ミニ・レビュー
デスティニーズ・チャイルドの顔が放つ初ソロ作品。もちろんデスチャ流必殺技をちりばめつつ、より甘く、より艶めかしく、より可愛らしく自己主張。差別化を見事成功させているのがすごい。ジェイZ、ミッシー・エリオットらゲスト陣起用も絶妙だ。くすぐり満載の軽やかな美品。★
ガイドコメント
デスティニーズ・チャイルドのビヨンセ、1stソロ・アルバム。JAY-Zをフィーチャリング、カッコ良くかわいらしい「Crazy In Love」や大ヒット曲「03 Bonnie&Clyde」などを収録。
ガイドコメント
女優・モデルとしても活躍する、元デスティニーズ・チャイルド、ビヨンセのデビュー・アルバム。JAY-Zとのデュエット「'03 ボニー&クライド」を含む大ヒット作で、彼女の地位を確立した作品。
収録曲
01クレイジー・イン・ラヴ (feat.Jay-Z)
シャイ・ライツのオールド・ソウルから引用したホーンがド派手に鳴り響くトラックとラップ的なフレージングで、特に若い女性たちをうならせた、ビヨンセの人気を決定付けた超強力なアップ・ナンバー。パワフルでソウルフルなヴォーカルも最高。
02ノーティ・ガール
エキゾティックな音階に乗せて、ドナ・サマーのヒット曲「ラヴ・トゥ・ラヴ・ユー・ベイビー」をネタ使い。サウンドはもとより、刺激的なリリック、艶っぽいヴォーカルとすべての面で巧みに妖しさを演出し、セクシーなアップに仕上げている。
03ベイビー・ボーイ (feat.ショーン・ポール)
レゲエ界の貴公子ことショーン・ポールをフィーチャーした、ダンスホール的なビートによるフロア・ナンバー。アラビア・テイストのフレーズや音色を導入してパワフルな世界を構築することに成功し、「クレイジー・イン・ラヴ」を上回るヒットを記録。
04ヒップ・ホップ・スター (feat.Big Boi・アンド・スリーピー・ブラウン)
「マリリン・モンローがロックとヒップホップを歌っているような曲」と本人が説明するように、歪んだギターをバックにあえてR&Bの歌唱法を封印して歌ってみせた意欲作。ダンジョン・ファミリーの援護射撃も曲調にピッタリはまっている。
05ビー・ウィズ・ユー
ビヨンセが敬愛するシュギー・オーティスのグルーヴィなナンバーと、Pファンク軍団のブーツィーズ・ラバー・バンドの名バラードを引用して、オリジナルなミッド・グルーヴ曲に。淡々と進行するバックと激しく歌い乱れるビヨンセのコントラストが鮮やか。
06ミー、マイセルフ・アンド・アイ
2003年発売のソロ・アルバム『デンジャラスリィ・ラヴ』収録の、失恋を歌ったミディアム・ナンバー。ダウナーなトラックに乗せて、失恋の痛手を自ら慰めていくような歌唱。その中に静かな力強さが感じられる。
07イエス
ゆったりとしたグルーヴと音数を極端に抑えたトラックにより、歌のためのスペースをしっかりと確保。多重録音によるビヨンセの麗しいハーモニー・アレンジや、フェイクによる歌い回しを存分に味わうことができる、小粋でグルーヴィなナンバー。
08サインズ (feat.ミッシー・エリオット)
男性が圧倒的に優位なヒップホップ界において例外的にトップ・アクト入りを果たしたミッシー・エリオットとのコラボ。ただし彼女のヒット曲にありがちな奇抜なカラーではなく、抑制を効かせた繊細なハーモニーが美しいのミッド・チューンだ。
09スピーチレス
言葉を忘れるほど愛しすぎてしまった女性の一途な想いを、ビヨンセが情感豊かに歌い上げるロマンティックなバラード。ベース、ギター、ドラムといったベーシックな楽器によるバックの演奏は、シンプルながらなんとも味わい深い。
10ザッツ・ハウ・ユー・ライク・イット (feat.Jay-Z)
プライヴェートでもパートナーであるジェイ・Zをフィーチャーし、お互いの「好み」を主張し合う恋人のやりとりを演じてみせた、ハッピーかつラヴリーなミッド・チューン。歌とラップとのデュエット曲としては異例なほどしっくりとしたまとまり具合だ。
11ザ・クローサー・アイ・ゲット・トゥ・ユー (デュエット:ルーサー・ヴァンドロス)
ダニー・ハザウェイ&ロバータ・フラックによる名曲を、大先輩のルーサーとデュエット。静かなイントロからスッと入っていく古風だが洒脱なアレンジや、トップ・シンガー同士ならではの余裕のやりとりが極上のバラードだ。
12デンジャラスリィ・イン・ラヴ2
デスティニーズ・チャイルド名義で吹き込んでいたバラードをソロでリメイク。新たに生ピアノをフィーチャーし、しっとりとした雰囲気をより強く押し出した内容へと微調整しているが、力強くドラマティックな基本路線は同じ。ソウルフルなのだ。
13ビヨンセ・インタールード
インタールードというよりもちょっとしたポエトリー・リーディングと言った方が似合う曲。ギターをつま弾く音がうっすらとバックに聴こえる中で、ハーモニーを色に喩えた詩を朗読している。詩を読む風のビヨンセも魅力的だ。
14ギフト・フロム・ヴァーゴ
シュギー・オーティスの「レイニー・デイ」にインスパイアされて作ったというジャジィな響きが耳にやさしい、軽やかなラブ・バラード。恋から愛へと急速に深まりゆく乙女の想いをストレートに歌った、キュートなリリックが聴きものだ。
15ホワッツ・イット・ゴナ・ビー
2パック「I Wonder If Heaven Got A Ghetto(Hip-Hop Version)」をネタ使いした極上のメロウ・チューン。ネタに対するメロディの乗せ方が素晴らしく、ビヨンセのグルーヴへの適応能力の高さを証明しているという意味でも注目すべき曲。
16'03 ボニー&クライド (Jay-Z・フィーチャリング・ビヨンセ・ノウルズ)
ジェイ・Zにフィーチャーされる形ではあるが、ソロ・キャリアにおける初のヒットがこれ。プリンスの「イフ・アイ・ウォズ・ユア・ガールフレンド」の歌詞を引用しながら、「2003年のボニー&クライドはこのふたり」と運命的な結びつきを歌い上げる、実はお熱い歌。
17ワーク・イット・アウト
ビヨンセの記念すべき第1弾シングルにして、ヒロイン役に抜擢された映画『オースティン・パワーズ ゴールド・メンバー』の主題歌。力のないホーンを煽るようにドライヴしまくるビヨンセのヴォーカルが、フリーキーでクールだ。