ミニ・レビュー
サンタナには失礼だが、最近の拾いものの一枚として愛聴させていただいている。エリック・クラプトン、ローリン・ヒル、デイヴ・マシューズら多彩なゲスト陣が、各自持ち味を生かし、往年のアフロ・キューバン・サウンドに溌剌と現代感覚をもたらした。
ガイドコメント
デビュー30周年を迎えたサンタナのアリスタ移籍第1弾アルバム。円熟しつつも新たな魅力にあふれたギターは言うにおよばず、ミック・ジャガーやローリン・ヒルなどの豪華ゲスト陣も見逃せない。
収録曲
01(DE LE) YALEO
99年型サンタナ流ラテン・ロック。もはやラテン云々とも言い難いほどミクスチャーは進行しているが、ラテン・パーカッションを派手に駆使したロックだから、そう呼ぶしかない。ヴォーカル・パートも楽しいが、ギター・ソロもたっぷりと聴けるインスト・パートも充実。
02LOVE OF MYSELF
デイヴ・マシューズとの共作・共演曲。ソリッドなファンク・ビートに乗って、デイヴがあの独特の声でメロウに歌い、カルロスのギターもあの音色で歌う。後半は一気にラテン・ロック化し、カルロスのギターがノンストップで歌いまくる怒涛の展開に突入する。
03PUT YOUR LIGHTS ON
元ハウス・オブ・ペインのエヴァーラストとの共演曲。エヴァーラストの曲をサンタナが料理したら……という趣向だが、両者の個性が共存したサウンドに仕上がっている。ここでもギターを巧みに泣かせるカルロスはコンガなどパーカッション類も担当している。
04AFRICA BAMBA
スパニッシュ・タッチのアコギから始まるアフリカの歌。カルロスがスペイン語で歌い、アコギとエレキ・ギターを弾いている。彼のヴォーカルも魅力的だが、エモーショナルなギター・ソロも素晴らしい。アルバムの中では地味な存在だろうが、隠れた佳作。
05SMOOTH
マッチボックス・トゥエンティーのロブ・トーマスとの共演曲。官能的なマンボ・ビートに乗って、ロブがセクシーなヴォーカルを披露し、カルロスのリード・ギターも見事に泣いている。12週連続全米No.1を記録。グラミー賞では最優秀楽曲賞と最優秀レコード賞を獲得した。
06DO YOU LIKE THE WAY
ローリン・ヒル&CEE-LOとの共演曲。ホーン・セクションをフィーチャーしたファンク・ビートに乗って、ローリン&CEE-LOが歌い、カルロスのギターも歌う。なんとなく聴いているうちに、いつのまにかサンタナの世界に入り込んでいるところが不思議。
07MARIA MARIA
ワイクリフ・ジョンとジェリー・デュプレシスのプロデュースによる曲。ヘヴィなビートをバックに、カルロスがスパニッシュ・タッチのアコギとエレクトリック・ギターを弾き、プロダクトG&Bが歌う。控えめなスモークのように流れるストリングスも効果的に響いている。
08MIGRA
アルジェリア出身の歌手ラシード・タハの「Kelma」の歌詞を差し換え、改題した曲。KCポーターのプロデュースによるジャングル・ビート風のドラミングに乗って、カルロスのギターが唸りをあげる。KCもアコーディオン、プログラミング、ヴォーカルで参加している。
09CORAZON ESPINADO
メキシコ出身のマナとの共演でラテンの名曲をカヴァー。面倒なことは考える必要のないラテン歌謡で、カルロスのギター・ソロも大々的にフィーチャーされている。これを嫌いな人はサンタナを聴かないほうがいい、と思われるほど濃厚なサンタナの世界。
10WISHING IT WAS
イーグル・アイ・チェリーとのコラボレーションによる曲。ラテン調ファンク・ビートとカルロスのギター・ソロとラップ、という組み合わせの相性は悪くない。いわゆるラテン歌謡路線とは異なるタイプの飛びきりセクシーなサウンドが生まれる未知の可能性がここにはある。
11EL FAROL
カルロスの哀愁のリード・ギターをフィーチャーしたインストゥルメンタル曲。サンタナならではのラテン歌謡の世界がたっぷりと堪能できる。ヴォーカルよりもずっと饒舌に自身の感情を語れるカルロスのギターが聴き手に語りかけるロマンティックなバラード。
12PRIMAVERA
当時のカルロス・サンタナの心情をストレートに表現したポジティヴなルーツ回帰の歌。「新たな時代がやって来た」と歌われるこの曲はサンタナの新たな旅立ちを象徴している。歓びに満ち溢れた感情を一気に爆発させるカルロスのギター・ソロが素晴らしい。
13THE CALLING