ミニ・レビュー
デビュー当時の爆風スランプは結構好きでマメにライヴを観に行ったものだが、こんな感じだったっけ……。もっと面白かった気がするんだがもともとまじめな青春ガンバリズム・バンドだったのか。でも、どこかで((6)〜(8)あたり?)何かが変わっちゃったんだよなぁ。
ガイドコメント
85年のデビュー以来数々のシングルヒットを送り出した彼らの初シングル・コレクション。なんとファン重視のアンケートによる選曲で収録曲が決定したという驚きのアルバム。
収録曲
01週刊東京「少女A」
84年のデビューを飾った軽快な8ビート・ロック。田舎に住む少女が毎週日曜に東京へ遊びに行くというチャーミングな歌。“雷おこしはうまい”やバック・コーラスの合いの手“イェイェ”など、ユーモアあふれる1曲。
02うわさに、なりたい
ハンド・クラップに合わせた合唱で始まる軽快なロックンロール・ナンバー。ひたすら“うわさになりたい”と叫ぶパーティ・チューン。終盤はシンプル過ぎるサビを延々と繰り返すが、こういう曲がライヴでは盛り上がる。
03無理だ! 決定盤 (YOU CAN NOT DO THAT)
完全おちゃらけコミック・ソング。軽快なファンキー・ロック・サウンドに乗せて“カメのふっきん”など、無理をテーマにした冗談を連発。中盤には“ベストテンには出られない”といったバンドの不平も飛び出す。
04ヤシの木かげ
派手なブラス隊を大々的にフィーチャーしたファンク・ポップ。別れた恋人を思い出す淡く切ない青春の歌で、サンプラザ中野のストレートな歌唱が爽やかに響きわたる。江川ほーじんのイカしたスラップ・ベースにも注目。
05まっくろけ
ファンキー末吉(ds)が作曲した明るいロック・ナンバー。“学歴がない”“お金がない”と貧乏庶民の苦境をもらす歌詞だが、サンプラザ中野の歯切れの良い歌唱が深刻さを感じさせないどころか、前向きにさえ聴こえる。
06愛がいそいでる
愛しい“君”に会いに行く様子を綴ったシンプルなミディアム・バラード。飾り気のない純粋な愛を感じさせるサンプラザ中野の素朴な歌声や楽曲に潤いを与えるハーモニカが魅力。作曲はベテラン作曲家の中崎英也。
07ひどく暑かった日のラヴソング
初デートを思い起こす青春回顧ロック。一部“ごめんね 泣いたね”といった切ないフレーズもあるが、サウンドがきわめて軽快な上、パンチの効いたサンプラザ中野のヴォーカルも元気いっぱいなので、悲しい印象はまったくなし。
08Runner
爆風スランプを一躍有名にした大ヒット・シングル。当時のバンド・ブームを象徴するかのようにキャッチーなサウンドは、軽い印象ながら聴き込むと実はヘヴィ。ヴォーカル/サンプラザ中野による詞は純文学の味わいだ。
09月光
パッパラー河合(g)作曲のグルーヴィなファンク・ロック。ホテルの廊下や夜の動物園で交わした熱いキスを想起する甘酸っぱいラブ・ソング。89年発表のシングル曲で、前年の「Runner」に引き続きヒットした。
10リゾ・ラバ-resort lovers-
「Runner」に次ぐ代表曲として知られるロック・ナンバー。夏のビーチや冬のゲレンデで出会った女性との甘い恋はすべて嘘っぱちだと一蹴する、広義での失恋ソング。純粋ゆえに傷つくヤワな男心を見事に表現している。
11大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い
「Runner」で大ヒットを記録した爆風スランプの、切ないバラード・ナンバー。ペンフレンドに恋し、貯金をはたきチケットを送る。約束の日本武道館(=玉ねぎ)での情景を切り取った、悲しい純愛が美しい。
12涙2 (LOVEヴァージョン)
前奏から歌謡テイストがみなぎるアップ・テンポの失恋ロック。「Runner」にも通じるキャッチーなサビのメロディが魅力で、爆風の代表曲のひとつとされている。しかしサンプラザ中野の歌詞にはよくキスが登場する??
13さよなら文明
TVアニメ『ツヨシしっかりしなさい』の主題歌となった軽快なポップ・ロック。“おなら”の連呼やぺギー・マーチのヒット曲「アイ・ウィル・フォロー・ヒム」のメロディを取り入れたサビが賑やかで楽しい。
14神話 (リミックス・ヴァージョン)
幻想的なイントロで始まる8ビート・ロック。遠い過去から宇宙まで、時空を超えたスケールの大きい愛がテーマ。「Runner」や「リゾ・ラバ-resort lovers-」同様、ファンキー末吉(ds)の作る楽曲にはいい曲が多い。
15旅人よ〜The Longest Journey
キャッチーな冒頭から一気に聴き手の心を捕らえる王道ポップ・ロック・チューン。漠然と“君”を求めながら風に立ち向かう姿や前奏でギターがサビのメロディを奏でるなど、「Runner」を彷彿とさせる名曲だ。
16天使の涙 (アルバム・ヴァージョン)
厳かなオーケストラをサンプリングしたようなイントロが印象的なポップ・ロック。神様や天使の存在を感じながらギリギリの毎日を懸命に生き抜く勇敢な姿が綴られる。サンプラザ中野の力強いヴォーカルが実にリアルに響く。
17暖かい日々
“君”の面影を絶って傷付いた心から立ち直ろうとする男の失恋ソング。Aメロでの穏やかな歌唱から情感あふれるサビまで、サンプラザ中野のヴォーカルが一際映えている。認知度は高くないが、なかなかの名曲だ。