ミニ・レビュー
「人形」は、本人自ら「自分が表現していくうえでの核になる曲」という楽曲。転調を繰り返しながら圧倒的な昂揚感を生み出すメロディのなかで描かれるのは、生きることに違和感を感じざるを得ない自らの運命。ダイナミックなバンド・サウンドも、楽曲にたくましい生命感を与えている。
ガイドコメント
その世界観が各誌から絶賛されたデビュー・アルバムから、間髪いれずにリリースされる通算5枚目のシングル。さらに自身の世界を追求したヘヴィな歌詞が鮮烈な、これまでを代表する作品。
収録曲
01人形
久々のど真ん中のへヴィ・ロック・チューン。重く激しく折り重なるギターとドラム、喉を切り裂きそうな渾身のヴォーカルで、自分の体を焼き尽くすような激しい愛情をこの一曲に叩きつけた。彼女の大きなブレイク・スルーとなったナンバーである。最初と最後に流れる、美しくもどこか淋しいオルゴールの旋律が印象的。
02人魚
名作『人魚姫』の世界を現代で、かつ天野月子流ロックで歌えばこうなる……!? 確かに一途でピュアな心の人魚姫も、ひとりの「女」であり、平和な海の世界じゃ満足できなかったロックンローラーであることには変わりなし。大胆なイマジネーションとストーリー・テラーぶりが全面開花した名ロック・チューン。
03人形 (ERROR○△ TEGAMIX:曾田茂一)
會田茂一の手によるリミックス。ひたひたと迫る静謐なビートの中から、夜の海のような得体の知れない不安が手を伸ばしてくる。リミックスとはいえ、原曲をまったく別のサウンドに変身させるという手法は取らず、彼女の中に確実に存在する怪物的なダーク・サイドを見事に音像化した、プロデューサーならではのアプローチ。