフォーキーなバラード。「ジャマイカに帰らなきゃ」と歌っている通り、カリビアンなテイストのパーティ・ソング。カリプソ風味のパーカッシヴなサウンドが心地よい。ジョンストンの作風とは異なるものの、開放感と躍動感は両者に共通している。
04TOULOUSE STREET
シモンズ主導のアルバム・タイトル曲。アコースティック・ギターとヴォーカル・ハーモニーをフィーチャーした美しいフォーク・バラード。ニューオリンズの街をモチーフにした歌だが、夢の中で当地を再訪しているかのような、幻想的なタッチが魅力的。
05COTTON MOUTH
シールズ&クロフツが書いた“毒ヘビ”ソングのカヴァー。ホーン・セクションをフィーチャーしたR&B調のサウンドに乗って、米国南部を舞台にした奇妙な歌の世界が楽しめる。間奏のソロも含めて、アコギの効果的な使い方がドゥービーズらしい。
06DON'T START ME TO TALKIN'
サニー・ボーイ・ウィリアムスンのブルース・クラシックをカヴァー。ホーン・セクションをフィーチャーしたシャッフル・ビートのブルース・ロックが堪能できる。ドゥービーズならではのダイナミックな演奏で、ギター・ソロもたっぷりと楽しめる初期の名演。
07JESUS IS JUST ALRIGHT
アート・レイノルズ・シンガーズのゴスペル・ソングをカヴァー。ドゥービーズらしい大胆なアレンジによるもので、彼らのオリジナルに近い独特のサウンドが楽しめる。ザ・バーズのヴァージョンと比較しても、こちらのほうが上。
08WHITE SUN
ジョンストン主導のフォーク・バラード。アコースティック・ギターにエレキ・ギターが絡む心地よい演奏をバックに、ジョンストンが大自然の景観を朗々と歌い上げ、シモンズのハーモニーがサポートする。1stアルバム収録曲に近いフォーキーな佳作。
09DISCIPLE
ツイン・リード・ギターをフィーチャーしたジョンストン主導のブルース・ロック。もちろんギター・ソロも楽しめるが、メロディを大切にしたプレイが目立ち、2本のギターでのユニゾンなどの絡みも多い。ドラムスとコンガを使ったリズム・セクションの工夫も面白い。
10SNAKE MAN
ジョンストンが歌うフォーク・ブルース。アコースティック・ギターの弾き語りで、しつこい蛇男や裏庭の黒鷲が登場する気味の悪いブルースを歌う。ドラムスが入ってきて、これから面白くなるのだろうかと思ったら、1分半であっけなくフェイド・アウト。