ミニ・レビュー
ジャパニーズ・メタルの新勢力である彼らの、メンバー自身の選曲によるベスト・アルバム。シンプルなサウンドとインパクト絶大の歌詞(ジャケットも!?)。その随所からバンドのこだわりが伝わってくる。ボーナス曲(10)は未発表の新曲で要チェックだ。
ガイドコメント
4月の赤坂BLITZで解散を表明した第3期マシンガンズによる、メンバーのセレクトによる究極ベスト。ヘヴィ・メタルをベースにした卓越した演奏力がありながらも、ユニークな視点が楽しいマシンガンズの魅力を満載。
ガイドコメント
ハードなサウンドと親しみやすいキャラクターで一時代を築いた“マシンガンズ”が、衝撃の解散宣言。5年間に発表した55曲の中より、厳選15曲を収録した究極のベスト盤を最後にリリース。
収録曲
01みかんのうた
日本人なら誰もが愛して止まないみかんを、殺人的な絶叫で讃えた名曲中の名曲。彼らの一流の演奏技術と、一流のお笑いセンスだからこそ成し得た、J-メタルの奇跡である。いまだ愛媛県歌にならないのが不思議なくらいだ。本テイクは、99年赤坂ブリッツでのライヴから。観客を煽るテクニックもまた圧巻だ。
02ファミレス・ボンバー
疾走のイントロが続くこと約1分、これは真剣勝負かと思いきや、かのメタル声で“いらっしゃいませ〜! おきまりですか〜!”と、物語は唐突に幕を開ける。ここで一発目の爆笑は必至だ。初デートの彼女を待つ間の踏んだり蹴ったりを、超男前の演奏と殺人的お笑いセンスで綴った、マシンガンズ・ワールド全開の名曲である。
03BURN〜愛の炎を燃やせ〜
ド級の疾走ビートに、バカテク・ギター・ソロ、極めつけはメタルの醍醐味、超高音シャウトの連発! 血沸き肉踊る、これぞメタル・ファン殺しの名曲。狂おしいほど愛に飢えた女の心情を綴ったシリアスな内容ながらも、間奏での女形調な語りに思わずプッと吹き出してしまう……。X-JAPANには絶対出せない味である。
04TEKKEN2
どどどど怒涛のごとく疾走するビートの中を、怒りの鉄拳制裁が乱れ飛ぶ! くらえキックキック! ネコネコパンチ! アチョー! と、連打連打で半殺し。とどめはやっぱり「許せな〜〜いっ!」の超高音シャウト。いや〜な上司にチクチクいじめられる、そんなサラリーマン諸君の病んだ心を救ってくれる、超爽快お笑いメタル。
05狼とキリギリス
誰もが陥る、自堕落・自虐的な気分を戒める、いつになくまじめなスラッシュ・メタル。諦めずに前向きに生きないと、狼少年になっちまうぜ、キリギリスみたく凍え死ぬぜ、というメッセージを、ズンドコズンドコなビートに乗せて、凄みのあるヴォーカルで叩きつける。どんなダメ人間もびしっとさせる、ありがた〜い一曲。
06犬の生活
かなわない片思い。犬になってあなたに飼われたら……、という男の妄想が暴走していく、メロディアス・メタル。首輪をもらって、傍に居るだけで……という慎ましい想いも、ご主人様の彼氏に妬きまくってついにジェラシー炸裂、う〜ワンワンワン! マシンガンズらしい笑えるオチであるが、妙に切なさが残る、これまた名曲。
07illusion city
怒涛のごとく駆け抜ける、正統派メロディアス・メタル。『シティ・ハンター』のスペシャルに主題歌として提供され、少年マシンガーを全国に増殖させた。スリリングでドラマティックな曲展開は、“夜の街のスナイパー”というイメージに見事にハマる。シリアスな名曲ながらも、伝説の爆笑メタル「みかんのうた」のカップリングだった。
08Iron Cross
とにかくダーク、とにかくヘヴィなメタル童話(?)。真の愛を手に入れたいとひたすら願う男に、つかの間の幸せが訪れる。しかーし! 「そのような愛など長続きするはずなどなかったのだぁぁぁ!」という絶叫を境に、マシンガンズらしい、破壊的な暴走に突入。寄せて、上げて、叩き落す、この見事な3部構成に息を呑む。
09そこに、あなたが.....
10リサイクル
「捨ててもいいかな? 捨ててもいいかな?」「捨・て・る・の、や・め・ろーーー!」。疾走ビートの上で展開されるこの掛け合いは、まさにモラル大暴落の日本社会と、世直しメタラー・マシンガンズの戦い。ド迫力シャウトに誰もがゴミ分別に目覚めるであろう、環境大臣賞モノのエコ・メタル。決してお笑いメタルではない。
11さよなら。まぼろし。
うぉぉぉぉ〜あいやぁぁぁ〜! と、アンちゃんの超高音の雄叫びで幕を開け、HIMAWARIのバカテク・ツーバスが大爆走。息をつこうと思ったところで、ツインでハモる超華麗なギター・ソロ……という窒息死寸前の超疾走ナンバー。メタル魂爆裂の男前なプレイに、お笑いメタル・バンドのイメージも一気に払拭だ。
12American Z
マシンガンズ第3期を支えたドラマー、SYPANに捧げられた作品。情熱ほとばしる怒涛のプレイは鳥肌モノ、これぞ男の友情メタル! さすがにここではお笑い度は皆無である。後ろにいるドラムが、どんなにフロントマンに勇気を与えることか……。アンちゃんが彼に絶大な信頼を寄せていたことがうかがえるリリックには涙、涙。
13食べたい なめたい 危険地帯
正統派ハード・ロックにヒップホップ的要素を加えた、マシンガンズ流ラウド・ロックといえなくもないポップなナンバー。ブリッジで聴かせるHEY! YO! は、リリックの語呂のよさと相まってノリノリ。まさにコール&レスポンスにうってつけであるが、このエロエロなフレーズを女性が絶叫するのは、ちょっと厳しいか?
14ONIGUNSOW
15S.H.R.〜セクシーヒーローレヴォリューション〜
アンちゃんとノイジーの爆裂ツイン・ヴォーカルが、日本の男たちに革命を起こす! 男の発情エネルギーをそのままメタルにしたような、インパクト抜群の一曲。極太のコーラスと男前のドラミングが生み出すマッチョ感とグルーヴ感も秀逸。しかし何よりの魅力は、やはり音のかっこよさとお笑い歌詞、というギャップに尽きる。
16桜島
世の中への怒りを桜島の噴火に例えた、奇抜なアイディアが光る和風疾走メタル。サビの「どかんどかんどかんどかん」は、一度聴いたら二度と忘れられないインパクト。こんな怒り爆裂の歌の中で、最後に「とうちゃ〜ん、かあちゃ〜ん、ビッグだぜ〜桜島」と、故郷をしっかり讃えている義理堅いアンちゃんが愛しい。