ミニ・レビュー
2002年11月末で活動を休止した2人組のラストを飾るベスト盤。初期の(6)に代表されるワタナベイビーのシニカルなコミカルさと、小見山雄飛のポップ・マニアぶりは痛快なほど対照的で、そのコントラストこそがホフだった。今後のソロ活動にも期待。
ガイドコメント
活動休止が決まったホフディランのベスト。ポップとフォークが同居し、70年代の雰囲気が漂うキャッチーでゴキゲンなサウンドが、ここにもいっぱい詰まってます。
収録曲
01ホフディランのテーマ (Analog version)
1stアルバム『多摩川レコード』のオープニング曲。“よろしくね”と自己紹介するホンワカな歌詞とワタナベイビーの個性的な歌声の相性が実に良い。終盤に一度回転数を落としたアナログ・ヴァージョン。
02FREE STYLER
5thアルバム『PSYCHO POP KILLER BEE』収録曲。打ち込みと生演奏をほどよく織り交ぜたポップ・ロックで、曲名を繰り返すサビはシンプルで耳なじみが良い。ぎこちないスクラッチも微笑ましい。
03ふさわしい人
温もりに満ちたフォーク調ナンバー。“同じ時間をありがとう”“バイバイ”と綴られる歌詞は恋人との別れを連想させるが、ホフディランの決別ととらえることもできる。2002年の活動休止宣言の直前にリリースされた。
04HAPPY
4thアルバム『31st CENTURY ROCKS』のオープニングに収録された小宮山雄飛流ダンス・ロック。夜の海で戯れる恋人同士の歌で、軽快な4つ打ちビートからは微塵の陰りもない幸福感が感じられる。
05MY THING
極めて完成度の高いポップ・ロック・ナンバー。センス良く導入されたストリングスや巧みな曲展開、聴き手に勇気を与える歌詞など、非の打ちどころがない。オアシスにも通じるキャッチーなサビが聴きどころ。
06キミのカオ
2001年4月に渋谷ON AIR EASTでライヴ収録された3rdシングル曲。授業中に好きな女の子の顔を描く青春の1ページのような詞で、ワタナベイビーの歌声と相まるにつれ、引っ込み思案な少年像が連想できる。
07summer time POP!
4thシングル「恋はいつも幻のように」にカップリング収録されたポップ・ナンバー。バウンスするリズムと歯切れの良いヴォーカルが、初夏の陽気のように軽やかに響く。SEの歓声はゴルフのギャラリーのようだ。
08ドナー・ドリーマー
“一度だけ抱きしめてくれるなら僕のハラワタをあげるよ”と歌う、微妙な切り口のラヴ・ソング。TOKYO No.1 SOUL SETの川辺ヒロシのプロデュースの下、シングル「長い秘密」にカップリング収録された。
09message from やよいさん 高松編 (「目覚めた時から」ナレーション)
“シンちゃん”ことワタナベイビーの恋人が留守番電話のメッセージを残すという設定のインタールード風スキット。サニーデイ・サービスの曽我部恵一の名前が出てくるなど、少しリアルなところがユーモラスだ。
10遠距離恋愛は続く
2001年6月はBIG CAT大阪でのライヴ音源。“絶対に遠距離恋愛は続く”と自分に言い聞かせる歌で、独特の粘りを持つワタナベイビーのヴォーカルを、小宮山雄飛の軽快なピアノがバックアップしている。
11TO THE WORLD
小宮山雄飛が旅行中に作ったという軽快なポップ・ロック。世界中の都市名を織り交ぜながら、ひたすら前へ突き進もうとするポジティヴな歌詞で、聴き手を力強く鼓舞してくれる。シングル・ヴァージョンとはイントロが異なる。
12SEASON
5thアルバムに収録されたディスコ風ポップ・チューン。突き抜けるように爽快なストリングスをバックに、小宮山雄飛ならではのキャッチーなメロディが繰り広げられる。節度あるシンセ・サウンドもよい。
13Do you wanna dance?
原曲はラモーンズによるカヴァーでも知られるボビー・フリーマンの名ロックンロール・ナンバー。渋谷ON AIR EASTでのライヴ音源で、小宮山雄飛のヴォーカルを軸にしたスピード感あふれるアンサンブルを堪能できる。
14message from やよいさん 渋谷編
高松編に続く留守電メッセージ仕立てのインタールード。渋谷編では“ユウヒ君”を引き合いに、“シンちゃん”を傷付けるようなヒドい言葉が並ぶ。“やよいさん”の鼻にかかったブリッ子な声が実に滑稽だ。
15風に吹かれて (DEMO TRACK)
ボブ・ディランのカヴァーではなく、小宮山雄飛作詞曲によるオリジナルのデモ音源。4つ打ちビートを基調としたノリの良いダンス・チューンで、前向きな愛を高らかに歌い上げる小宮山らしいラヴ・ソングに仕上がっている。
16GET READY!!
2001年12月発表のシングル曲。「極楽はどこだ」にも通じるストレートな8ビートのギター・ロックで、キャッチーこの上ないメロディや全世界に愛を発信するポジティヴな歌詞など、小宮山節が炸裂している。
17マッドマン
シングル「MY THING」にカップリング収録された、ワタナベイビーのペンによるロック・ナンバー。怒っていそうなタイトルだが、彼の人なつこい歌声や『バットマン』のようなコーラスなど、やはりどこかほのぼのとしている。
18長い秘密
トライアド移籍第1弾としてリリースされたシングル曲。親しみやすい大らかなサビのメロディも、“君”を想い出す切ない歌詞も強力にノスタルジック。詞と曲の世界観がベスト・マッチした、完成度の高いポップ・ナンバーだ。
19あまりに大きな君
アコギのアルペジオが落ち着いた雰囲気を演出するフォーク・ロック・ナンバー。先の見えない不安げな恋愛観がテーマだが、必ずしも後ろ向きでない視点が味わい深い。シングル「極楽はどこだ」のカップリング曲。
20スマイル (1st DEMO)
96年7月発表の記念すべきメジャー・デビュー曲のデモ音源。どこか初々しさの感じられるワタナベイビーの歌声が聴きどころ。ローファイな音質からも、彼らがデビューする前に自分たちで録音した音源と考えられる。