ミニ・レビュー
2003年初の音源となるマキシ・シングル。“静寂な疾走感”とでも形容すべきバンド・サウンドのなかで歌われるのは、大切な人に対する愛憎が入り交じった激情。彼女の得意とする詩的な表現を抑え、いつになく直情的な表現が新鮮な印象を残すロック・チューン。
ガイドコメント
80年代風味を増した待望の新曲は、まっすぐに進んでは直角にしか曲がれない、不器用な愛の形を描いた天野月子史上最速ナンバー。めまぐるしく展開するカップリング曲とともに、世界観の広がりを強く感じさせる。
ガイドコメント
短い期間に発表された2枚のアルバムで絶対的な世界を作り出した彼女の久々のシングル。女性の一途な愛をハードなアレンジで表現した、彼女らしいナンバー。歌謡曲っぽいメロディが耳に残る。
収録曲
01鮫
2003年からスタートした「漢字一文字シングル三部作」の第1弾。この前のアルバム『MEG&LION』で確実に自分の表現の核をつかんだ彼女は、ここから独自の作風を確立させていく。エモコアなのか、それとも80'sの不良系TVドラマから流れてきたロック歌謡なのか、もはやどっちでもよくなる豪快なテンションは最高。
02亀
“ゾウガメが環七で水浴びしてた”のを見かけたため、「私」も飼いたくなって、一流建築家に風呂の改築を依頼する……というシュールでとぼけた詞がひたすら強烈。変拍子だらけのトリッキーなリズム、天野月子のどこまで本気なのかわからない飄々とした歌い回しも、聴き手に不思議な引っかかりと妙な後味を残す名曲。