ミニ・レビュー
1年2ヵ月ぶりのセカンド・アルバム。ふたりの声はパワーもコントロール力も格段に増し、安定したハーモニーが随所に散りばめられている。ダイナミクスにも気を配ったようで、その振り幅も今までより大きくなった。今まで以上に歌に素直に耳がいく快作。
ガイドコメント
300万枚を超えるビッグ・セールスを記録した1stから14ヵ月、ついにCHEMISTRYのニュー・アルバムが完成。その間リリースされたシングル6曲を含む、1年間の集大成といえる充実作だ。
収録曲
01Intro-lude〜You're My Second to None〜
02It Takes Two
切々と流れるアダルトさが覗くメロディに、彼らの感情が高みに打ち出てくるフェイクが乗った6thシングル。ブラックっぽさとダンス・ポップとの調和が、彼らの声を活かすように施されているクリエイティヴな曲。
03STILL ECHO
RYOJI(ケツメイシ)とYANAGIMANが作り出すまろやかでツヤのあるトラックが、CHEMISTRYの中庸なヴォーカルに新たな命を吹き込むミディアム・チューン。どこかしらヒューマニズムを感じるようなサウンド・メイクが光る。
04My Gift to You
Skoop On Somebodyが提供したウィンター・ラヴ・バラード。ヴォーカルという素材を余すところなく発揮させるように、ピアノを基調としたシンプルなサウンド・プロダクションが光る。S.O.Sはコーラスでも参加。
05Runnig Away
06BACK TOGETHER AGAIN/Interlude〜@Electric Lady Studio、NYC〜
07No Color Line
アメリカでの9・11のテロ事件に影響を受けた川畑が作詞した、平和への願いを込めたナンバー。子どもたちをコーラスに配し、ピースフルに温かく描かれる。R.ケリーなどと共演したポール・ライザーが参加。
08FLOATIN'
趣きあるギターの爪弾きから、2ステップへと一気にBPMが上がるダンサブル・チューン。情熱的なスパニッシュ・ギター風のアクセントと、軽快にビートを刻むサウンドの対比が、アーバンなテイストを醸し出す。
09SOLID DREAM
和を思わせる音階からのイントロが、爽快な朝のはじまりをイメージさせるが、どちらかというと、アーバンな雰囲気が漂う。都会の喧騒に立ち向かう自分の応援歌のようでもある。CX系『めざましテレビ』テーマ曲。
10Let's Get Toghther Now (Tokyo Calling)/Interlude〜@Yuigahama、KAMAKURA〜
11RIPTIDE
山下達郎にインスパイアされて、ア・カペラに挑戦した堂珍の初作詞、初ソロ・ヴォーカル曲。浸透圧の高いヴォーカルが、曲の短さと反比例して、心の渇きを時間をかけて潤してくれるラヴ・バラード。
12月夜
月明かりに照らされるように陰影を持ったピアノの存在感が、胸に響くスロー・ナンバー。柴田淳のもどかしさをこのうえなく表現した詞を、深く潜り込みすぎずに、サラリと憎いほど上品に歌う彼らに脱帽する美メロ曲。
13マイウェイ
奥田民生提供のミディアム・トラック。どちらかといえば、異色で扱いのやさしくない奥田の曲を、絶妙のハーモニーというアプローチで、あくまでもケミストリー色を崩さずに攻略することに成功している。
14君をさがしてた〜New Jersey United〜
“The Wedding Song”に重厚さを加えたニュー・ジャージー・ゴスペル・クワイア・ヴァージョン。奥行きのある立体感が問答無用に飛び込んでくる迫力あるクライマックスから、エンディングへの流れは圧巻。