ガイドコメント
エルヴィス・コステロの初期作品がボーナス・ディスク付き、リマスター盤でリリース。ニック・ロウがプロデュースした、記念すべきデビュー・アルバム。77年発表。
収録曲
[Disc 1]
01WELCOME TO THE WORKING WEEK
「ようこそ勤労週間へ」と、皮肉と怒りと諦念をない交ぜにして歌う小気味よいポップンロール。1分30秒に満たない短い曲ながら、起伏と緩急がしっかりとある展開に、ソングライターとしての非凡さがうかがえる。
02MIRACLE MAN
彼女を喜ばせるためなら四つん這いで床を這い回りさえする男の、一方的な愛情を歌い上げた曲。彼がたびたび描いてみせる男女間のすれ違いがシニカルな筆致で綴られており、男の欲求不満はサウンドの質感でも体現されている。
03NO DANCING
“ダンス=セックス”の暗喩だとも言われるメロディアスなナンバー。カントリーがかったエレクトリック・ギターに、アコースティック・ギターをアクセントに使った絶妙なアレンジ。ポップ・ソングの旨味が充満している。
04BLAME IT ON CAIN
05ALISON
06SNEAKY FEELINGS
シンコペーションを効かせた軽快なサウンドとコーラス。それでいて歌われるのは、またもや終わってしまった恋。ピアノにハイハット、フィンガー・スナップも加わる曲調の陽気さが、歌詞とのギャップを楽しげに強調している。
07(THE ANGELS WANNA WEAR MY) RED SHOES
力強いリズムと柔和なギターが同居した秀逸な曲調。終わった恋の天才的語り部コステロが、痛ましい恋の一場面を描写する。サビでの強がりをコーラスが冷やかす、平尾昌晃「ミヨちゃん」を思わせる趣向も楽しい。
08LESS THAN ZERO
記念すべきデビュー・シングル曲。英国ファシスト連合指導者オズワルド・モズリーへの不快感を鋭い舌鋒で表明した政治的な作品で、歌詞に負けじと曲調も硬質。彼が指摘し続ける“メディアと思考停止”の関係も歌われている。
09MYSTERY DANCE
10PAY IT BACK
アメリカン・ポップスの旨味を採り入れた懐の深いメロディ、心地よいシャッフル・ビートに乗せた「そのうち金は返してもらうぜ」と繰り返される歌詞。ポップな中にもアクを残したクセのある曲調だからこそ、そのおかしみも増す。
11I'M NOT ANGRY
「キレてないですよ」と、誰が聴いたってキレているサウンドで歌い上げてみせる強がりまみれの失恋ソング。寝取られた恋人に対する怒りを、ドアの向こうの情事を盗み聞きしながらブチまけるところがコステロならでは。
12WAITING FOR THE END OF THE WORLD
コステロがまだ会社員兼任だった頃、帰宅時の電車内で着想したというシニカルな曲。どことなくテンポが列車風になっているように思える楽曲は、ファズがかったペダル・スティール・ギターが印象的。歌唱はかなりボブ・ディラン風。
13WATCHING THE DETECTIVES
[Disc 2]
01NO ACTION
02LIVING IN PARADISE
03RADIO SWEETHEART
04STRANGER IN THE HOUSE
05I JUST DON'T KNOW WHAT TO DO WITH MYSELF
06LESS THAN ZERO
07IMAGINATION (IS A POWERFUL DECEIVER)
08MYSTERY DANCE
09CHEAP REWARD
10JUMP UP
11WAVE A WHITE FLAG
12BLAME IT ON CAIN
13POISON MOON