ガイドコメント
名作『OKコンピューター』から3年もの歳月を経てリリースされる4thアルバム。エモーショナルなトム・ヨークのヴォーカル、先鋭的でオーガニックなサウンドなど彼らならではの世界が再び!
収録曲
01EVERYTHING IN ITS RIGHT PLACE
ヴォーカルのサンプル音を含め、すべてが電子音で構成されている。冷たい印象を与える音の中の「すべてが正しい場所にある」という言葉には、曖昧な感情ではなく、確かな冷酷さを感じる。アルバム『キッドA』のオープニング・ナンバー。
02KID A
アルバム『キッドA』のタイトル・ナンバー。3人のギタリストを擁するレディオヘッドが、「誰一人として触れない世界の暗部と向き合う」という危険で、刺激的なテーマを表現するために選んだ音が、電子音だったということが興味深い。
03THE NATIONAL ANTHEM
重低音ベースのリピートが印象的な、ライヴのオープニングにも使用されるファンク・ナンバー。「みんなギリギリのところでなんとか生きている」という詞は、“平凡な生活というのは幻にすぎない”と解釈することができそうだ。
04HOW TO DISAPPEAR COMPLETELY
世界の終わりを思わせる風景やそこから逃げようとする人間が目に浮かんでくるような雰囲気が漂うギターとシンセのアレンジ。「これは現実じゃない、僕はここにはいない」と言葉一つ一つを丁寧に紡ぐ低音のヴォーカル。両者がマッチした極上のスロー・ナンバー。
05TREEFINGERS
アルバム『キッドA』中のスロー・ナンバー「ハウ・トゥ・ディサピア・コンプリートリー」後の本作は、いわゆる“音響系”を思わせるインストゥルメンタル・ナンバー。金属的で清涼感のある音がゆったりと流れ、聴く者に“安堵感”を与えてくれる。
06OPTIMISTIC
エレクトロ色が強い4thアルバム『キッドA』収録。あえて歌詞を掲載せず、混沌としたバンド・アンサンブルで“楽天的な”というタイトルを付けたのは、1つの視点からの解釈を拒絶しているようだ。
07IN LIMBO
電子音をバックに奏でられるギターのアルペジオが心地良い。しかしながら内容は、組織で生きる人々が“楽しく生きるために見ないふりをしていること(モノ)”を真正面から歌うシリアスなナンバー。
08IDIOTEQUE
“レディオヘッド・ミーツ・テクノ”と簡単に表現するのもはばかられるほど高い完成度を誇る。「燃料庫にいるのは誰だ? 女と子供が先……」というかなり刺激的な詞を、これまた刺激的なブレイクビーツで迎え撃つ。表現者レディオヘッドの才能が爆発したナンバー。
09MORNING BELL
5拍子のブレイクビーツに違和感を覚えるが、中毒性をはらんだリズムによってそれ以降は自然と体が動いてしまうこと必至。ラストの「Walking walking...」はつい口ずさんでしまう、ライヴでも人気も高いのナンバー。
10MOTION PICTURE SOUNDTRACK
『キッドA』のクロージング・ナンバー。「映画とは違うんだ。おかしいのはあんたたちのほうだ。」レディオヘッドが歌ってきた“システムの中で上手く生きることへの違和感”を、映画のエンディングのような優しいメロディに乗せて、最も直接的な言葉で歌う。