トーキング・ヘッズ / ベスト・オブ・トーキング・ヘッズ [2CD] [再発]

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トーキング・ヘッズ / ベスト・オブ・トーキング・ヘッズ [2CD] [再発]
CD
ミニ・レビュー
ホワイト・ファンクの元祖といえばこのトーキング・ヘッズ。ヴェルヴェッツがPファンクと出会ったかのようなイーノ加入期の演奏が、彼らの後続に与えた影響力の絶大さを証明し続けている。バンドの急激な成長振りに驚かされる年代順ベスト。これで解散は決定的。
ガイドコメント
92年に発表されたトーキング・ヘッズのベスト・アルバムを映画封切りと連動させ再発売。プロデューサーにブライアン・イーノを起用、サイアー時代を思い出させる音源を数多く提供した作品だ。
収録曲
[Disc 1]
01SUGAR ON MY TONGUE
トーキング・ヘッズ初期の名曲。素朴な録音ながらもシンプルなドラミング、金属的で軽快なクリーン・トーン、そして哀愁たっぷりに幻想的詩情を歌い上げるデヴィッド・バーンの魅力を引き出している。
02I WANT TO LIVE
デヴィッド・バーンの不安げで揺れのあるヴォーカルはあたかも泣きじゃくっているよう。歌詞の内容もあいまってどこか哀しい気持ちにさせられる、初期の曲ながら表現性の高い名曲。
03LOVE - BUILDING ON FIRE
一時期トーキング・ヘッズのライヴでは定番だったという、メンバーのジェリー・ハリソンもお気に入りの一曲。微細なトレモロがかかったようなギターに軽快でポジティヴなメロディが絡む、印象的な一曲。
04I WISH YOU WOULDN'T SAY THAT
ミニマルでループするベース・ラインとリフが曲全体に不思議なグルーヴ感を生み出している一曲。その上に乗るデヴィッド・バーンのヴォーカルが次第にナーヴァスな表情へと変化し、終盤に向けて聴く側に緊張感を与えていく。
05PSYCHO KILLER
人間の暗部に惹かれていたというデヴィッド・バーンの思いが歌詞に盛り込まれた初期の名曲。弦が切れそうなほどに執拗なチョーキングの繰り返しが、あたかも精神を病んだ人間の切れる寸前の理性を表現しているようでもある。
06DON'T WORRY ABOUT THE GOVERNMENT
陽気に公職関係者の賛美をしているかのような一曲。バンドのメロディもメジャー感あふれるもので、このまま選挙運動のCMに使われそうなほどだ。しかし、デヴィッド・バーンのヴォーカルはその中でもやはりナーヴァスな雰囲気をはらんでいる。
07NO COMPASSION
全体としてはまだ荒削りな時期のものだが、途中の転調などに見られる独特の曲構成や、デヴィッド・バーンのテンションの高い特有のヴォーカルなど聴きどころが多い一曲。最後の余韻の残し方も秀逸。
08WARNING SIGN
ティナ・ウェイマスお得意のベース・ラインのループに合わせて展開するギター・リフが、シンプルながらも非常に味わい深い。クリス・フランツのキックの使い方が巧みなリズムも非常に現代的で、時代を感じさせない佳曲。
09THE BIG COUNTRY
カントリー・ミュージックのようなのどかな雰囲気を醸し出すスライド・ギターが印象的なナンバー。遠くから都市部の様子を冷めた視線で見つめているような歌詞とあいまって、ノスタルジックな世界観を演出している。
10TAKE ME TO THE RIVER
アル・グリーン作曲の同名曲のカヴァー。キリスト教賛美的な世界観の曲を、ジェリー・ハリソンの都会的なキーボードとティナ・ウェイマス独特のベース・ラインで見事にトーキング・ヘッズ・アンセムへと変貌させている。
11HEAVEN
曲中で繰り返される「天国は何も起こらないところ」という歌詞や、シンプルで優しいギター・リフやヴォーカルのメロディ。そこには生きていくなかでの悲哀を私たちに優しく諭すようなメッセージが含まれているかのようだ。
12MEMORIES CAN'T WAIT
ハード・ロックを思わせるベース・ラインとフィード・バックの多用が印象的なジェリー・ハリソンのキーボード・プレイは、どこかプログレッシヴ・ロックを思わせる。トーキング・ヘッズならではの技巧を凝らしたユニークなナンバー。
13I ZIMBRA
ブライアン・イーノのプロデュースによるナンバー。アフリカン・ファンクのリズムを採り入れ、エキゾチックなキーボード・メロディや鋭角なカッティングにより、ダンサブルなニューウェイヴを完成させている。
14ONCE IN A LIFETIME
エレクトロ・ミュージックのようなジェリー・ハリソンのループするキーボード・プレイとポエトリー・リーディングのようなデヴィッド・バーンの歌唱。2つの要素が絶妙に融合した昂揚感のあるアップ・テンポなナンバー。
15CROSSEYED AND PAINLESS
音数が少ないながらも印象に残るキーボードのフレーズや、ギターのプロセシング音のフィード・バックが印象的な曲。プロデューサーのブライアン・イーノが演奏でも参加し、5ピースでの分厚い演奏となっている。
16BURNING DOWN THE HOUSE
クリス・フランツのシティ・ファンクに強い影響を受けたことを匂わせるナンバー。ドラム・プレイやジェリー・ハリソンの多彩なキーボード・プレイは、聴く者に、“まさにこれぞニューウェイヴ!”と思わせること請合いだ。
17SWAMP
トーキング・ヘッズ・ブルース。一般的にファンクのイメージが強いトーキング・ヘッズがこうしたブルース的な表現を前面に押し出した曲を作ることは珍しく、全体としてはブルースのニューウェイヴ再解釈的な不思議な一曲。
18THIS MUST BE THE PLACE (NAIVE MELODY)
ジェリー・ハリスンによるどこか哀愁のあるキーボード・メロディとデヴィッド・バーンの過度な装飾のないギター・リフが耳に残る作品。センチメンタルでナイーヴな歌詞の内面を十分すぎるほどに掘り下げている。
[Disc 2]
01LIFE DURING WARTIME
「This ain't no disco」と言いながら、ひたすらファンキーでダンサブルに演じたパーティ・チューンのライヴ録音。メンバーによるコーラスの合唱が恐ろしくハイ・テンションで、楽しさが十二分に伝わってくる。
02GIRLFRIEND IS BETTER
準メンバーでもあったP-ファンクの奇才、バーニー・ウォーレルが参加したライヴ録音。彼のオートフィルターがかかったミニムーグによるベース・ラインとジェリー・ハリスンのソロが、絶妙のアンサンブルを奏でる名演だ。
03AND SHE WAS
デヴィッド・バーンがバルティモアで実際に知り合ったアシッド少女のヒッピー的な幽体離脱体験のエピソードを歌う。ループするベース・ラインやシンプルなギター・フレーズで淡々と描かれている一曲。
04STAY UP LATE
装飾の少ない、シンプルな明るい旋律にのせて、子供のように無邪気な歌詞を軽快に歌い上げている一曲。「ただ明るくなって笑いたいだけだ」というメンバーの当時の作曲スタンスが端的に表れている。
05ROAD TO NOWHERE
マーチングのようなクリス・フランツ独特のロールが、郷愁を誘うジェリー・ハリスンのメロディと絶妙にマッチするナンバー。デヴィッド・バーンは主として2コードしか使っていないことには驚きだ。
06WILD WILD LIFE
トーキング・ヘッズ解散前の最後のヒット曲。アフリカン・グルーヴを踏襲しながらもカントリーのような米南部的音楽性とを融合させたバンド後期の象徴的な曲。緩やかな縦ノリのグルーヴと全体を覆う陽気な雰囲気は、聴く者に活力を与えてくれる。
07LOVE FOR SALE
デヴィッド・バーンいわく、「広告コピーをつなぎ合わせて作詞しようとした」という、一文ごとの意味が絶妙につながる詞がユニーク。ハードなギター・リフが効いたサウンドとは意外にもマッチした、いい意味でひとクセある彼ららしい佳曲となっている。
08CITY OF DREAMS
複雑なポリリズムなどが多い、この時期のトーキング・ヘッズの曲中では貴重なバラード・ミュージック。ミドル・テンポのシンプルなサウンド・メイキングで美しいメロディをゆったりと歌い上げている。
09MR.JONES
軽妙でラテンチックなリズムとホーン・アレンジが秀逸な、ファンキーかつソフトな一曲。デヴィッド・バーンのカッティングとティナ・ウェイマスのベース・ラインが絶妙なアンサンブルを奏でている。
10BLIND
トーキング・ヘッズに多いジャムや即興による自由な構成のナンバー。「ブラインド・ブラインド・ブラインド」というヴォーカル・フレーズが耳をひくが、それ以外が非常に流動的にできている。
11(NOTHING BUT) FLOWERS
ベース・ラインやドラミングをはじめとする、アフリカン・ファンクを横断してソフト・ダブにまで到達していきそうな、ミドル・テンポでダンサブルな一曲。デヴィッド・バーンの自由なギター・プレイも聴きどころである。
12SAX AND VIOLINS
映画『夢の果てまでも』のオープニング曲。91年に映画用に書き下ろされた歌詞と88年頃に録音されたサイバー・パンク的なバンド・サウンドの融合が、終末的な映画の世界観にリンクしている。3年のタイムラグを感じさせないほど、詞とサウンドがマッチした曲だ。
13GANGSTER OF LOVE
サンプリングされたアメリカン・ファンク系のドラム・パートを、後年作った音素材とドッキングさせるという、珍しいクロスタイムな方法で作られた一曲。ティナ・ウェイマスのダビーなベース・ラインが冴えわたっている。
14LIFETIME PLING UP
都会的な聡明さを持ったジェリー・ハリスンのキーボード・プレイが魅力的な1曲。どこかナーヴァスでパラノイア的なデヴィッド・バーンの歌唱が、都市生活者の強迫観念を描いた歌詞の世界観と絶妙にマッチしている。
15POPSICLE
デヴィッド・バーンのシティ・ファンク的なコード・カッティングに魅了されるナンバー。シンプルでタイトなクリス・フランツの2ビートに乗り、エッジが効いた中にもアダルティな落ち着きのある一曲を完成させている。
アーティスト
  • トーキング・ヘッズ
    1974年にデヴィッド・バーン、クリス・フランツ、ティナ・ウェイマスの3人で結成し、77年にジェリー・ハリスンが加わりデビュー。当初は知的なイメージが先行していたが、80年の『リメイン・イン・ライト』ではアフリカン・リズムを導入し、エスノ・……
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