ガイドコメント
69年にトロントのヴァーシティ・スタジアムで行なわれた“ロックンロール・リヴァイヴァル・ショー”でのブラスティック・オノ・バンドのファースト・ギグの模様を収録したライヴ・アルバム。
収録曲
01BLUE SUEDE SHOES
エリック・クラプトンを含む急造バンドでのライヴ録音。バンドの演奏はジャム・セッションに近いものだが、クォリーメン時代からこの曲を歌っていたジョンのヴォーカルは安定している。クラプトンの饒舌なギター・ソロはニュー・ロック時代ならでは。
02MONEY
『ウィズ・ザ・ビートルズ』でも歌っていたバレット・ストロングの曲。テンポを落としたバンドの演奏は明らかに重すぎるが、ジョンのヴォーカルだけは懸命にロックンロールしようと健闘している。もう少しテンポを上げれば“名演”になっていたかもしれない。
03DIZZY MISS LIZZY
『4人はアイドル』でもカヴァーしていたラリー・ウィリアムスの曲。ジョンの十八番だから悪いわけはない。歌詞なんてどうでもいいのさ、というマッチョな態度も頼もしい。急造バンドの演奏もほぼ安定し、ジョンのヴォーカルを堅実にバックアップしている。
04YER BLUES
『ロックンロール・サーカス』でもエリック・クラプトンと共演している通称『ホワイト・アルバム』収録のオリジナル曲。強烈なシャウトを聴かせるジョンはギター・ソロでもR&R濃度の高いプレイを披露。もちろんクラプトンのブルース濃度の高いソロも要チェック。
05COLD TURKEY
2週間後に同じメンバーでスタジオ録音される“新曲”をライヴで初披露。ジョンのヴォ-カルはもちろん、バンドの演奏も初演とは思えぬほど力強い。奇声を発するヨーコのパフォーマンスも、ドラッグの禁断症状を主題にしたこの曲にはよく似合う。
06GIVE PEACE A CHANCE
2ヶ月前に発売したばかりのシングル曲をライヴで初披露。ギター・バンド仕様の編曲ではないものの、アドリブだらけのジョンのヴォーカルが楽しめる。当時のジョンとヨーコにとっては観衆と一緒にこの曲を合唱できただけでも大成功だったはず。
07DON'T WORRY KYOKO (MUMMY'S ONLY LOOKING FOR HER HAND IN THE SNOW)
ヨーコならではの痙攣的なヴォイス・パフォーマンスをフィーチャーした曲。当時の大多数のロック・ファンからは理解を得られなかったが、前衛アートとかいうよりもむしろパンク・ロックに近い試みとして楽しめる。ギタリストに徹したジョンの演奏も見事。
08JOHN JOHN (LET'S HOPE FOR PEACE)
祈祷を思わせるようなヨ-コの“叫び”をフィーチャーしたパフォーマンス。ジョンを含むミュージシャンたちは即興でやや控えめなノイズをBGMとして提供。最後にはエレキ・ギターをアンプに立て掛け、猛烈なフィードバック・サウンドを残して退場する。