ミニ・レビュー
すでに大ヒットしたファースト。(4)の作曲には“山崎政義”の名前もあり、奄美民謡の素養をふまえた新機軸の歌い手として、入念にプロデュースされた様子がうかがえる。(2)をしのぐ大名曲こそないものの、方言をまじえて歌われる(1)など、この人ならでは。
ガイドコメント
“神の声”と評される歌声をひっさげて突如現れた元ちとせの1stアルバム。発売後、じわりじわりと評判を集め、10週目にしてチャート1位に輝いた「ワダツミの木」ほか、歌の存在感を楽しめる全10曲。
収録曲
01サンゴ十五夜
遠く離れてしまった魂を愛しく思う“愛(かな)しゃる”という奄美方言が出てくる曲。呪文のように繰り返される“拝(うが)むぃぶしゃた”という奄美の言葉から、その魂に逢いたいと強く願う気持ちが伝わってくる。
02ワダツミの木
スピリチュアルな歌声から発せられる、情緒あふれるメロディと、奄美民謡と繊細なエレクトロ・ビートが有機的に融合したサウンドが織りなす世界観には神々しさすら感じてしまう。ドラマティックな曲展開が感動的に美しい。
03夏の宴
奄美で行われる「八月踊り」をモチーフにした曲。土着的な雰囲気が漂うシンプルな演奏が、アットホームな空間を作り出し、亡くなった魂も集まってきて、みんなで輪になって踊っている光景が浮かんでくるようだ。
04ひかる・かいがら
山崎まさよしが作曲を担当。優しさあふれる温かいメロディとオーガニックなサウンドが心地よい。元ちとせの歌声も艶やかで、曲の魅力を存分に引き出している。切ない歌詞がグッと心に染み込んでくる、感動的な曲。
05心神雷火
吹き抜ける風のようなアコギの旋律が、歌に寄り添うように繰り返される。静かな中に、誰の中にも眠る“野性”をじわりじわりと目覚めさせていくような、神秘的な力が感じられる曲。ヴォーカルも気高く、力強い。
0637.6
ひとりの生活をするようになってから“37度6分”の熱を出し、はしかにかかった。母の背中で眠ったことを思い出し、大事な記憶へと想いを馳せる歌。時計の針が時を刻んでいくようにアコギが響いて、チェロが回想を誘う。
07初恋
ゆったりとしたリズムと大らかなメロディに乗せて“初恋”を歌う。初恋の初々しさと揺れる心をそのまま切り取ったような歌詞が、伸びやかな歌声によってピュアに響き、爽やかかつ切ない余韻を残していく。
08ハイヌミカゼ
美しいダウン・テンポのエレクトロ・サウンドに、力強い生命力あふれる、元ちとせの歌声が魅力的。タイトルの“ハイヌミカゼ”とは奄美の方言で「南の風」を意味する。南の風を感じさせてくれる、神秘的な曲。
09君ヲ想フ
元ちとせの個性的な歌い回しがより強調された、エモーションあふれる唄。ハシケンが作曲を担当したサウンドは、奄美民謡とソウルを融合させた、唯一無二の“ちとせワールド”。ドラマティックな曲の展開に胸が躍る。
10凛とする
ディープ・フォレストのエリック・ムーケ作曲。自然の厳しさや偉大さを感じさせ、真冬の研ぎ澄まされた空気や壮大な雪景色を連想させる曲。透き通るような裏声を聴かせるヴォーカルが、白銀の世界へと誘い込む。