ガイドコメント
永遠に語り継がれるだろう名曲「イマジン」が収録されたジョン・レノン屈指の名盤。ほか多数のアーティストにカヴァーされる「ジェラス・ガイ」など、曲の良さも粒ぞろい。
収録曲
01IMAGINE
02CRIPPLED INSIDE
稀代のユーモリストでもあったジョンの辛口の歌詞と軽妙な歌声が楽しめる曲。クォリーメン時代を彷彿とさせるスキッフル調のサウンドがこの曲の主役を陽気にさせている。ジョージ・ハリスンのドブロ・ギターとニッキー・ホプキンスのピアノも好演。
03JEALOUS GUY
嫉妬心とは、弱さから生まれるもの。そう、「君にもう愛されていないのでは」という心細さ、恐怖心。そんな心情をさらけ出す、繊細なジョンに出逢えるラヴ・バラード。弱々しいヴォーカルはもちろん、か細い口笛もまた心に染みる。優しいメロディに寄り添うような、美しいピアノ・プレイはニッキー・ホプキンス。
04IT'S SO HARD
テンポを落とした重めのシャッフル・ビートに乗せて歌われるレノン版“男はつらいよ”ブルース。キング・カーティスのサックスとフィル・スペクター編曲のストリングスがフィーチャーされている。ジョンの歌声は軽い疲労感を漂わせながらも雄々しい。
05I DON'T WANNA BE A SOLDIER MAMA
フィル・スペクター演出による黒く重く泥臭い(でも贅沢な)ロック・サウンドを堪能できる曲。「兵隊にも船乗りにも金持ちにも貧乏人にも弁護士にも牧師にもなりたくない」などと呪文のように繰り返すジョンの反体制的な駄々っ子ぶりが楽しめる。
06GIMME SOME TRUTH
偽善者、政治家、ペテン師……と行く手を阻む“偽りの存在”を、怒号のようなシャウトで斬っていくジョンらしい辛辣なロック・ナンバー。ビートルズ末期の頃の作品で、どっしりと進むメロディ・ラインは「アイ・アム・ザ・ウォルラス」を彷彿とさせる。リード・ギターに弟分、ジョージが参加。
07OH MY LOVE
「愛しい人、生まれて初めて僕の目は開かれた」……ヨーコに出逢って変わっていく自身の心情を投影した、珠玉のラヴ・バラード。悟りの域に達したかのような、穏やかなジョンがここに居る。英国らしい叙情と東洋的な美が同居したメロディで、まさしくヨーコとの出逢いが生んだ作品である。
08HOW DO YOU SLEEP?
天才的な皮肉屋ジョンが意地悪なまでにクールに歌ってみせる皮肉満載の曲。ポールの曲のタイトルをちりばめ、かつての盟友を揶揄した辛辣な歌詞が話題になった。重い荷物を引きずるような、ブルージィなサウンドが歌詞の毒気をより強調している。
09HOW?
ジョンでなければ歌えない独創的な名曲。シンガー/ソングライターとしての彼の稀有な才能を改めて思い知らせる。あざといスコアで嫌われることも多いフィル・スペクターの劇的すぎるストリングスも、この名曲のパワーの前では装飾品のひとつに過ぎない。
10OH YOKO!
ヨーコへの愛を素直に歌った、ハッピーなフォーク・ナンバー。軽快なアコギと瑞々しく流れるピアノの旋律を従えたジョンの歌声は、永遠の伴侶に巡り合った喜びでいっぱいだ。キャッチーなだけにシングル・カットの話も出たが、「俺のタフなイメージが壊れる」との理由でボツに。