ミニ・レビュー
やっぱりいい曲がたくさんあったよなあ、と痛感させるかなり豪華なヒット・セレクション。懐かしさに浸るもよし、魅力を再確認するもよし。企画盤とはいえ、こうした作品によって、一世を風靡した彼女たちのバンド魂が語り継がれていくことを望みたい。
ガイドコメント
80〜90年代のロックシーンはもちろん、ガールポップ・ブームを巻き起こした“プリプリ”のベスト・ボックスが発売! 売り上げの多かった10曲+隠れた名曲全15曲を収録!
収録曲
01世界でいちばん熱い夏 (平成レコーディング)
02GET CRAZY!
恋に火がついた女ってのは、最強、無敵、そしてロックだ。聴けばイヤでもそれを思い知る、強烈アッパーなブギー・ナンバー。渋いヴィンテージ・テイストに、ところどころ甘さを効かせる絶妙なサウンドはプリプリならでは。
03DIAMONDS (ダイアモンド)
彼女たちの代表作。これぞバンド・サウンド!という曲である。バンドでコピーするのにはお薦め。“子供に戻ってやり直したい夜もたまにあるけど”という切ない歌詞が登場する。
04M
シングルA面曲ではないが、J-POPファンなら誰もが知っている名曲。ピアノとヴォーカルだけで始まり、徐々に音が重なって盛り上がっていく。“消せないアドレス”という言葉が胸を打つ。
05OH YEAH!
前シングル「ダイアモンド」で大ブレイクを果たしたその勢いに拍車を掛けた、威勢のいいロック・チューン。とりわけ、富田の豪快なドラミングはかなりの迫力。底抜けに陽気なブラス・アレンジは巨匠・笹路正徳によるもの。
06ジュリアン
当時恋をしていた中山は、伝えられない想いをノートに書き連ねていた。本作はそこから生まれた、言わば切ない恋の美しき結晶。「M」と肩を並べる、珠玉のラブ・バラードだ。ちなみに、“ジュリアン”は中山の愛猫の名前から。
07KISS
“まぶたを閉じて、息をととのえて”。キスを待つ女の子のトキメキを綴った、キュートなポップ・チューン。言葉より強い愛のしるし、それが“KISS”。大切な人と、もっともっと触れ合いたくなる、ハート・ウォーミングな名曲だ。
08HIGHWAY STAR
同名タイトルなので、ディープ・パープルのカヴァーに挑むか!? と思ったら大間違い。流れるハイウェイの風景とあふれ出す恋のトキメキを絡めた、これぞ王道プリプリ・サウンドというべき、爽やかなポップ・チューン。決して走り屋の歌ではないぞ。
09SEVEN YEARS AFTER
“あなたに逢えてよかった”……。辛い別れが時を経て、大らかな感謝の気持ちへと浄化していく爽快なポップ・チューン。突き抜けたプリプリ節は、まさに雲ひとつない大空のごとし。女としての器のデカさを改めて思い知る、圧巻の12thシングル。
10パイロットになりたくて
“グッタリでガタガタのポンコツ車!”そんなどん底のアタシが、ヤケクソ交じりに自分を鼓舞する、ブリティッシュ・ビート調の強烈なロック・ナンバー。奥居がロック・ヴォーカリストとしての力量を見せつけている。
11POWER
愛する人に、会いたくて、会いたくて、走り出さずにはいられない! そんなはちきれんばかりの衝動を描いた感動、感涙のハード・ロック・チューン。ひたむきな想いを乗せたサビの絶唱は、紛れもなく本物の恋を知っている人の歌声だ。
12REGRET
“なぜ私、許せなかったの?”ちょっとしたいさかいが、取り返しのつかないすれ違いになってしまうのは、男女の常。別れた“あの人”の今を思い、そして別れた己の後悔を綴るポップ・チューン。リアルな心の描写が、やけにほろ苦い。
13だからハニー
1年7ヵ月ぶりの16thシングルは、TBSドラマ『ダブルキッチン』とのタイアップ。古き良きアメリカン・ポップスを思わせるスタンダードなアレンジに、夢見る新妻のごとく、とろけるリリックを乗せた、超スウィートなポップ・チューン!
14Birthday Song
キュートなコーラス・ワークが映える、ガール・ポップなバースデイ・ソング。“大好きなあなた”が生まれてきたことへの感謝の歌ともいえよう。人は、人を愛するために生まれてきたんだよなって、素直に思えてしまう、素朴な名曲。
15Fly Baby Fly
95年10月20日の解散宣言の翌日に発表された20thシングル。恋の終わりから旅立つさまと5人の新たな船出を重ね合わせた、有終の美に相応しい爽快なポップ・チューン。迷いのない疾走するサウンドには終わりを惜しむ寂寥感など一切ない。