ガイドコメント
76年に発表されたジョン・レノン初のベスト・アルバムが23年の時を経てついに蘇った。ビートルズ解散後のソロ・シングル11曲を収録。彼の平和思想が随所に反映された感慨深い作品だ。
収録曲
01GIVE PEACE A CHANCE
2ヶ月前に発売したばかりのシングル曲をライヴで初披露。ギター・バンド仕様の編曲ではないものの、アドリブだらけのジョンのヴォーカルが楽しめる。当時のジョンとヨーコにとっては観衆と一緒にこの曲を合唱できただけでも大成功だったはず。
02COLD TURKEY
タイトルは麻薬の禁断症状を指す隠語で、まさしくその状況を描いたヘヴィなロック・ナンバー。ジョンを煽る挑発的なギターはエリック・クラプトン。終盤でのジョンの悶え声は、ドラックとは何と恐ろしやーと思わせる壮絶さ。ドラック反対ソングとして最適と思われるが、多方面で放送禁止処分をくらった。
03INSTANT KARMA!
04POWER TO THE PEOPLE
人権、社会平和のメッセージが込められたジョン・レノン1971年の名曲。集団の足踏みの音をイントロに、シンプルなビートとヴォーカルに、サックスや45人の女性シンガーを加えた、エネルギーに満ち満ちたサウンドを聴かせる。
05MOTHER
ジョンは幼い頃に両親と離別している。その心の痛みを、彼はこの作品にぶちまけた。淡々としたバラードも、終盤は「母さん行かないで、父さん戻ってきて」という壮絶な絶叫と化し、聴く者の胸を締めつける。当時、ジョンは叫ぶことで過去のトラウマを癒す「プライマル療法」を受けており、その影響が顕著なナンバーである。
06WOMA IS THE NIGGER OF THE WORLD
07IMAGINE
08WHATEVER GETS YOU THRU THE NIGHT
エルトン・ジョンとのデュエットで、ソロ初の全米第1位に。派手なベース・ラインに、軽快なハンドクラップ、ボビー・キーズのサックスが高らかに歌う、にぎやかなサウンド。二人の威勢のよいヴォーカルも爽快だ。一時の“独身生活”と、LAという土地柄がかくも開放的な作品に繋がったものか。
09MIND GAMES
「LOVE&PAECE」が色褪せてしまった70年代、それでもジョンは、「愛こそ答え」「YESこそ答え」というメッセージをこの歌に託した。ミドル・テンポのロック・バラードであるが、そのメロディは圧倒的な迫力とキャッチーな魅力を放ち、ジョンの天性のヴォーカルと相まって、我々の精神に力強く訴えかける。
10 9 DREAM
ジョンの夢の中の情景を綴った作品で、幻想的なサウンドで彩られたナンバー。なんといってもジョンのファルセットがこだまする「あーばわかーわー、ぽーせぽせ」は、中毒性を持った心地よさ。聴いた後もしばらく頭の中でリフレインするので要注意だ。ちなみに“9”はジョンのラッキー・ナンバー。本作も全米“9”位を獲得。
11HAPPY XMAS (WAR IS OVER)|GIVE PEACE A CHANCE
ジョンとヨーコの共作によるクリスマス・ソング。ヨーコの歌声、マンドリンの音色、そしてハーレム・コミュニティ・クワイアの子供たちのコーラスが効いている。この曲のフェイド・アウトと「平和を我等に」のリプライズが重なるエンディングも効果的。