ミニ・レビュー
B面集。カヴァーというより、ほとんどカラオケ状態で熱唱される(7)には大笑い。「ジョン・レノンのように歌いてェずら」と言わんばかりのこの態度が、ギャラガー兄弟を理解する鍵なのでは。煽るだけ煽ってなんの責任も取らない解説はいかがなものか。
ガイドコメント
このラインナップはもはや通常のベスト・アルバムとな〜んにも変わりません。だってライヴでもよくプレイされる曲ばかりだもん。B−SIDEこそオアシスの美学がある! 秀逸なナンバーばかり!
収録曲
01ACQUIESCE
オアシス初の全英No.1シングルのB面。リアムとノエルの初の掛け合いデュエット曲でもある本作は、“自分の中で眠っている何かを信じ、呼び醒ましたい”という詞が青い炎のような内側の熱を想像させるナンバー。
02UNDERNEATH THE SKY
オアシスにも英国ロック特有の陰りがしっかりと備わっているんだなぁ、と妙に感心してしまうシブい曲。それなのに、リアムは最後の最後で「ンニャ!!」と歌ってみせ、築いたムードを自ら破壊。それもまた魅力ではある。
03TALK TONIGHT
ノエルお気に入りの弾き語りナンバー。哀しげな曲調と孤独感でいっぱいの歌詞がファンの間でも高い人気。バックではどうにも気だるげなハンド・クラップが鳴り続けているが、これがまた得がたい味わいを生んでいる。
04GOING NOWHERE
デビュー作『オアシス』のジャケットに写ったバート・バカラックのポスターの意味に気づかされる流麗なポップス。ピアノ、ブラス、ホーンを加えながら、オアシスらしからぬ少々お行儀のよいプレイを展開している。
05FADE AWAY
子供の頃に見る夢はいつか消えてしまう、だから見られるうちに見ておけ、と助言する人生訓的ナンバー。ポップでパンクな曲調に、思わずバズコックスを連想する人もいそう。キャッチーでライヴ映えする人気曲。
06THE SWAMP SONG
彼らの師匠ポール・ウェラーがギターとハーモニカで参加した、文字どおりスワンピーなセッション・ナンバー。師匠の熱演に興奮したノエルが、曲名を「ザ・ジャム」にしようと提案するも、つれない師匠は無下に却下。
07I AM THE WALRUS
ビートルズ・カヴァーのライヴ音源。土台となる音源はシングル版と同じだが、ここでは8分弱の音源を6分半に縮めて収録。シングルでは“意図的に”誤記されていた録音場所・時期も、“正確な情報”へと修正されている。
08LISTEN UP
イントロが自分たちの曲「スーパーソニック」にそっくりなロック・ナンバー。それほどギターに自信があるとは思えないノエルの長いソロ、キーが高くてたびたび裏返りかけるリアムの歌など、他の曲では味わえない魅力が。
09ROCKIN'CHAIR
ノエルがマンチェスターに住んでいた頃の想い出を綴ったメランコリックな曲。別れた恋人のことなど個人的な痛みが歌われている曲のせいか、ライヴではまず演奏されない。アコースティック・ギターの音が切ない名曲だ。
10HALF THE WORLD AWAY
全米ツアー中にテキサスで録音されたノエルの弾き語りナンバー。歌詞がずいぶん凹んだ内容になっているのは、全米ツアー中に散々な目に遭ったせい。ポール・ウェラーは、これがオアシスの曲ではいちばん好きだそう。
11(IT'S GOOD) TO BE FREE
「人間やめますか」状態の疑惑もあった94年の全米ツアーでのノエル。そんな彼のヤバい精神状態が歌詞に垣間見える雰囲気の重いロック・ナンバー。最後に流れる呑気なアコーディオンがどうにか雰囲気を和ませている。
12STAY YOUNG
「ディグジーズ・ダイナー」、「シーズ・エレクトリック」系の軽やか&爽やかなギター・ポップ。「自分ってもんをわきまえてる」と歌詞では繰り返されるが、彼らの生活態度を知る者すべてが「ウソ言え」と思ったはず。
13HEADSHRINKER
オアシスの曲の中でもダントツのスピード感を誇る、パンクでロックな人気曲。最大の聴きものは、ノエルのパンカーぶりがやんちゃに炸裂する高速ギター・ソロ。ローリング・ストーンズの曲を倍速で演じているような曲だ。
14THE MASTERPLAN
“ソングライター”ノエルの会心作。人生は当事者にこそ理解できないもの、なぜならその人自身が人生の一部分だから、と深く語る歌詞。加えて憂いあるメロディ、哀愁漂うストリングスと最高の素材が集結。これぞ名曲だ。