ミニ・レビュー
元ライド(〜ハリケーン#1)のアンディ、元ヘヴィ・ステレオのゲムという新メンバーを迎えて作られた実質上初のアルバム。リアムはもちろん、彼ら二人も曲作りに参加し、まるで初期の結束力を取り戻したかのようなシンプルなサウンド。傑作だ。★
ガイドコメント
モンスター・ロック・バンド、オアシスの通算5作目の新作。強力なエネルギーに満ちあふれたサウンド、一度耳にしたら思わず口ずさむメロディといった、彼らならではのハイ・クオリティ・ナンバー満載!
収録曲
01THE HINDU TIMES
結成10周年を迎え、オアシスの21世紀最初のシングルとなった、2001年発表の作品。新世紀とともに新たなオアシスの誕生を祝福するようなギターのリフと力強いサウンド、広がりあるヴォーカルが秀逸。
02FORCE OF NATURE
“一発屋”Lieutenant Pigeonがヒットさせた「Mouldy Old Dough」のスワンプ・ロック版みたいな曲。離婚前のノエルが映画用に書き下ろした曲だが、まるで自分の離婚を予期していたようにも思えてくる歌詞だ。
03HUNG IN A BAD PLACE
新加入メンバー、ゲム・アーチャー作のロックンロール・ナンバー。2ndアルバムあたりのオアシスを思い出させる王道オアシス節だが、ギター・ソロの趣がこれまでの彼らにはないハード・ロック風で楽しい。
04STOP CRYING YOUR HEART OUT
誰でも泣きたくなるような夜がある。この曲は、流す涙で心の傷を洗い流すような優しさと深い安らぎを与えてくれる作品。中盤のコーラスの効かせ方には相変わらずジョン・レノンからの影響も。
05SONGBIRD
“あの”リアムが作ったとは信じがたい、歌詞もメロディも愛らしいアコースティック・ナンバー。パンプ(ベビー)・オルガンの音も実に効果的な小品で、オアシス嫌いの人にもぜひ聴いてほしいピュアな魅力がある。
06LITTLE BY LITTLE
「レット・イット・ビー」的メロディの活きたバラード。リアムの声もジョン・レノンへの追憶を感じて美しいのだが、やはりノエルの優しいヴォーカルは、こういった曲にはうってつけだとつくづく感じさせる。
07A QUICK PEEP
新加入メンバー、アンディ・ベル作のインスト。アコースティック・ギターでアクセントを付けつつ重めのグルーヴを醸し出す展開は、アンディがオアシス加入以前に率いていたバンド“ハリケーン#1”に似た雰囲気だ。
08(PROBABLY) ALL IN THE MIND
前作『スタンディング・オン・ザ・ショルダー・オブ・ジャイアンツ』における「フー・フィールズ・ラヴ?」のようなサイケデリック・ナンバー。ポップ・ソングとしての魅力を全面に打ち出した、高揚感いっぱいの佳曲。
09SHE IS LOVE
アコースティック・ギター、ハンド・クラップ、そしてオルガンの重奏をメインに構成された、簡素でサイケでフォーキーなメロディアス・ナンバー。ノエルが新恋人に捧げた曲だけに、歌詞がかなりデレデレ。微笑ましい。
10BORN ON A DIFFERENT CLOUD
ジョン・レノンからの影響をどれだけ受けたかがよく分かる、リアム作の詩的なナンバー。各楽器が醸し出す雰囲気にも、ビートルズの各メンバーを意識した節が十二分。ちなみにスライド・ギターはジョニー・マーが弾いている。
11BETTER MAN
これは『セカンド・カミング』に入っていた曲のカヴァー? と錯覚しそうなほど“目を閉じればストーン・ローゼズ”な一曲。「今はこれでいい」と歌う詞に「そんなわけありません」とツッコミたくなる迷曲だ。
12YOU'VE GOT THE HEART OF A STAR
ノエルが歌う美麗アコースティック・ナンバー。聴き手を兄弟姉妹に例え「さぁ、やろうぜ」とうながす歌詞に、デビュー時から変わらない前向きさが見える。曲終了後、約24分間待てば、土臭いインスト曲が楽しめる仕掛け。