ミニ・レビュー
伸び盛り売れっ子シンガー、第2作。ジャケは広げるとポスター調になるなど、徹底した“見せます”路線。だが、ドラマティックな演奏に乗る歌は相当なハリと粒立ちアリ。別ディスクのDVDでは、インタビューやクリップのメイキング付き。素顔をかいま見られる。
ガイドコメント
シングル「フーリッシュ」、アルバム『アシャンティ』を大ヒットさせた、メアリー・J.ブライジに続くヒップホップ・ソウルのニュー・スターによる日本独自企画盤。セカンドにDVDをプラスしたスペシャル・エディション。
収録曲
[Disc 1]
01イントロ
アルバム『チャプター2』のオープニングを飾る、イントロダクション的なナンバー。アシャンティの歌声をスピーカーの右へ左へちりばめた立体的なサウンドに、これから始まるストーリーへの期待を否が応にもかき立てられる。
02シャニーズ・ワールド (feat.チンク・サンタナ)
壮大なスケールのバック・トラックに、チンク・サンタナの情熱的なライムがリスナーを煽る! アシャンティ自身は歌わず、サンタナのファンキーなラップが全編を彩っている、ブラックかつダンサブルなナンバーだ。
03ロック・ウィズ・U
ジリジリと太陽が照りつけるサマー・ビーチにラジオから流れてくるのがこの曲だったなら、どんなにワクワクさせられるだろう。思わずアッパーな気分にさせられてしまうホットなR&Bチューン。
04ワット・アー・ゼイ・ガナ・セイ・ナウ (スキット)
アルバム『チャプター2』に収録の約30秒のスキット。女性と男性が会話を投げかけあっている街風景が舞台。甲高くファットな「What Are They Gonna Say Now」の女性の声が雑踏の中で響いて、次曲「ブレイクアップ・2・メイクアップ」へ移行する。
05ブレイクアップ・2・メイクアップ
メアリー・J・ブライジやチャカ・カーンで知られる「Sweet Thing」を、アシャンティ風にアップデートした、メロディアスなミディアムR&Bチューン。ハイハットやスネアが前面に表われ、ワウを効かせたエレキとともに夏らしいグルーヴを演出。みずみずしいヴォーカルも心地良い。
06アイ・ファウンド・ラヴィン
オリエンタルなシンセ・リードと80年代を彷彿とさせるアレンジが印象的な、Fatback Bandのカヴァー。ファンキーなグルーヴが流れるなか、水を得た魚のようにアシャンティの熱く激しいヴォーカルが、活き活きと映える、ダンサブル・チューン。
07レイン・オン・ミー
苦しみのどん底に落ちた女性の魂の叫びをたっぷりと感情込めて歌い上げ、ダーティな雰囲気が漂う。黒人の苦しみを歌った往年の名シンガー、ビリー・ホリディを彷彿とさせるディープな熱唱が素晴らしい、アイザック・ヘイズ「Look Of Love」をサンプリングしたミディアムR&Bナンバー。
08ゼン・ヤ・ガン (feat.チンク・サンタナ)
アイズレー・ブラザーズをネタ使いした、スロー・テンポによるヘヴィなサウンドが特徴的なヒップホップ・チューン。チック・サンタナの粘着性のあるラップとアシャンティの艶やかなヴォーカルとのシンクロが絶妙。気だるさを誘う弦の音色のアレンジも効果的だ。
09リヴィング・マイ・ライフ
タイトなバスドラ、スネアのリムに、ピアノとストリングスがシンプルに寄り添うミディアム・スロー・チューン。激しさはそれほどないが、淡々としたフレーズのなかを揺らぎ漂うようなアシャンティのヴォーカルがグルーヴィ。
10ブラック・チャイルド (スキット)
21世紀の“ブラック・イズ・ビューティフル”宣言がここに! チック・サンタナがアメリカ中の黒人に向けて“女版ギャングスタ”アシャンティの魅力をイントロデュースする、アルバム『チャプター2』に収録のヒップホップ・スキット。
11フィール・ソー・グッド
ジャジィなブラス・セクションが印象的なイントロの上をブラックなラップが絡み合い、アシャンティの迫力あるヴォーカルが登場。バリー・ホワイトをネタ使いした、リズムを強調したアダルトなムード漂うセクシーなR&Bに仕上がっている。
12キャリー・オン
愛する男性の心変わりにショックを受けながらも、強く立ち上がろうとする女性の心情を歌い上げたリズミックなR&Bナンバー。ストリングスを効果的に使った荘厳かつ力強いアレンジと感情を込めたアシャンティのヴォーカルがマッチした1曲。
13ザ・シュガー・シャック (スキット)
コロコロ転がるようなディキシーランド風のジャズ・ピアノと男性の土着的なラップが絡む、わずか1分強のセッション風スキット。要素としてはささやかだが、ブラックなムードと底抜けの明るさを十二分に表現した1曲だ。
14ザ・ストーリー・オブ・2
リック・ジェイムス風サウンドを下敷きにした、ソウルフルなミディアム・スロー・ナンバー。モータウン的なブラックネスが活かされたグルーヴ感の上で、ダイナミックに熱唱するアシャンティのヴォーカルが魅力。アメリカンな雰囲気満点の1曲だ。
15OHHH AHHH
小刻みに刻まれるビートとそれにかぶさる妖艶なメロディ・ラインとの融合が、アダルトな雰囲気を醸し出すミディアム・スローR&B。小悪魔的な女性の気持ちを情感たっぷりに歌い上げる、アシャンティのヴォーカルがたまらなくセクシー。
16シャニー・シア (スキット)
アルバム『チャプター2』に収録の、アシャンティの妹、シーアとの会話の掛け合いから、ア・カペラで見事なハーモニーを聴かせるインタールード。それぞれが競い合うように“Let Me Go! Let Me Go〜”と歌い上げるスキルに驚く、1分強のスキットだ。
17スウィート・ベイビー
愛する男性に向けての燃え上がる思いを、ムーディなコーラスとメロディで聴かせるオトナのR&Bナンバー。フラットで淡々と刻まれるリズムの上で透き通ったコーラスと、情感たっぷりのヴォーカルを聴かせている。
18U・セイ、I・セイ (feat.ガンズ)
ガンズをフィーチャーした、スリリングなビートが特徴のR&Bナンバー。テクニカルで一筋縄ではいかない生ピアノのリフと8ビートのリズムの上を紡ぐ、ラップ調のヴォーカルが印象的。2コードのシンプルなサウンドながら、じっくりと聴ける彼女のヴォーカル・スキルに要注目。
19アイ・ドント・マインド
エロティックにセクシーに、女性の武器を最大限に使いまくった赤裸々なスロー・ラブ・バラード。デジタルなリズム・トラックが持つアダルトな雰囲気を活かしながら、その上をファルセットで艶めかしくメロディを紡いでいくディープなR&B。ウィスパー・ヴォーカルがたまらない。
20アウトロ (feat.チンク・サンタナ)
チンク・サンタナによるファニーで勢いあふれるラップを前面に押し出した、アルバム『チャプター2』のアウトロ。アルバムに収録の「シャニーズ・ワールド」のトラックが再び登場し、彩りと花を添えている。
21アイ・ノウ
透き通るコーラスとリズム感の良さを全面に押し出したファンキーなヴォーカルがたっぷりと楽しめる、ブラックなムード満点のR&Bナンバー。シンセのリフと淡々と刻まれるベース・ラインが印象的なトラックの上を、華やかなヴォーカルでキメている。
22アイム・ノット・スケアード
か弱かった女の子がある日を境に大成長。自分を手玉に取っていた男に向かってキリリと立ち向かうさまを描いた詞が印象的な、アシャンティ的“逆関白宣言”。サウンドはムーディでメロウなアレンジで聴かせるR&Bナンバーだ。
[Disc 2]〈DVD〉
01スペシャル・インタヴュー
02メイキング・オブ「ロック・ウィズ・U」
03ロック・ウィズ・U
ジリジリと太陽が照りつけるサマー・ビーチにラジオから流れてくるのがこの曲だったなら、どんなにワクワクさせられるだろう。思わずアッパーな気分にさせられてしまうホットなR&Bチューン。
04フーリッシュ
アシャンティの1stシングルにして出世作。DE BARGEの「STAY WITH ME」をサンプリングした、ソウルフルなメロディは、恋に傷ついた女子たちのハートにそっと寄り添ってくれる名曲。