収録曲
01風を撃て (original ver.)
弟・泰行の作。流れるような曲展開で、軽快に盛り上がるナンバー。左右からそれぞれ個性的なフレーズを聴かせるギターを筆頭に、どの楽器のプレイもじつにスマート。“♪パラッパッパ〜”と歌うコーラスも魅力的だ。
02冬のオルカ (original ver.)
弟・泰行の作。クリス・モンテスなどのA&M系ポップスをセンス良く消化したナンバーで、前半と後半で異なる曲構成など、アレンジの妙も冴えわたる名曲。歌詞の情景と同じ、地平線沿いドライブのお共にどうぞ。
03双子座グラフィティ
弟・泰行の作。ブラスも洒脱なこのポップ・ナンバーは、ベース・ラインがウイングス「心のラヴ・ソング」風。ほのかに甘酸っぱいメロディに、やけに複雑なハンド・クラップと、魅力を挙げたらきりがない名曲。
04雨を見くびるな
兄・高樹の作。抽象的な言い回しの中に淫靡な情景を刷り込んだ、兄お得意のアダルティ路線のナンバーだ。意味深な歌詞とメロディで、苦味を感じさせるキリンジ魔術も冴えわたる。ジョージ・ハリスンを思わせる柔和なギターにしみじみ。
05牡牛座ラプソディ
兄・高樹の作。単一コードが牽引する冒頭から、ラテン調ドゥービー・ブラザーズのようなアレンジへと転じる、軽やかかつどっしりとした人気曲。兄弟の掛け合いも楽しい歌詞は、“ベリィロールで大見得”などのフレーズが秀逸。
06アルカディア
弟・泰行の作。アルカディアつながりか、兄曰く「松本零士的な男気がある」ナンバー。ドラマティックな曲調は、荒野をひとり彷徨うような哀愁ムードたっぷり。フルートを効果的に配したアレンジが絶品すぎる。
07グッデイ・グッバイ
作詞は弟・泰行、作曲は兄弟初の共同制作によるもの。過ぎた恋から立ち直るよう、独特の言い回しで応援する歌詞に、弾んだ調子の楽器たちも賛同。少し後ろ向き加減での前進、そんなひねりも感じさせるメロディアスなナンバーだ。
08君の胸に抱かれたい
兄・高樹の作。彼らにしてはかなり直球な内容のラブ・ソングに思えるが、タイトルが“抱きたい”ではなく“抱かれたい”と受け身なところに兄の甘え上手な一面が!? 音色も豊富なトラックが恋する歓喜を見事に代弁する。
09エイリアンズ
弟・泰行の作。夜の町を歩くワケあり男女を描いたラブ・バラード。ニック・デカロを思わせる弟のファルセットを、兄がハモリで絶妙にサポート。シンプルながらツボを心得たアレンジが、落ち着いた曲調に深みを。
10雨は毛布のように
スコールのような雨の中、傘もささずに濡れていきたい。そんな気分にさせる梅雨から初夏の季節にはぴったり。爽やかな中に甘美な毒を孕んだキリンジならではの極上ポップ・チューン。
11太陽とヴィーナス
弟・泰行の作。バーナード・パーディーを思わせるドラミングなど、スティーリー・ダンさながらのアーバン・ポップスが展開。ギター、ホーン、ドラムスと、全パートに見せ場があり、繰り返し聴くたびに新しい魅力が発見できる。
12Drifter
兄・高樹の作。美しいストリングスが活躍するバラード・ナンバーで、メロディもアレンジもスタンダード・ナンバー級の完成度だ。しみじみとさせる哀愁に加え、歌詞とサウンドに力強さが備わっている。
13ムラサキ☆サンセット
土埃の道をドライブしているような、オールド・アメリカンなトレーラー・ロック。キリンジお得意のひねくれたポップ・センスもキラリと光る、まったく新しいタイプの人生讃歌だ。
14鋼鉄の馬
弟・泰行の作。ラップ・スティール・ギターを使ったカントリー・サウンドで、脳裏をよぎるのはバーズの影。でありながら、歌詞の冒頭では“遠いサハラの〜”と歌ってみせる言語感覚の卓抜さ。軽妙なコーラスも耳に残る秀逸なナンバーだ。