ガイドコメント
デビュー作がアメリカでゴールド・ディスクに輝き、へヴィ・ロック界で今最も期待のバンドが、3年ぶりとなる新作をリリース。我が国の夏の某ロック・フェスティヴァルにも出演予定とか。
収録曲
01PRISON SONG
ギタリストのダロン・マラキアンが刑務所に留置された実体験を基に書かれた楽曲。人を喰ったような高音ラップから野太い咆哮まで、七変化する声色とパワーみなぎる激音が迫り、アルバムのオープニングから圧倒的存在感を見せつけられる。
02NEEDLES
グルーヴ感もヘヴィネスも充分ながら、輪になってコザック・ダンスでも踊り出したくなるようなヘンテコかつポップなサビのメロディがなんとも印象的。一度聴いたら耳から離れない、あまりに個性的な1曲だ。
03DEER DANCE
LAアルメニア・コミュニティという彼らの出自を背景にした、ポリティカルな歌詞と攻撃的なサウンドに強靭な意志がにじむ力強いトラック。中盤のメロウなパートからは、怒りを通り越した哀しみさえ感じられる。
04JET PILOT
矢継ぎ早にたたみかけられるけたたましいラップと、叩きつけるような激音が高速で回転するような怒涛のナンバー。激しさの中にも土着の血がにじむ、民族音楽的な旋律をしのばせたところが技あり。
05X
弾丸のような高速ビートと重厚なリフが交互に現れる、彼らお得意の緩急のある展開がスリリング。「無になる必要なんてない」と呪文のように繰り返される、神経を逆なでするような歌声が耳から離れない。
06CHOP SUEY!
クレイジーな怒号ともの悲しくも美しいメロディが交錯するドラマティックな楽曲。シタールやマンドリンによるエキゾティックなテイストやピアノとストリングスの優美な調べなど、聴きどころが満載だ。
07BOUNCE
たたみかけられるファニーな響きのサビとリズミカルなサウンドは、踊り出したくなるほどノリがよい。楽しげな雰囲気を醸し出しつつも腐敗した社会への嫌悪感を剥き出しにした歌詞に、彼らの強固なアイデンティティが透けて見える。
08JOHNNY
変拍子を多用したどこかぶっ壊れたサウンドとアニメみたいなファニーな歌声が、楽しくもちょっと怖い摩訶不思議な世界を作りだしている。ボーナス・トラックが突如としてアルバム中盤に現れるのも彼らならでは。
09FOREST
脅迫観念をたっぷり含んだ語りかけるようなヴォーカルとメタリックなリフが一体となって迫ってくるナンバー。子供の頃に聞いた怖い童話のような得体の知れない恐怖に捕われ、ゾクゾクする感じがたまらない。
10ATWA
カルト教団の教組として祭り上げられた、チャールズ・マンソンの人間らしい一面を浮き彫りにした楽曲。誤解され続けた男の心の叫びが胸を打つ。ちなみにタイトルは、チャールズが運営している環境保護団体名の略称。
11SCIENCE
直情的かつアグレッシヴなメタリック・サウンドにインド及び中近東風のフレーズと巻き舌ヴォーカルが絶妙に絡んだ、彼らの鋭いセンスが遺憾なく発揮された個性抜群のトラック。科学の発達による弊害を糾弾した歌詞はメッセージ性が高い。
12SHIMMY
圧巻のスピード感で駆け抜けるファストなトラックであるが、せわしなく曲調が変化するミクスチャー的アプローチがとられている。たたみかけるようにまくしたてたり、がなったり、また歌いあげたりと、変幻自在なヴォーカルも聴きどころ。
13TOXICITY
煌びやかで夢と希望に満ちた都市と思われるハリウッドにも、絶望や堕落、腐敗は確実に存在している。世界のどこにでも「毒」の部分がはびこっていることを歌った、アルバム『毒性』の表題曲。切実な叫びが胸を打つ。
14PSYCHO
イカれた歌詞は、世界中をツアーして回った彼らの目に映ったツアー・バスに群がるクレイジーな女の子たちのパーソナリティを喩えたもの。後半のメランコリックなギターの旋律が、彼女達の退廃的な生き方と重なる。
15AERIALS
ストリングスとコーラスを効果的に用いた重厚でスケールの大きいミドル・ナンバーで、最後はマリンバやコンガが打ち鳴らされる民族音楽で締めくくられる。最後の最後まで予測不可な展開が彼ららしい。