ミニ・レビュー
ニューヨーク出身ながらも、英国バンドと聴き間違えるほどに陰鬱でサイケデリックな雰囲気を漂わせた4人組のデビュー作。とはいっても、根っこには米国90年代の荒涼感があり、米国と英国との微妙な“折衷”が、このバンドのオリジナリティとなっているのも事実。
ガイドコメント
ガレージ・ロックの最重要都市ニューヨークのレーベル“マタドール”が、インターポールのデビュー・アルバムを復刻。2002年の作品で、全米インディーズ・チャートを賑わせた「PDA」を収録。
収録曲
01UNTITLED
明滅する光のようなギターの音色で幕を開ける耽美的なナンバー。ダークなサウンドの中にゆらりと浮かび上がるポールの歌声がやけに美しく響く。レディオヘッド、ミューズなどの打ち出してきたサウンド・スケープの正統な後継者を感じさせる作品だ。
02OBSTACLE 1
テレヴィジョンの名曲「マーキー・ムーン」を思い出させる金属的なギター・カッティングと、メランコリックなメロディが有機的に絡み合っていくドラマティックなナンバー。練り上げられたサウンドの昇華感は、落涙するほどの美しさ。
03NYC
憂いをたっぷりと含んだサウンドと艶やかなポールの歌声が、シルクのような繊細さを伴ってするりと吹き抜けていくバラード・ナンバー。さらりと織り込まれてくるキーボードやコーラスがそっと彩りを加えている演出が上手い。
04PDA
垂直なビートと痙攣気味のギター・フレーズが印象的なニューウェイヴ・ロック・チューン。イアン・カーティスを彷彿とさせるポールの歌声をはじめ、ジョイ・ディヴィジョンの影響が楽曲のそこかしこに感じられる。
05SAY HELLO TO THE ANGELS
小刻みなギター・カッティングと憂いのあるヴォーカルが描き出すダークで詩的な世界は、ザ・スミスを彷彿とさせる。比較的ストレートなサウンドではあるが、時々顔を覗かせるメランコリーなフレーズには思わず聴き惚れてしまう。
06HANDS AWAY
歌はほとんどなく、インスト色が若干強い一曲。深い闇と悲しみをたたえたフレーズが織りなすメロディは鎮魂歌のよう。それらが徐々に絡み合い、壮大なサウンド・スケープへと変化していくさまは感動的ですらある。
07OBSTACLE 2
退廃的でダークなサウンドとあちこちでエコーする呪文のようなポールの歌声が、心を惑わす妖艶なナンバー。徐々に密度を増していく湿度の高いサウンドは、濃霧のように身体にまとわりついてくる。
08STELLA WAS A DIVER AND SHE WAS ALWAYS DOWN
メランコリックなギター・フレーズと物語を朗読するような歌声が、完成された世界観として眼前に広がっていくドラマティックなナンバー。救いのない絶望的な状況であるにもかかわらず美しさをはらませたサウンドは、映像として脳裡に浮かぶように鮮明だ。
09ROLAND
粗暴なギターがスピードを伴って突っ走っていくロックンロール・ナンバー。フリーキーなサウンド展開や絡み合うギターのフレーズは、彼らのベースとなっているニューウェイヴよりも、ソニック・ユースなどのオルタナ・パンクを彷彿とさせる。
10THE NEW
美しいギターやメランコリックなメロディが耽美的でうっとりするほど甘い香りを放っているが、フリーキーなギターのディレイが反復されるイントロなど、ところどころに「毒」が見え隠れしている。まさに綺麗な花にはトゲがあるといった具合だ。
11LEIF ERIKSON
闇の中を漂っているような陰鬱としたサウンドに徐々に光が差し込んでいき、一気に世界が開けていくさまが、圧倒的な美しさとカタルシスでリスナーを包み込んでいく感動的な一曲。アルペジオのフレーズやオルガンのサウンドが効果的に使用されている。
12HANDS AWAY
歌はほとんどなく、インスト色が若干強い一曲。深い闇と悲しみをたたえたフレーズが織りなすメロディは鎮魂歌のよう。それらが徐々に絡み合い、壮大なサウンド・スケープへと変化していくさまは感動的ですらある。
13OBSTACLE 2
退廃的でダークなサウンドとあちこちでエコーする呪文のようなポールの歌声が、心を惑わす妖艶なナンバー。徐々に密度を増していく湿度の高いサウンドは、濃霧のように身体にまとわりついてくる。
仕様
※〈CDエクストラ〉内容:PDANYCオブスタクル1