ミニ・レビュー
70〜80年代は遠くないけど近くもないのだなあ、とおやじに実感させるナイスなカヴァー曲集(邦楽専門。オリジナルあり)。奥田民生のサウンド・プロデュースはくっきりと、冴えたアイディアをひねりすぎないところにPUFFYと民生の自信が感じられる。
ガイドコメント
奥田民生プロデュースによるパフィー初のカヴァー・アルバム。Wink、近藤真彦、田原俊彦……といった80年代のヒット曲が、パフィーらしい脱力感とキュートさあふれる楽曲に生まれ変わっている。
収録曲
01IMAGE DOWN
奥田民生の小気味良いアレンジングにより、オリジナル曲以上にパンクでファンキーな楽曲に仕上がった。ビートの効いた派手なサウンドながら、PUFFYのゆるいヴォーカルにより、ぬるま湯に浸かっているような心地良さが感じられる。
02ハリケーン
シャネルズの大ヒット曲として知られる、井上大輔(元ブルー・コメッツ)作曲のナンバーを秀逸なアレンジでカヴァー。微妙にハズしているようで実はストライクというあたりがPUFFYらしい。
03愛が止まらない-Turn It Into Love-
歌謡曲であったWINKのヒット・ナンバーがロック・テイストに大変身。PUFFY独特のまったりムード&奥田民生のプロデュースにより、アンニュイ感がたっぷり! 同じ女性デュオでも、歌い手によってイメージが変わることを納得させてくれる一曲。
04チェリー
スピッツの爽やかなギター・ポップ・サウンドが、乾いた風を感じさせるアメリカン・ロック・サウンドに変身! 美しいメロディ・ラインと男の切なさあふれる恋愛観も、PUFFYにかかれば良い意味でサバサバとしたラブ・ソングになる。
05ハイティーン・ブギ
ひとひねり加えたアレンジにより80年代歌謡曲が、“ブギ”&ロカビリー・サウンドとなって登場。オリジナルと同じメロディ・ラインでありながら、まったく別の作品といってもおかしくないほど新鮮な楽曲に仕上がっている。
06哀愁でいと (NEW YORK CITY NIGHTS)
田原俊彦のデビュー曲をPUFFY流に料理。テクノチックなサウンド・アレンジと泣きのギター・サウンドがもの悲しい雰囲気を醸し出し、ロック色の強い作品となっている。哀愁を漂わせつつも、大貫亜美のゆる〜いヴォーカルにより適度な軽さを感じるナンバー。
07青い涙
エレキ・ブーム華やかし頃に作られた隠れた名曲のカヴァー、との触れ込みだが、作曲の三田二郎とは、じつは……(以下略)。ファズ・ギターやコーラスなど、ネオGSの雰囲気が滲み出る時代不詳な一曲。
08人にやさしく
ザ・ブルーハーツのパンク・ロックが、奥田民生&PUFFYにかかると、力の抜けたのほほんロックに。ゆるめの「ガンバレ!」は、逆に“ぼちぼち頑張ろうかな”という不思議な説得力があり、気負いのない元気を与えてくれる。
09嘲笑
心温まるミディアム・バラード。2人のフローティング・ヴォイスがアコースティック・ギター&ピアニカのシンプルなサウンドにぴったりマッチ。ビートたけしのオリジナルのイメージも引き継いだ、正統派のカヴァーといえる。
10カッコマン・ブギ
宇崎竜童率いるダウンタウンブギウギバンドのカヴァーは、DonDokoDon山口智充がゲスト・ヴォーカルとして参加した、思わず体も揺れるノリノリのブギウギ・ナンバー。70年代の楽曲も、アレンジにより斬新なサウンドとして生まれ変わっている。