ミニ・レビュー
アジカンのメジャー初アルバム。絶望と希望がゆらぎながら失踪する男の子ロック。青春です。泣きます。燃えるメロも、パワフルな演奏陣も、ときおり見せる絶叫や裏声ヴォーカルも全部が全部、いとおしくてたまらない。2003年最高のロック・アルバムと断言しよう。★★★。
ガイドコメント
注目度ナンバーワンのバンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの初のフル・アルバム。ミニ・アルバム『崩壊アンプリファー』で垣間見れた才気が、ついにその全貌をあらわす。
ガイドコメント
注目度ナンバー・ワンのバンド、アジアン・カンフー・ジェネレーションの初のフル・アルバム。ミニ・アルバム『崩壊アンプリファー』で片鱗を見せた才気が、ついにその全貌をあらわす。
収録曲
01フラッシュバック
アジカンがメジャー・シーンに舞い降りた、記念すべきデビュー・フル・アルバム『君繋(キミツナギ)ファイブエム』。その冒頭を飾るのは、ナンバーガールを思わせる爆裂サウンド。2分にも満たない演奏時間もGOOD。
02未来の破片
1stアルバム『君繋ファイブエム』に収録された、轟音ギターが鳴り響くロック・ナンバー。曲の中に込められた明と暗の機微が、切なくも楽しかった、何とも表現できない青春時代を思い出させてくれる。
03電波塔
「繋がる」というアルバム・コンセプトを、特に直裁に語った一曲。まばゆいばかりにストレートでイノセントなリリックと、不純物の一切ない瑞々しいサウンドに、歌に嘘をつかないアジカンというバンドの真っ正直さを知る。
04アンダースタンド
朝焼けのなか、不安にかられて涙を流す……。一度聴いたら確実にひっかかりを残すであろう情緒的なメロディと、ソリッドなカッティング・ギターが、リスナーの頭のなかをゆらゆらと反芻する、アルバム『君繋ファイブエム』きってのマスターピース。
05夏の日、残像
デビューしたての頃は、才気にあふれながらもどこか舌足らずな印象だった。ポエティックな詩情が全編を柔らかく包み込むこのナンバーは、アジカンというバンドが完全に成熟しきったことを証明している。日本語ロックの新たな到達点。
06無限グライダー
「飛ぶ」こととは、アジカンというバンドが結成以来一貫して提示し続けているイメージでもある。理想と現実の狭間でもがき苦しみ、そこから羽ばたく力を「無限グライダー」というコトバに託した青春狂奏曲。
07その訳を
とにかく重厚でエモーショナルなギター・サウンドが持ち味のアジカンなだけに、イントロの意外なくらい軽やかなコーラス・ワークに思わずはっとさせられる。透明感のあるハモリには少年性すら感じられる。
08N.G.S
2002年に解散したバンド、ナンバーガールは今なお日本のロック・シーンに影響を与え続けている存在である。アジカンが彼らへのリスペクトを表明したのがこのナンバー、「N.G.S(ナンバーガール・シンドローム)」。
09自閉探索
タイトルからして何だかものすごいが、実際に聴いてもものすごい。「叩き割った」「壊してよ」といった強烈な言葉のその向こうに、痛切な叫びが聴こえてくる。後藤の絶叫ヴォーカルに打ちひしがれるべし。
10E
もともと洋楽志向の強いアジカンのロック・テイストがうかがえる一曲。ブリット・ポップの代名詞であるオアシスの名曲「Live Forever」のギター・ソロが、そっくりそのまま使われていることは有名。
11君という花
リズム・ラインが美しく、彼らの実力が如実に表出した曲とも言える。恋愛に生まれる悩みや葛藤を前向きとらえ、常に前進していく気持ちを分けてくれそうな内容になっている。
12ノーネーム
細かく刻まれるドラム・ビート、レディオヘッドのように陶酔感のあるギター・アンサンブル。無私性のなかにこそ、強烈な私性が息づく。このナンバーには新しいロックンロールの萌芽が、確かにある。