ミニ・レビュー
2年ぶりとなるサード・アルバムはロックンロールが決して懐古主義へと流れないしなやかさをたたえている。音楽の日常性と風景や感情の彩りが誠実かつ静かに滲み出ているその音と言葉の前では、悦びとかいう大袈裟でない生きることの素敵さを教えられる。★
ガイドコメント
オールド・ファッションでいながらも、新しいグルーヴを聴かせてくれる、LOVE PSYCHEDELICOの3rdアルバム。2年ぶりとなる作品で、先行シングル「My last fight」ほかを収録。
ガイドコメント
オールド・ファッションでいながらも、新しいグルーヴを聴かせてくれるLOVE PSYCHEDELICOの3rdアルバム。前作より2年ぶりとなる作品で、先行シングル「My last fight」ほかを収録。
収録曲
01Everybody needs somebody
ローリング・ストーンズのような間を生かしたロック風ギター・リフに、日本語と英語とのバリア・フリーをなし得たヴォーカルがブルージィに絡むナンバー。映画『ホテルビーナス』主題歌。
02Mind across the universe
スリリングなベース・ラインが生み出す強烈なグルーヴ感と乾いたロック・サウンドが共鳴した、デリコ流オルタナティブ・ダンス・チューン。宇宙空間の如くスケール感を放つKUMIのヴォーカルは、Bjorkのそれを彷彿とさせる鮮やかさ。
03My last fight
アップテンポながら、マイナー調で穏やかな印象で綴られていくナンバー。現実を等身大にさらりと歌っているような雰囲気が感じられ、派手さこそないものの、しっとりと聴ける佳曲。
04all over love
けだるさを帯びたメロディ・ラインと、KUMIのアンニュイなヴォーカルが絶妙にマッチした、アダルトなアコースティック・ナンバー。デジタル・サウンドを程よく効かせ、スタイリッシュに仕上げるデリコ的センスも秀逸。
05Happiness
去っていく男を、なす術なく見送る女……、そんな別れのシーンを描いた、GSテイストの軽快なロック・ナンバー。ウェットになりがちな女の心情も、KUMIならではのクールなヴォーカルで綴れば、“潔い別れ”にキマってしまう。
06I am waiting for you
人と人との触れあいをアコースティックの温かい雰囲気で包んだナンバー。日本語と英語を違和感なく織りまぜ、流れるように歌いあげる。彼らにとっての新境地といえる作品だ。
07fleeing star
つかみバッチリのキャッチーなリフに、荒削りなサウンドが、まさにローリング・ストーンズ。キースが乗り移ったかのようなNAOKIのギター・プレイは強烈。KUMIのヴォーカルも心なしか、粘っこいミック風(?)。
08裸の王様
疲れた体を癒しなさいと諭すような、安らぎのあるフォーキーなサウンドが特色。曲の展開によって変化する音のニュアンスが、微妙な心の動きを表現しているよう。陰と陽が絶妙なバランスを保つカントリー風フォーク・ナンバー。
09Silver dust lane
ローリング・ストーンズ「ホンキー・トンク・ウィメン」風の重く引きずるようなアクセントによるギター・リフを軸に、ブルージィなメロディをアンニュイに歌う、渋いヴォーカルが聴けるナンバー。
10Hello
哀愁を帯びたギターがアニマルズを彷彿とさせる、ブリティッシュ・ビート風ナンバー。オールディーズのラジオ局から流れるような懐かしいイントロながら、KUMIのヴォーカルが入った瞬間、それは紛れもなくデリコ・サウンドと化す。
11neverland
ビートルズのかの名曲「ミッシェル」を想い起こさせる、叙情溢れるアコースティック・ナンバー。珠玉のメロディをなぞるKUMIのヴォーカルは、レノン/マッカートニーも絶賛した、カレン・カーペンターのそれを彷彿とさせる。
123
3rdアルバムに収録の、僅か39秒の小曲。反戦デモ・ソングばりの圧倒的なパワーとグルーヴを放ちながら、次なる名ナンバー「GRAPEFRUITS」へと続く。華々しくラストを迎えるためには欠かせない助走といえよう。
13GRAPEFRUITS
シェリル・クロウを彷彿とさせる、荒削りなロック・ナンバー。印象的なフレーズを繰り返すリリックは、同じタイトルを持つオノ・ヨーコの詩集を思わせるが、サウンドはというと、アヴァンギャルドとは程遠い、ポップな仕上がり。