ガイドコメント
イギリスとアメリカで1位を記録したシングル・ヒットばかりを27曲集め、全曲にリマスタリングを施した決定版ベスト。リリース時は、有名な青盤や赤盤に匹敵するほどの話題を呼んだ。
収録曲
01LOVE ME DO
1962年10月に発表されたビートルズの記念すべきデビュー曲。シンプルな歌詞、ブルージィなメロディとハーモニカの絡みなど、デビュー曲にして他にはない渋みと洗練された雰囲気を漂わせている。
02FROM ME TO YOU
1963年発表。ハーモニカのフレーズが印象的なビートルズ初期の名曲。英国ツアーのさなか、移動中のバスのなかで急いで書かれたというジョンとポールの合作で、途中からGマイナーに展開してゆくコード進行も新鮮。
03SHE LOVES YOU
“君と僕”だけでなく三人称の“彼女”を使い、歌詞の世界に広がりを持たせた1964年の名曲。タムのフレーズからいきなり“She Loves You”と始まるスピーディな展開と緻密なコーラス・ワークが印象的。
04I WANT TO HOLD YOUR HAND
ビートルズの曲が初めて全米ナンバー1となった記念すべき名曲。ギターのダイナミクスを生かした力強いイントロ、めまぐるしい展開のメロディなど、従来にない斬新なサウンドで後世に多大な影響を与えたナンバー。
05CAN'T BUY ME LOVE
“愛はお金で買えない”という明快なメッセージを込めて歌われるナンバー。ブルージィな印象ながら、溌剌としていて洗練されたメロディで聴かせるビートルズならではの名曲。1964年に全米で大ヒット。
06A HARD DAY'S NIGHT
1964年の初主演映画の主題歌。“ジャーン”という12弦のエレキ・ギターによる強烈なイントロから、ジョンとポールのヴォーカル・パートの対比、カウベルなどを強調したリズムなど、聴きどころ多数の完璧なポップ・ソング。
07I FEEL FINE
1964年発表のシングル。ギター5弦のA音をフィードバックさせたイントロが画期的な名曲。ヘヴィなリズム・パターン、ジョン・レノンのシャウトぎみのヴォーカル、清涼なコーラス・ワークなども印象的。
08EIGHT DAYS A WEEK
1964年発表。軽やかなシャッフルの跳ねたリズムに、“1週間に8日も愛してるんだ”“僕が言いたいのは、君をいつでも愛してるってこと”といったお茶目な表現で歌われる、ハッピーなラヴ・ソング。
09TICKET TO RIDE
エレキ・ギターのアルペジオとともに、タメたフレーズで刻まれるドラムのビート、ジョン・レノンのシャウトしたヴォーカルなどが魅力で、サウンド全体にへヴィな感触がある人気曲。アルバム『ヘルプ!』に収録。
10HELP!
1965年7月発表のシングル。コーラスで「ヘルプ!」と始まるインパクト十分の名曲。主演映画の主題歌として知られるが、ジョン・レノンがアイドルでいることへのプレッシャーを表現したものとしても有名。
11YESTERDAY
レノン=マッカートニー名義ながら、ポール一人のペンによる世紀の名曲。寝ているときに浮かんだメロディから作られたもので、失恋の思いを丁寧に描き、ストリングスを加えたアレンジも品格を感じさせる。
12DAY TRIPPER
1965年両A面シングルの一曲として発表。のちのロック・ギター奏法の中心となる、ギターの低音部を使ったフレーズの繰り返しを軸に、リズミカルに歌われるR&B風ナンバー。ビートルズらしい清涼なコーラスも魅力。
13WE CAN WORK IT OUT
1965年両A面シングルの一曲として発表。アコースティック・ギターとオルガンなどによるサウンド、“人生は短く、時間はない”といった少しビターな印象を残す歌詞、3拍子を加えた凝ったアレンジなど、ボクや彼女といったアイドル的な曲想からの脱皮も感じられる。
14PAPERBACK WRITER
「レイン」とのカップリングで1966年6月に発表されたシングル曲。ポール・マッカートニー主導で作られ、リード・ヴォーカルを担当、ベース・ラインがドライブするアップテンポなナンバー。ペイパーバックとは紙の表紙による本。
15YELLOW SUBMARINE
1966年8月にシングル、アルバム『リボルバー』で発表、のちにアニメ映画のタイトルかつテーマ・ソングになった名曲。トボけた作風ながら、実際に潜水艦に乗っているようなサウンド・エフェクトにもこだわったポップ・ナンバー。
16ELEANOR RIGBY
1966年発表のアルバム『リボルバー』などに収録のナンバー。重厚なストリングスが印象的で、“悲しい人たちはどこからやってくるのだろう”といった深みのある歌詞が大人の風情を感じさせる、ポール・マッカートニーのリード曲。
17PENNY LANE
1967年発表。彼らの出身地リバプールに実在する通りにちなんだナンバー。英国風のメロディに高音〜低音を縫うように動くベース・ライン、間奏のファンファーレのような高いピッコロ・トランペットの音が印象的。
18ALL YOU NEED IS LOVE
フランス国歌のメロディをイントロに取り入れるなど、遊びゴコロたっぷりの、ピースフルなメッセージによるナンバー。1968年当時、衛星中継で全世界に向けて発信されたエピソードや、ミック・ジャガーほか豪華ゲストも参加したことで名高い。
19HELLO, GOODBYE
1967年11月発表のシングル曲。Cをキーに“ドレミファソラシド”の音階をそのまま巧みに使い、“ハロー”と“グッドバイ”というすれ違いをシンプルな歌詞にのせた、ポールのリードによるナンバー。
20LADY MADONNA
1968年発表のシングル。ジャズ・ピアニストだった父をもつポールがピアノで作曲した、スウィンギーかつブルージィなナンバーで、サックスのほか、紙を震わせて表現したスキャットなどを加えたアレンジも印象的。
21HEY JUDE
ジョン・レノンの息子ジュリアンに“ヘイ、ジュード…”と語りかけ、元気づけようとポールが歌う名曲。歌のあと、繰り返されるリフレインがゴスペル的な雰囲気があり、ポールのヴォーカルもブラック・ミュージック流儀。
22GET BACK
さまざまなエピソードを盛り込み、“戻れ、君のいたところへ”と歌われる痛快なロック・ナンバー。ビリー・プレストンによるファンキーなキーボード、ポール・マッカートニーのソウルフルなヴォーカルなどが印象的。
23THE BALLAD OF JOHN AND YOKO
1969年5月発表のシングル曲。ジョン・レノンがヨーコとの結婚のための旅行での顛末などをつづり、50's風アレンジで聴かせる。レコーディングはジョンとポール・マッカートニーの二人のみで行なわれている。
24SOMETHING
ジョージ・ハリスン作による1969年10月発表のシングル曲。たゆたうように下降してゆくAメロ、ドラマティックなサビといったメロディの完成度が高い名曲で数多くのアーティストにカヴァーされている。
25COME TOGETHER
アルバム『アビイ・ロード』の冒頭に収録されたロック・ナンバー。もとは選挙のキャンペーン・ソングとして作られたが実際には未使用。タムを使った効果的なリズム・アレンジとイマジネイティヴな歌詞が印象的。
26LET IT BE
ポール・マッカートニーのピアノ弾き語りを中心とした名曲。“すべてはなすがままに”というフレーズ、ゴスペルを感じさせるメロディや清らかで宗教的な響きを感じさせる雰囲気は、ビートルズの終幕を飾るかのよう。
27THE LONG AND WINDING ROAD
『レット・イット・ビー』などに収録、シングルとしても発表されたナンバー。品格とスケールにあふれるバラードで、思いにふけりながら、救いを求める歌詞とあいまって、ビートルズの終焉を飾る名曲としても知られる。