ガイドコメント
150万枚のセールスを突破したミリオン・セラー・アルバム『BEST OF』に続く今世紀最後のスタジオ作品は、クラプトンが敬愛する“ブルースの巨人”B.B.キングとの共演アルバム。
収録曲
01RIDING WITH THE KING
ジョン・ハイアットが83年に書いた曲。B.B.キングとの共演盤にふさわしいタイトルゆえの選曲か。クラプトンがメインで歌い、キングが余裕で絡む展開。ギターはほぼ全編にわたって鳴りっぱなしだが、どちらが弾くギターか、子供にもわかるところが楽しい。
02TEN LONG YEARS
キングのオリジナル・ブルース。師匠が貫禄充分の歌声を披露し、2人で順番にソロを弾く。ブルースの参考書のような演奏。クラプトンが自分なりの流儀で対応しているところが良い。ギタリスト同士のマナー。ここには遠慮はないが、敬意ならたっぷりとある。
03KEY TO THE HIGHWAY
ビッグ・ビル・ブルーンジーの名曲。アンプラグドなアレンジでの共演。クラプトンとキングが順番に歌ったり、掛け合いを演じたり、という楽しい展開。互いにアコギでのソロも披露する。クラプトンの持ち歌のひとつだが、生音的編曲でのカヴァーは初めて。
04MARRY YOU
ドイル・ブラムホールIIの曲でクラプトンとキングが共演する、という新鮮な展開。クラプトンとキングがヴォーカルをシェアしているが、キングの歌声の存在感は抜群。ギター・ソロではクラプトンが頑張っているが、こちらでもキングは存在感で勝負。
05THREE O'CLOCK BLUES
キングのオリジナル・スロー・ブルース。1stヴァースをクラプトンが、2ndヴァースをキングが歌い、その順番でギター・ソロも披露する。長尺ヴァージョンだから、それぞれのソロもたっぷりと楽しめる。3rdはキングが歌い、その後には2人のインタープレイが聴ける。
06HELP THE POOR
キングのおなじみのレパートリーを2人で順番に歌う。デビューの頃と較べたら、クラプトンのヴォーカルは桁違いに上達したが、さすがにキングと並ぶと分が悪い。キングから見れば、クラプトンもまだまだ若造か。しかし、ギター・ソロではクラプトンがやや押し気味。
07I WANNA BE
ドイル・ブラムホールIIとチャーリー・セクストンの共作曲。キングとクラプトンがヴォーカルとギター・ソロをシェアしている。2人が同時に歌うと圧力が凄いし、ギターでのインタープレイもスリリングだ。ライヴで観てみたい、と思わせる演奏が悪いはずはない。
08WORRIED LIFE BLUES
クラプトンのレパートリーでもあるビッグ・メイシオの名曲をアコースティックなアレンジでカヴァー。圧倒的なオリジナリティを持つキングが歌うと別の曲のように聴こえるのが面白い。2人のヴォーカルの掛け合いも楽しめる。
09DAYS OF OLD
シャッフル・ビートが気持ちいいキングのオリジナル・ブルース。キングのヴォーカルに合わせて、クラプトンもダミ声で歌ってみせる。兄弟みたいな2人の掛け合いが面白い。ギターでのインタープレイも楽しめる。バトルではなく、会話や対話に近い。
10WHEN MY HEART BEATS LIKE A HAMMER
キングのオリジナル・スロー・ブルース。キングが歌っている間は完全に彼の世界だが、クラプトンのギターが入り込んでくると、その世界の空気が微妙に揺らぐ。ギターでの会話など、セッションの面白さを凝縮した作品。
11HOLD ON I'M COMING
サム&デイヴの超有名なR&Bソングをブルース調のアレンジでカヴァー。ヴォーカルでのコール&レスポンスに続いて、ギターでのそれが始まる。ヴォーカル以上に歌いまくる2人のギター。互いに絡み合いながらギターは歌う。フェイド・アウトしてしまうのが惜しい。
12COME RAIN OR COME SHINE
ミュージカル『セントルイスの女』挿入歌で、スタンダードの王様のような名曲を、ストリングスをバックにキング&クラプトンが歌う。2人のデュエットには不思議な味わいがあるが、それは2人のギターが絡む瞬間でも同様だ。