ミニ・レビュー
「Jupiter」の大ヒット後のファースト・アルバム。UKソウルっぽい涼しいノリとサウンドが基調の一つをなしていて、彼女が“中島美嘉以降”のシンガーであることを実感。中低音域が伸びる声質を活かして、今後は「愛の讃歌」のカヴァーなどいかがでしょう。絶対はまる。
ガイドコメント
平原綾香の1stアルバム(2004年発表)。デビュー・ヒット曲「Jupiter」のほか自作オリジナルを6曲と、アンドレ・ギャニオンや妹尾武などの書き下ろしを加えたバラエティ豊かな1枚。
ガイドコメント
平原綾香の1stアルバム(2004年発表)。デビュー・ヒット曲「Jupiter」のほか自作オリジナルを6曲と、アンドレ・ギャニオンや妹尾武などの書き下ろしを加えたバラエティ豊かな1枚。
収録曲
01明日
02empty space
人は誰もが「足りないもの(empty space)」を補い合って生きている……。彼女の音楽活動の根底にある「人類愛」がほとばしる感動のバラード。光が射した深緑の森が、にわかに生命力を満たしていくかのようなドラマティックなアレンジは、平原のデビュー曲「Jupiter」で日本レコード大賞編曲を受賞した敏腕、坂本昌之によるもの。
03Precious Time
深くてハスキーなヴォーカルを存分に活かした、ジャジィなスロー・ナンバー。大人びたサウンドとは対照的に、そのリリックは19歳の素直な気持ちを綴った微笑ましいもの。無理に背伸びをせず、この年齢だから表現できることを……そう意識して作詞に臨んだ等身大の平原にググっと親近感を覚える、愛すべきバラードだ。
04Re:PEPPER
彼女の落ち着いた佇まいからは想像しがたい、挑発的なリリック。バラードで聴かせる深遠なそれとは一線を画す、ソウルフルなヴォーカル。平原=「Jupiter」のイメージをかき消すかのような、情熱のラテン・ナンバーだ。音大在学の平原だが、意外にも歌は自己流。圧倒的な歌唱力、歌唱センスは天性のもの!
05あなたの腕のなかで
ジャズあり、R&Bあり、垢抜けた雰囲気を漂わせる作品群の中では、やや異質のJ-POP的なラヴ・バラード。作曲は、高橋真梨子との共作、TVサントラなど、各シーンで国民的メロディを生み出すマルチ・コンポーザー、妹尾武。壮大なオーケストラをバックに、のびのびと歌い上げる素の歌唱が心地よい。
06Get busy (Instrumental)
フューチャー・ジャズっぽさを持ちながらも、オーガニックな雰囲気のあるインストゥルメンタル。作曲はキーボードも担当している小林信吾。印象的なベースやアナログ・シンセ風のオブリガートも小林のプログラミングによるもの。メイン・メロディのアルト・サックスを吹いているのは平原綾香。
07蘇洲夜曲
西條八十作詞、服部良一作曲による日本のスタンダードのカヴァー。古くは渡辺はま子や李香蘭の歌が有名。90年代以降のファンには、雪村いづみがティン・パン・アレーとコラボレートしたヴァージョンも有名か。平原綾香は、21世紀の代表カヴァーになるほどのオーガニックなトラックに仕上げている。
08Any more
しっとりとしたシンセサイザーの音色に、メロウなピアノの旋律……。80年代のアメリカン・ヒット・チャートを思わせる、煌びやかなスロー・バラード。深奥な歌唱はもちろん、力強くも可憐な、絶妙のファルセットを聴かせる。「ポジティヴな私を感じてほしい」、そんな彼女のスタンスが色濃い自作のリリックにも注目だ。
09Skool for AH
「教科書開いて 今歩き出さなきゃ」……。音楽活動と学校生活の並行、その日々の中で巡らす夢への想いを、アコースティック・ギターの爪弾きに乗せて綴る、切なさ漂うスロー・バラード。ノスタルジックなサウンドの中で際立つ生々しい息遣いに、19歳の「歌」への穏やかな情熱が封じ込められた、永遠の青春ダイアリー。
10Brand-new Day
自分を信じて強く生きる……。現代女性の憧れの生きざまを、持ち前のハスキー・ヴォイスで描くクールなラテン・ナンバー。バンジョーが刻む乾いたリズムが人生という荒野であれば、哀愁と情熱の入り混じる絶妙のメロディは、女の多面性。力強さ、妖艶さ、神聖さを自在に描く、ずば抜けた表現力が光る一作。
11mama
深く包み込むようなヴォーカルが聖母のメッセージのごとく……天国から我が子を見守る母親の愛を綴る、至上のラヴ・バラード。感傷的になりがちなこの手の作品を、あえてブラジリアン・サロンのテイストが漂う、クールなサウンドに。平原の携えるポジティヴィティと都会的センスを存分に解した、坂本昌之のアレンジが冴えている。
12Pure Blue (Instrumental)
13Jupiter
2003年発表のデビュー曲にして代表曲。ホルストの組曲「惑星」の中の「木星」をモチーフに、深遠な日本語詞を書き下ろした。深みのあるヴォーカルと雄大なメロディが、すべてを包み込んでしまいそうな感動的な一曲。