ミニ・レビュー
その容姿からは予想できない、芯のあるロックな歌声にまずびっくりさせられる。歌い方も、ヘヴィな恋愛の詞も、一番近いキャラクターは、最近なら椎名林檎だろう。そして自分の世界をしっかり持っているだけに、どの曲もパワフルだ。
ガイドコメント
メジャー・デビュー・シングル「あした」と、セカンド・マキシ・シングル「ナキ・ムシ」を収録した女性ヴォーカリストの初フル・アルバム。
収録曲
01オレンジな満月
触れた瞬間から、心が弾む気持ちへ押し上げてくれる楽曲だ。aiko自身の歌声も、甘えっぷりな声色も見せつつ、楽しげに旋律の上を駆けめぐっていく。無条件に気持ちを弾ませてくれる、その前向きな表情が嬉しい。
02ジェット
ジェット機が飛び立つ音も折り込みつつ、好きな人が側にいればきっと私は飛べると、ポジティヴな恋心を明るく表現。とてもロックな躍動性を持った、気持ちを前へ前へと押し上げていく高揚系ナンバーだ。
03私生活
ソウルフルな声色から幕をあけていく、この歌。aiko自身の艶やかな歌声が、楽曲自体へ不思議な色気を与えていく。恋のためなら理性を脱ぎ捨て野性的になれる。そんな艶かな女性像に、ドキッとしてしまう。
04歌姫
泣いても叫んでも届かない恋心……だけど吐き出さないことには、自分の心まで壊れてしまう。「好き」という感情を胸の内に抱えた切ない女心を、アコースティックな音に乗せ、気持ちの揺れ動くままに唄いあげていく。
05赤い靴
06イジワルな天使よ、世界を笑え!
ファンキーなロック・ナンバーに乗せ、高らかに想いを歌いあげてゆくaiko。明日世界が終わっても後悔しないよう、今をもっと好きになっていきたい。女性の恋する想いを力強く歌いあげた、aiko流恋愛宣言歌。
07恋墜ちる時
今にも壊れそうな歌声を、抑揚たっぷりに這わせていくaiko。恋に堕ちた瞬間の切ない気持ちを、アンニュイな表情を通し描きあげていく。どこか後味を引く楽曲というのも、この歌が持つ女心を具現化しているようだ。
08夏にマフラー
二人で寄り添いあうからこそ感じられる、暖かさや温もり。そんな嬉しいまどろみの表情を、愛しき人と寄り添うあう=マフラーと表現。言葉のはしばしから伝わる彼女の想いへ、思わずニヤリと共感してしまう。
09ボブ
10ナキ・ムシ
恋に不器用な私だけど……あなたに拒否されようが、この想いを全身でぶつけていきたい。好きになったら止められない気持ちを、安穏と揺れる歌声に乗せ綴れ織っていく。ほのかに甘くもビターな香りを残す楽曲だ。
11あした