ガイドコメント
1年半ぶりのニュー・アルバムは、そのタイトル“ドーベルマン”にふさわしく気品と野性を兼ね備えた作品。圧倒的なギター・サウンドはもちろん、吉田修一や豊川悦司など豪華作家陣も参加。
ガイドコメント
1年半ぶりのニュー・アルバムは、そのタイトル“ドーベルマン”にふさわしく気品と野性を兼ね備えた作品。圧倒的なギター・サウンドはもちろん、吉田修一や豊川悦司など豪華作家陣も目を惹く。
収録曲
01DOBERMAN
プロディジーあたりとリンクする、パンキッシュ&エレクトリックな音像を持つ、アルバム『DOBERMAN』のオープニング・ナンバー。人に飼いならされることなく、どこまでも自分を貫いていけ。そんなメッセージがビシビシ伝わってくる歌とメロディックかつアグレッシヴなギター・ワークのバランスが美しい。冒頭の犬の吼え声もかっこいい!
02弾丸ロック
作詞に町田康をフィーチャーし、異色のコラボレーションが実現したナンバー。わけのわからないパワーがみなぎり、自分でも制御不能、どこまでもぶっとんでいく……。そんなイメージが浮かんでくるリリックは、日本語の可能性を広げ続ける町田にしか書けない。彼の言葉に刺激を受け、布袋のメロディもぶっとびまくり。
03TWISTED BON VOYAGE
シンプルな8ビートと超キャッチーなメロディが炸裂するポップ・ロック・チューン。ライヴでの大合唱が目に浮かぶようだが、コーラス、ギター・ソロ、鍵盤のアレンジなど、随所に彼らしいセンスが見られ、単なる盛り上がりソングになっていないところはさすが。コーラスにPERSONZのJILLが参加。
04やるだけやっちまえ!
“ワン、ツー、スリー、フォー”というドラマーのカウントからスタートする、ライヴ感たっぷりのナンバー。簡素でオーソドックスなリフを軸としたシンプルなロック・サウンドのなかで、タイトルどおり“やっちまえ!”と鼓舞する布袋のヴォーカルが響く。大らかでポジティヴなヴァイブレーションがなんとも気持ちいい!
05GET HIGH!!!
メロディックかつダンサブルなギター・フレーズが暴れまくるイントロが鳴った瞬間、思わずこぶしを突き上げたくなる。華やかでポップ。これもまた、布袋の持つ武器のひとつだろう。「GET HIGH!!!」という、めちゃくちゃダイレクトなテーマを、音そのもので体言してしまうセンスと勢いにリスペクト。文句なく楽しい!
06NOCTURNE No.9
クラシカルな雰囲気の鍵盤にうっとりしていると、いきなり、火花を散らすような8ビートが走りはじめる。意外性に満ちたオープニングを持つロックンロール・ナンバー。サビに入ったとたんに疾走感を増していくメロディ、ザ・ナック「マイ・シャローナ」を彷彿とさせるギター・ソロ、ハッピーな空気をまとったヴォーカルが、楽しい。
07EVIL DANCE
“シック&ゴシック”と形容したくなるようなサウンドが布袋の音楽性の広さを伝える、悪魔的ムードのダンス・チューン。歌のメロディと絡み合いながら、楽曲全体に深みを与えるギター・ワークは絶品。決して派手さはないが、こういう曲にこそ、彼一流のセンスが感じられる。作詞は人気女流作家の小池真理子。
08デスペラード
マカロニ・ウエスタン(または“必殺 仕事人”)風なトランペットをフィーチャーしたイントロが印象的。楽曲全体にもラテンのムードがびっしり詰まっていて、「布袋には、こんな側面もあったのか?」という驚きにとらわれる。“ムーチョスグラシアス セニョーラ”なんていう歌詞も、楽曲の世界観にぴったりリンク。
09グレイト・エスケイプ
作家・吉田修一による“走れ! 逃げ切れ!”というイメージをまとった歌詞に、ブルースに足をとられながら、それでも前に向かってつんのめっていくロックンロール・ビートがよく似合っている。3ピースでも再現できそうなシンプルなサウンドとワイルド&セクシーなヴォーカリゼーションも、きわめて印象的。
10NEW WORLD
作詞は映画での共演をきっかけに親交を深めた、人気俳優の豊川悦司。正義という名のもと、合法的な(!)暴力がはびこる世界を憂いながら、それでも“新しい世界”を目指して進んでいく意思を伝えるこの歌には、豊川の(知られざる)人柄がはっきりと描かれている。切なさと温かさを同時に感じさせる布袋のメロディ・ラインとヴォーカルも高品質。
11ハウリング
猛犬のうなり声をイメージさせるギターと壮大なオーケストラによるイントロから、楽曲の持つ奥深い世界観にぐいぐいと引き込まれていくインスト・ナンバー。孤独を抱えながら、自らの理想を目指して荒野を歩いていく……。この曲に与えられたメロディからは、そんな映像が浮かび、男のダンディズムがむんむんと伝わってくる。