ガイドコメント
2000年7月、10年のバンド活動に終止符を打ったBCJ。この1枚は90年の『イカ天』出演をスタートに、常に日本のロック街道を先頭で突っ走ってきた彼らの軌跡をたどるベスト盤だ。
収録曲
01PUNKY BAD HIP
シンプルなギター・リフと軽快なテンポが、真夏のビーチを連想させる。「新しい国ができた 人口わずか15人」などの現実離れした刺激的な歌詞が、スリリングかつスピーディに展開される。ブランキー・ジェット・シティの代表作の一つ。
02冬のセーター
初期の彼らを代表する一曲。ストーリー性に富んだ歌詞と、ザックリと切り込んでくる重たいリフ、メンバーそれぞれの叫びが一体となった冷たいグルーヴは唯一無二。BGMには不向きな存在感が素晴らしい。
03D.I.J.のピストル
冒頭とエンディングのドラム・ソロが、レッド・ツェッペリンを彷彿とさせるロック・ナンバー。吐き捨てるような浅井健一のヴォーカルが重厚なバンド・サウンドへのスパイスとなり、唯一無二のブランキー・サウンドを確立させている。
04Sweet Milk Shake
軽快なメジャー・コードに乗せて歌われる、「少年がお気に入りのサングラスで、昼下がりにアイスクリーム・パーラーを襲う」という異端さが漂うリリック。「狂気」と「純粋」のバランスが絶妙な“ブランキー流ロック”の真骨頂ともいえるナンバー。
05ライラック
少年の感情の中にふと浮かんだ、ライラックの花について歌う。シンプルながらも、繊細に重ねられたギター・アンサンブル。堅実でありながら、要所でインパクトを与えるリズム隊。詰め込まれた言葉を軽快に歌うヴォーカル。どこをとってもスキのないナンバー。
06クリスマスと黒いブーツ
冒頭の悲しげなアルペジオから一転し、疾走感あふれる展開をみせるパンク・ナンバー。少年の頃に好きだったものが年月とともに記憶から遠ざかっていくことへの抵抗を、純粋さあふれる視点で歌っている。
07ディズニーランドへ
タイトルから連想される楽しげなイメージは、冒頭の暗いマイナー・コードと悲しげなアコギのストロークで瞬時に消し去られることだろう。ブランキー・ジェット・シティとしては珍しい16ビートに乗せて、浅井健一の悲しげな歌声が突き刺さるナンバー。
08いちご水
「イチゴ水を入れた透明なビン」から始まる純粋なストーリー。イントロからサビ直前まで続く高音のアルペジオが、聴く者を物語の世界に引き込む。ブランキー・ジェット・シティの楽曲中、最も美しく、切ない曲としてファンからの人気も根強いナンバー。
09ハイヒール
重低音が胸に響く超王道ロック・ナンバー。ギター、ヴォーカル、リズム隊というシンプルな構成による音であるからこそ「刺激的な夜へ行こうぜ」という使い古された言葉が、こんなにも違和感なく直接的に伝わるのだろう。
10RAIN DOG
高速8ビートで駆け抜ける痛快なナンバー。イントロ部分&間奏のブルース・ハープは、クールの一言。スリリングなスピード感の中の浅井健一のシャウトは、真夜中の飢えた獣を連想させるほど、鬼気迫るものがある。
113104丁目のDANCE HALLに足を向けろ
ダンス・ホールに集まる人々の内面を、畳み掛けるように歌う。タイトなリズムに乗ったギターのカッティングはスリル満点。「誰も踊ったことのないようなお前だけのダンスを」という言葉が登場するが、この曲自体も彼らのオリジナリティにあふれている。
12くちづけ
ダイナミックな16ビートのドラム・テクニックは必聴。冒頭のユニークなフレーズ「私の彼はドラマー タイコタタキ」以降の歌詞はエロティック全開。「ちょっと心のギターが壊れただけさ」など、キザなフレーズも連発の、人気の高いナンバー。
13Romance
Aメロからサビまでの弾き語り部分で、一気に歌の世界に惹きこまれる。決して現実離れした内容ではなく、今そこにあるものを繊細に、嘘偽りなく描写することで、「真実の美しさ」が表現されている。
14綺麗な首飾り
キャッチーなメロディに乗せ、少年の心の中にあふれるセンチメンタリズムを淡々と歌う。シンプルな曲構成が、詞に登場する「夕焼けの美しさ」とリンクした極上のミディアム・ナンバー。
15幸せの鐘が鳴り響き 僕はただ悲しいふりをする
人間が生まれながらにして背負う「罪」をシンプルかつ直接的に歌う。この重いテーマに対し、軽快なビートや意表をつくホーンをぶつけ、あくまでもクールに表現することに成功している。傑作とのの呼び声も高い1曲。
16Purple Jelly
約7分にも及ぶ大作。身近な視点から感じる“社会の退廃”をひたすら純粋に、そして圧倒的なテンションで歌う。曲のストーリー性をさらに深める後半のギター・ソロが秀逸。“ブランキー・ジェット・シティ最高傑作”との呼び声も高いナンバー。
17フレッシュ
ベスト・アルバム『BLANKEY JET CITY 1991-1995』のみに収録の未発表作。アッパーなリズムにメジャー・コードを乗せた曲調は、彼らの作品の中でも珍しいとタイプといえるだろう。しかし、浅井健一の“少年性”はしっかりと健在している。