ミニ・レビュー
スター街道まっしぐらに生きてきたことを否定するような、内省的な歌詞がやけに目につく最新作。あんまり幸福じゃないのかなあ。音の方は前作に引き続きドンツクスカスカ&ボコーダー感覚&アコースティックがイイあたりで交わってるが、なんか意気消沈。
ガイドコメント
通算10作目のニュー・アルバムは、007主題歌「ダイ・アナザー・デイ」を含む貫禄の1枚。
ガイドコメント
女王マドンナの通算10作目となるオリジナル・ニュー・アルバムは、007最新映画主題歌として大ヒット中の「ダイ・アナザー・デイ」を含む貫禄の1枚。プロデュースはミルウェイズほかが担当。
収録曲
01AMERICAN LIFE
アメリカン・ドリームの体現者であるマドンナが、自身の人生を自問自答していく。タイトなビートが走るR&B調のサウンドも斬新だが、終盤にかけての臆せず内面を曝け出した畳み掛けるラップに、確固たる自信と誇りが表われている。
02HOLLYWOOD
粘っこいブルース・ギター・リフを基調にオールドスクールなテクノ・ビートを配合し、ハリウッドの虚飾を自虐的に歌う。ハリウッド・スターとして成功を収めた自身が、皮肉を込めて表現した終盤のラップには、鬼気迫るものがある。
03I'M SO STUPID
硬質で太いギターのフレーズが骨身に沁みるブルージィなロック・チューン。前半での“アー”という脳天気な叫びから、小さなバブルの中で欲望を追い求めていた自身を嘆く、自虐的なパーソナル・ソング。
04LOVE PROFUSION
シンプルなギターを走らせたアコースティック・テイストのロック・チューン。私の気持ちを動かし輝かせるのはあなただけ、と淡々としたナチュラルな立ち振る舞いで語りかけるようなヴォーカルが際立つ、ラブ・ソング。
05NOBADY KNOWS ME
デジタル・ビートが立ち込めるなか、ヴォコーダー使いのヴォーカル・ワークが効果的にR&B調ダンス・ナンバーを色づける。“誰も私を知らない”と痛烈に問う一方、自身の生活の充実ぶりを告げる詞が、何とも彼女らしい。
06NOTHING FAILS
マイナー調の旋律が光と陰を映し出すような、シンプルなブルース・ロック。中盤から加わるオーケストレーションとゴスペル風の重厚なコーラスが曲に厚みを持たせ、動じることない超然とした自意識の覚醒を歌っている。
07INTERVENTION
陽性的な雰囲気を持ったブルージィなカントリー調ロック・チューン。愛が永遠や深い絆をもたらす、と真摯に歌う姿は、幾多の苦渋の道のりを越えてきた際に培った信念たるものがうかがえ、母性的な強さが刻まれている。
08X-STATIC PROCESS
息遣いを感じる生命力あるタッチで爪弾かれる、ギターのループが沁みるアコースティック・ナンバー。キリストという句を入れたり、賛美歌調オルガン風の音色を組み込むなど、宗教的で彼女のアイデンティティが表われた作品。
09MOTHER AND FATHER
彼女の自己形成において不可欠な、母親という存在に対する感情を切々と説いたパーソナル・ソング。エレクトロニックなビートを組み込んだナンバーだが、中盤の自身の暗い過去を語っていくラップには、内面を深く切り刻んでいく生々しさがある。
10DIE ANOTHER DAY
アルバム『MUSIC』でタッグを組んだミルウェイズと再び共同プロデュース。シリーズ20作目となるジェイムズ・ボンド映画『007/ダイ・アナザー・デイ』の主題歌で、トランス感覚全開のダンス・ミュージックとなっている。
11EASY RIDE
映画のクライマックスをみるようなドラマティックなオーケストレーションから幕を開ける、アルバム『アメリカン・ライフ』のラスト・トラック。私自身で永遠にあり続けるため努力し辿り着く先は自分の家だ、と歌う内省的な自身へのアンサー・ソング。