ミニ・レビュー
マリリン・マンソンとレザーフェイスの連合軍みたいなルックスのわりに、サウンド・プロダクションは実にすっきり。変態ギターをちりばめつつも、全体的には爽快な印象すらある。さすがはリック・ルービン・プロデュース。売れるのも納得。
ガイドコメント
メンバーのソロ活動も活発で解散説まで出ていたヘヴィ・ロック9人組の、名作『アイオワ』から約3年ぶりの激音3rdアルバム。リック・ルービンがプロデュースを担当しているのも話題。
ガイドコメント
メンバーのソロ活動も活発で解散説まで出ていた覆面ヘヴィ・ロック9人組の、名作『アイオワ』から約3年ぶりの激音3rdアルバム。リック・ルービンがプロデュースを担当しているのも話題。
収録曲
01PRELUDE 3.0
アルバム『VOL.3〜』の冒頭を飾るお約束のインストであるが、これまでの短いものとは違い、ヴォーカル入りの4分弱のドラマティックな楽曲へと発展。バンド内の不和説を吹き飛ばす“ナウ・イッツ・オーバー”という歌詞が高らかに響きわたる。
02THE BLISTER EXISTS
荒々しい歌声と大きくうねるリズムで終始押しまくるアグレッシヴなナンバー。間奏部分でのドラムとパーカッションによるダイナミックなマーチング風のアンサンブルや高速ギター・リフが聴く者を鼓舞する。
03THREE NIL
2nd『アイオワ』の延長線上にある、ブラスト・ビート炸裂のブルータルなナンバー。攻撃的ではあるが、グルーヴ感、一緒に歌えるコーラス・パートが魅力的で、「ザ・ヘレティック・アンセム」を彷彿とさせる。
04DUALITY
重厚でダークな中にキャッチーなメロディが光るシングル・カットも納得のトラック。高速ラップ、くぐもった低音、クリーン・ヴォイスでのサビなど、ストーン・サワーを思わせる多彩かつ表現力豊かなヴォーカリゼーションが楽しめる。
05OPIUM OF THE PEOPLE
跳ねるような痛快なリズム、シンガロング・パート、ブレイクを多用したストップ&ゴーを繰り返す展開。メタル色の濃いアルバム『VOL.3〜』中で、珍しくパンク/ハードコア・テイストを打ち出した異色のファスト・ナンバーだ。
06CIRCLE
アコギとストリングスを導入したダークで美しいバラード。メランコリックな旋律や中近東風のアレンジを施した、これまでになかったタイプのバラードで、バンドとしての懐の広さと表現者としての成長がみてとれる。
07WELCOME
ドラム缶をひっぱたくような打音と性急なビート、憤怒と悲哀に濡れた怒号が切迫感を煽るファストな楽曲。ギター・キッズ垂涎ものの高速ピッキングとエフェクター使いも鮮やかなレガートなど、華麗なギター・ソロも満載だ。
08VERMILION
メロディアスなサビこそ美しいが、つぶやき、うめき声などを駆使したヴォーカリゼーション、浮遊感のあるエレクトロ、ワウ使用のギター・ソロが不気味な空気を醸し出している。メンバーいわく、「ストーカーの視点で描かれたラブ・ソング」だとか。
09PULSE OF THE MAGGOTS
サイレンの音と軍隊の行進のような足音が響くイントロが印象的な、マゴッツ(スリップノット・ファン)に捧げられた曲。アグレッシヴなツイン・ギターのバトル、スレイヤー調の弾きまくりのソロ、大合唱を誘うコーラス・パートが憎いほどツボをついている。
10BEFORE I FORGET
鋭いリフとヘヴィなグルーヴを主体とした極悪なアンサンブルがパンテラを思わせる、ド迫力のナンバー。ストロングだが、めっぽうメロディアスで、インパクトのあるサビの部分は、ライヴ時のコール&レスポンスが目に浮かぶようだ。
11VERMILION PT.2
「ヴァーミリオン」をアコースティックを主体としたバラードにアレンジしたトラック。ピアノやストリングス、コーラスのアンサンブルが描くサウンドスケープは美しく繊細で、同じ曲とは思えないほど表情、タッチ、フィーリングが違う。
12THE NAMELESS
ユニークなリフを軸としたアグレッシヴなパートとアコースティック調のメロウな旋律が交互に顔を出すユニークな楽曲。くるくると表情を変える声とサウンドに、多彩なアイディアと遊び心が感じられる。
13THE VIRUS OF LIFE
念仏めいた声と引きずり回すような激重リフがひたすら地べたを這いまわる前半から、徐々にノイズやパーカッションが加わり、最終的には捉えどころのないカオスを創出。泥沼にずぶずぶとはまっていくような感覚を引き起こす。
14DANGER - KEEP AWAY
静かで淡々とした展開で、終始、退廃的な雰囲気が漂う。物悲しくも艶と色気を感じさせる歌とコーラスの美しいアンサンブルの妙味が堪能できるが、突然訪れる終わりが衝撃を残す、スリップノット印のバラード。
15SCREAM
野太いヴォーカルやヘヴィなリフ、激しいビート、派手なサンプリングが暴れ回る攻撃的なナンバーと思いきや、サビは口ずさめるほどキャッチー。ギターの活躍度が高いアルバム『VOL.3〜』において、ここでも様式的なツイン・ギターのアンサンブルが聴ける。