エルヴィス・コステロ / スパイク(デラックス・エディション) [2CD]

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エルヴィス・コステロ / スパイク(デラックス・エディション) [2CD]
CD
ミニ・レビュー
珍しく2年半の長い間隔を経てリリースされた通算12枚目(89年発表。ワーナー移籍第1弾)。ポール・マッカートニーとの共作でベースでも参加した(4)など、コステロのポップな面が多岐にわたって楽しめる。デモを中心にしたボーナス・ディスクとの2枚組。★
ガイドコメント
89年発表のワーナー・ブラザーズ移籍第1弾アルバム。ポール・マッカートニーとの共作ヒット「ヴェロニカ」収録。前作までのイメージをくつがえし、コステロならではのポップスに回帰。
収録曲
[Disc 1]
01...THIS TOWN...
ポール・マッカートニーがベース、ロジャー・マッギンが12弦ギターで参加した贅沢なポップ・ソング。ベース、12弦ギターとも強烈に個性的だが、楽曲のテイストはあくまでコステロ流。歌詞ではエリート層を痛烈に揶揄している。
02LET HIM DANGLE
イギリスにおける死刑廃止の一因となった事件を歌ったバラードで、死刑制度復活を熱望する右翼を毒気たっぷりに批判。テーマの重さに即して曲調はダークで、車のホイール・キャップを叩いて鳴らしたサウンドも効果的だ。
03DEEP DARK TRUTHFUL MIRROR
アラン・トゥーサン、ダーティ・ダズン・ブラス・バンドが参加してのニュー・オーリンズ風味のマーチング・ナンバー。ブラス隊の人間味あふれるプレイ、トゥーサンのジャジィなピアノがコステロの熱唱以上に耳を奪う。
04VERONICA
ポール・マッカトニーとの共作。ポールらしい爽やかで、疾走感あふれるサウンドと心地よいメロディは一度、耳したら忘れられない。ドラマティックな曲展開が気持ちよすぎる曲。まるで爽やかな風が心に吹いてくるよう。
05GOD'S COMIC
世界を見捨てた神様が登場するユーモラスなまでに絶望的な歌詞のメロディアス・ナンバー。マーク・リボーのスパニッシュ・ギターを印象的に使ったアコースティック主体の曲で、コステロも希少なベース・プレイを披露している。
06CHEWING GUM
ダーティ・ダズン・ブラス・バンド参加のファンキーなナンバー。ベースの代役を務めたスーザフォンの野太いビート、エキセントリックなギター・プレイなど、従来のコステロ作品とは趣きの異なったサウンドで楽しませてくれる。
07TRAMP THE DIRT DOWN
ユーリアン・パイプの哀愁漂う音色も新鮮なアイルランド民謡風のナンバー。自身の作品世界に新境地を開拓した美しいサウンドだ。当時の英国首相サッチャーへの否定的な思いをにじませた政治的な作品でもある。
08STALIN MALONE
曲と歌詞が折り合わずインスト版での収録となった異例作(2002年に歌入り版も登場)。気分の上下動を極端に表現した風のジャジィな楽曲で、演じているのはダーティ・ダズン・ブラス・バンド。コステロは演奏に不参加。
09SATELLITE
「レイディオ、レイディオ」同様、メディアが導かんとする国民総思考停止状態を危惧した曲で、ここでは衛星放送をやり玉に挙げている。クリッシー・ハインドの素晴らしいハーモニーも収録されたワルツ風の穏やかな曲。
10PADS, PAWS AND CLAWS
古本屋で目にした書名をそのままタイトルに使ったという、テンション高めのロカビリー・ナンバー。ポール・マッカートニーとの共作曲だが、ポールは録音に不参加。代わりにコステロがホフナーのベース・プレイを披露している。
11BABY PLAYS AROUND
当時の妻ケイト・オリオルダンが主要パートを書き上げたアコースティック・ナンバー。叶うべくもない一方的な恋を痛々しく哀切に弾き語るコステロが素晴らしい。遠方でひっそりと響きわたるオルガンも絶妙。
12MISS MACBETH
ダーティ・ダズン・ブラス・バンドを擁するニュー・オリンズ・サウンドに、ドーナル・ラニーを擁するアイリッシュ・サウンドを被せた超異色作。不穏さを湛えた曲調が、孤独な老女を描いた童話風の歌詞と合致している。
13ANY KING'S SHILLING
軍楽団長だった祖父のダブリン駐留中の出来事を下敷きにした曲。敵対国の兵士間に芽生えた友情をアイリッシュ調のメロディで描いたもので、歌詞にあふれる人間的光景が直接的な物言いに頼ることなく平和を意識させる。
14COAL-TRAIN ROBBERIES
格差社会を拡大させんとする政権への怒りを表明したロックンロール・ナンバー。かつて“アングリー・ヤング・マン”と呼ばれた彼が、デビュー当初を思わせる激しい曲調を持ち出し、世の欺瞞(ぎまん)を徹底的に攻撃する。
15LAST BOAT LEAVING
映画のエンドロールに似合いそうな、ゆっくりと山場へ到達する美しい曲。理由あって妻子と離れざるを得なくなった父親の出立を描いた歌詞は、設定が明確にされていないだけに聴き手それぞれの家族関係ともリンクするだろう。
[Disc 2]〈ボーナス・ディスク〉
01MISS MACBETH
02...THIS TOWN...
03DEEP DARK TRUTHFUL MIRROR
04COAL-TRAIN ROBBERIES
05SATELLITE
06PADS, PAWS AND CLAWS
07LET HIM DANGLE
08VERONICA
09TRAMP THE DIRT DOWN
10BABY PLAYS AROUND
11PUT YOUR BIG TOE IN THE MILK OF HUMAN KINDNESS
12LAST BOAT LEAVING
13THE UGLY THINGS
14YOU'RE NO GOOD
15POINT OF NO RETURN
16THE ROOM NOBODY LIVES IN
17STALIN MALONE
タイアップ
  • 「Velonica」 - フジテレビ「とくダネ!」オープニングテーマ
アーティスト
  • エルヴィス・コステロ
    1954年8月25日生まれ、英・ロンドン出身のミュージシャン/作曲家/プロデューサー。本名はデクラン・パトリック・アロイシャス・マクマナス。芸名はエルヴィス・プレスリーと父方の祖母の旧姓に由来。77年にシングル「レス・ザン・ゼロ」でデビュー……
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