ミニ・レビュー
田島貴男の音楽的本質は、色数の多さではなくて色彩の濃さにある。器用さが勝った活動も完成度の高いものだったが、このシングルでは、従来の“洒脱に低温火傷”な個性が大放出されている。なつかしの名曲のライヴ・ヴァージョンがうれしい。
ガイドコメント
99年にリリースされた「冒険王」以降、沈黙を保ってきた田島貴男が1年半ぶりに放つ両A面シングル。今作では作詞に大御所、松本隆を迎え、オリラヴの真骨頂とも言うべき傑作ナンバーを作り上げた。
収録曲
01夜行性
『変身』以降見られなかった田島のスタイリッシュな作風が久々に復活し、ジャジィなアレンジや小粋なメロディによって非常に均整の取れた一曲に。作詞は御大・松本隆。“闇より黒いコート”“僕の中の獣”“ヴァンパイア”と映像的なキーワードで架空のヒーローを作り出し、田島の演技者としての一面を見事に引き出した。
02アダルト・オンリー
ジャジィなアレンジだが、よりメロディや歌いまわしで歌謡曲性、昭和の酒場感を強調したのがこちら。その後田島は幾度もこの歌謡テイストに挑戦しているが、この一曲はその試作品的段階にあるのか、サウンド面でもスクラッチを挟んでみたりと、試行錯誤の跡がうかがえる。
03接吻 (TRIAL SESSION LIVE Version)
原曲は、93年にリリースされたオリジナル・ラヴ5枚目のシングル。日本テレビ系土曜グランド劇場『大人のキス』主題歌。本作は2001年8月28日渋谷クラブクアトロでのライヴ・ヴァージョンで、アコースティック・ピアノをベースにしたスロー・バラードにリアレンジされている。