ガイドコメント
デビュー以来初のベスト・アルバム。「Girls&Boys」「テンダー」など彼らのキャリアを代表するヒット曲の数々に加え、本作のための新録曲も併せて収録した注目度満点の作品。
収録曲
01BEETLEBUM
楽器の音色から、メロディから、センスよく消化されたビートルズのエッセンスが匂い立つ好曲。かつてはジュリアン・コープ似とされたデーモンの歌唱も、ここではジョン・レノン似へと変身。辛辣な歌詞は誰を歌う?
02SONG 2
猫も杓子もニルヴァーナと騒ぎ立てる以前の初期ニルヴァーナを思わせるロック・ナンバー。ハードなサウンドと自己を見つめるクールな歌詞とを対比させた構成が秀逸なこの曲は、『ブラー』の2曲目との理由からこの題に。
03THERE'S NO OTHER WAY
91年4月15日に発表された第2弾シングル曲で、全英8位を記録した出世曲。インディ・ダンスとシューゲイザーの間を行くようなサウンドは没個性かと思われるが、メロディやアレンジに、のちに大きく開花するセンスの源流がある。
04THE UNIVERSAL
05COFFEE & TV
微妙な音の上げ下げが醸し出すローファイ感覚が秀逸なメロディアス・ナンバー。途中でデーモンが煮詰まったため、グレアムが歌詞を書いてフォロー。歌もグレアムが担当している。デーモンのリズム・ギターも好演だ。
06PARKLIFE
07END OF A CENTURY
08NO DISTANCE LEFT TO RUN
恋人ジャスティンとの別離がこの曲にも影を落としているのか、デーモンの歌声がどうにも切なく痛々しい。そんな彼の心中が綴られた私小説的な歌詞と歌唱を、穏やかなギターの音色がいたわるようにそっと鳴り続ける名曲。
09TENDER
恋人ジャスティーンとの別離を乗り越えるんだと、デーモンが女性聖歌隊とともに自らへと歌いかける荘厳なゴスペル・ポップ。彼らがこれほど明確に黒人音楽へのアプローチを披露したのも異例なら、神頼みする歌詞も異例。
10GIRLS & BOYS
ダンサブルでメロディアスな楽曲に、クールでシニカルな立ち位置から放たれた歌詞。彼らの英国バンドらしさが詰め込まれたこの代表曲には、ペット・ショップ・ボーイズによる強烈なカヴァー/リミックスも存在。
11CHARMLESS MAN
誰からも嫌われている場の空気が読めない男を、直球ギター・ロック・スタイルで揶揄した曲。タイトルがザ・スミスの「チャーミング・マン」に似ているためか、この曲で歌われるのはモリッシーだとする説も根強い。
12SHE'S SO HIGH
13COUNTRY HOUSE
14TO THE END
デーモンがステレオラブのレティシア・サディエール嬢とデュエットする、英国風味のフレンチ・ポップス。男なら誰もが憧れる伊達男、セルジュ・ゲンスブールになりきるべく、エレガントに熱唱するデーモンに微苦笑。
15ON YOUR OWN
典型的イギリス人バンドの彼らが、ヒップホップのエッセンスを意欲的に取り込んでみせたナンバー。ドラム・マシンを駆使したバック・トラックに乗せ、サビでは初々しいラップまで披露。こんなブラー、誰に想像できた?
16THIS IS A LOW
17FOR TOMORROW
18MUSIC IS MY RADER
かつてのメロディ重視ぶりが嘘に思えるミニマルなポスト・ロック・ナンバーで、アブストラクト・ヒップホップからの影響も濃厚。アフリカ音楽の要素を取り込んだスタイルは、のちの『シンク・タンク』へと繋がる。