ミニ・レビュー
1979年にリリースされたセカンド・アルバム(SACD/CDのハイブリッド盤)。デビュー作と同様レゲエをベースにしているが、新たな要素を交えつつ驚くほど緻密なサウンドに。バンドの人気をさらに高めた大ヒット・シングル(1)を収録。★
ガイドコメント
全英1位を記録した79年発表の2nd。前作以上にレゲエ、アフリカン・ビートが導入されより広い視野でのロックが聴ける。3ピース・ロックの完成された形、ともいえる傑作アルバムだ。
収録曲
01MESSAGE IN A BOTTLE
ポリスのサウンドの変遷とポテンシャルの高さが提示された衝撃作。疾走するビートにアルペジオを駆使した流麗なギター、エモーショナルで美しいスティングのヴォーカルが交錯して、孤独の情念がダイナミックに描かれる。
02REGGATTA DE BLANC
希少なメンバー全員での共作曲。レゲエ×エスニックな雰囲気のジャム・ナンバーで、加速・減速自在のテクニカルなドラミングが魅力的。グラミー賞“ベスト・ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス”部門を受賞。
03IT'S ALRIGHT FOR YOU
「お前とお前とお前は心配ご無用」と、ドライヴ感のあるアンサンブルに乗せてシャウト。彼らのパンキッシュな一面が打ち出された曲調で、押し引きの強さを兼ね備えた巧みな構成。アンディ・サマーズのギターも変幻自在だ。
04BRING ON THE NIGHT
レゲエの陽的要素が楽曲の持つ翳りを逆に増してみせている、“おしるこに塩昆布”的な味わいの佳作。ユニゾン歌唱、サステインを効かせたギター、重さとしなやかさを同時に生み出すドラミングなど、アレンジが非常に効果的。
05DEATHWISH
どっしりとしたジャングル・ビートと流麗なギター・プレイが印象的な曲。意味深長な歌詞は、自ら“死刑にされる権利”を主張し、米国死刑制度に影響を及ぼした異色殺人犯のゲイリー・ギルモアを歌ったと言われている。
06WALKING ON THE MOON
レゲエ・サウンドとロックの融合という、初期ポリスの理想が完璧に具現化されたようなナンバー。ダブ処理が施された浮遊感のあるサウンドは、「人生は月面を歩いているようだ」という幻想的な世界を巧みに表現している。
07ON ANY OTHER DAY
中年男性を襲う“ミッドライフ・クライシス”を描いた曲。作者のスチュアート・コープランドがメイン・ヴォーカルも担当し、スティングでは生み出せそうにないのんきさを振りまいている。ポリスの別の一面が見られるが、ファンの好き嫌いは二分。
08THE BED'S TOO BIG WITHOUT YOU
ルーツ・レゲエにアプローチした、ポリスの作品の中でも最もレゲエ色が濃厚なナンバー。低いベース・ラインを前面に押し出し、ドラム、ギターともにアーシーなテイストが漂い、力強く叙情的なヴォーカルも鮮烈に響く。
09CONTACT
スチュアート・コープランド作。へヴィでミステリアスなベース・ライン、メカニカルなドラミング、幾度も変化するテンポなど、プレグレッシヴ・ロック的な興趣に富んだ曲調を持つ。凡庸な恋愛劇を描いた歌詞との落差が奇妙。
10DOES EVERYONE STARE
スチュアート・コープランド作によるピアノ・リフ主体の曲。デートの前に10回も着替え直す“的外れな男”の悲哀や不安を描いた曲で、各メンバーの音楽的素養の断片を貼り合わせたようなジャンルの混合した曲調が面白い。
11NO TIME THIS TIME
ポリス流サーフ・パンクが展開されるお祭り騒ぎのロックンロール・ナンバー。高速ファンク・ベース、熱っぽいギター・ソロ、終盤のドラム・ブレイクなど好演が山盛りだが、やたらと忙しない曲調にファンの評価は二分した。