ミニ・レビュー
安室奈美恵のシングル・コレクション第2弾。全曲がミックスまたはヴォーカル、アレンジ違いという別ヴァージョンで収録されていく。産休後のアムロちゃんではなくなった彼女が、自信を持って新しい世界へ進んでいく足跡を辿ることができる編集盤だ。
ガイドコメント
復帰第1弾となった98年の「I HAVE NEVER SEEN」から最新曲「I WILL」までのシングルを網羅したアルバム。TLCのChilliとのデュエット曲も収録した注目盤。
収録曲
01Say the word (ニュー・アレンジメント)
小室哲哉の手を離れ、初めて安室自ら作詞した曲。あまり大きな変化のないメロディ・ラインだが、力強く鳴り響く低音と、表情豊かな彼女のヴォーカルが曲全体にメリハリをつけ、クールな一作に仕上げている。
02RESPECT the POWER OF LOVE (ニュー・ミックス)
Aメロ・Bメロで刻まれるカッティング・ギターとグルーヴィなベース・ラインがソウルフル。ゴスペル調のコーラスが絡み、一気にテンションが上がるサビ前が印象的で、メロディアスなサビとクールな前半を好対照に演出。
03NEVER END (ニュー・ヴォーカル)
大自然のど真ん中に一人立っている。そんな世界に引き込んでくれるようなイメージで作られた美しいバラード。夏の海を渡り、大空に突き抜けるような透き通った歌声は、耳に優しく、心が癒されるようで気持ちいい。
04LOVE 2000 (ニュー・ミックス)
オリジナルよりさらにずっしりと重みが増したへヴィなミックス。英語で歌われるバック・コーラスがクールで、ヒリヒリした緊迫感のある曲調の中に映える。“傷つけて〜”の部分では雲間から光が差すような一瞬の安らぎ感が絶妙。
05PLEASE SMILE AGAIN (ニュー・ミックス)
ロック・テイストなダンス・チューンのニュー・ミックス。シングルに収められているオリジナルと比べると、より全体を通して抑揚やメリハリが強まっている印象で、独特のリズムで跳ねるサビは相変わらずのかっこ良さ。
06think of me (ニュー・ヴォーカル)
イントロのピアノの旋律から世界に引き込まれる、優しく綺麗なメロディ・ラインのミディアム・バラード。R&Bと歌謡曲が適度にミックスされた印象で、Cメロからラストにかけてのドラマティックな盛り上がりが出色。
07SOMETHING'BOUT THE KISS (ニュー・ヴォーカル)
プロデューサーにTLCなど数々の大物を手掛けたダラス・オースティンを迎えて、哀愁漂う本格R&Bに仕上がった。低音で抑えられたヴォーカルは、搾り出しているかのようにかすれ気味で、大人の色香を感じる。
08lovin'it (NAMIE AMURO&VERBAL)
繰り返される人の出会いとすれ違いを歌った、VERBALとのコラボレーション作。VERBALのスキルフルなラップがこの曲の最大のアクセントだが、切なさをはらんだ安室の歌もハイレベルで絡み合うオトナな作品。
09I HAVE NEVER SEEN (ニュー・アレンジメント)
シングルで発表された同曲のニュー・アレンジだが、もはや別の曲と言ってもいいくらいの変貌を遂げていることに驚き。揺らめくような音に乗せて、囁くように抑制されたヴォーカルが、アダルトな雰囲気を感じさせる。
10HimAWArI (ニュー・ヴォーカル)
まさに小室節な切ないメロディと、安室の軽やかな歌が心地よいナンバー。“ひまわり”などの歌詞は冬のモノクロームとのコントラストが鮮やかで、通り過ぎていくもののなかで行き場を見つけられない寂しさが胸に染みる。
11no more tears (ニュー・ミックス)
サビのコーラスとストリングスが温かみを感じさせるミディアム・ナンバー。今が続くことをひたすら願い、悲しみや寂しさはやってこないで、という幸せの一場面を切り取る。“夜明けより夕暮れが楽しく感じてきた頃”は名文句。
12I WILL (ニュー・ミックス)
荘厳なストリングスで全編を彩られたスケールの大きなバラード。思いを歌い続けていたいという歌詞そのままに、情感たっぷりに歌い上げるパワフルなヴォーカルも圧巻で、サビになだれ込む瞬間にカタルシスは最高潮に!