ミニ・レビュー
グラスゴーで地道に活動を続けていた彼らが、ついにシングル(7)で大ブレイク。そして念願のメジャー・デビュー・アルバムとなったのがこれだ。さまざまな表情を見せるギター・サウンドに、エレクトロニカ・テイストなビート。この音は、UKロックの新世代を象徴するものだ。
ガイドコメント
英国からまたも注目バンドが登場。本作は、切り裂くようなディストーション・ギターと繊細なポップ・サウンドが美しい4人組のメジャー・デビュー作だ。大ヒット・シングル「ラン」収録。
収録曲
01HOW TO BE DEAD
3rdアルバム『ファイナル・ストロー』のオープニング・ナンバー。Vo.ギャリー・ライトボディの優しい歌声、シンプルなギター・ポップ・サウンドとエレクトリックの融合が、幻想的な世界を創りだす。
02WOW
軽快な8ビート・ロック・ナンバー。ノイジーなヴォーカルをはじめ、ザラザラした音質が荒削り感を生み出し、曲に勢いを与えている。優しさとクールさをあわせ持つ、彼ららしさが存分に発揮されている。
03GLEAMING AUCTION
Aメロの肩の力が抜けたシャッフルから、圧倒的な音圧のサビへの方向転換が痛快な8ビート・ナンバー。全編を通して力強く刻まれるダンサブルなリズムに、体を揺らさずにはいられないだろう。
04WHATEVER'S LEFT
ノイジーなギターで始まるオルタナティヴ・ナンバー。ハードなアレンジだが、ここでもVo.ギャリー・ライトボディは優しい歌声を響かせる。両者が融合することで、スノウ・パトロール独自の世界観を生み出している。
05SPITTING GAMES
シンプルなアレンジにより生み出される疾走感が心地よい、イントロからポジティヴ感全開のギター・ロック。「必死で言葉を絞り出そうとして、あきらめる」学生の甘酸っぱく切ない心中を描いた、アンセム的ナンバーだ。
06CHOCOLATE
全編を通してキャッチーなメロディが印象的なギター・ポップ・ナンバー。Vo.ギャリーが気負うことなく優しく歌うことで、犯してしまった失敗への後悔を嘆くといった詞の切ない世界観をうまく醸し出している。
07RUN
スノウ・パトロールのブレイクのきっかけとなったナンバー。Vo.ギャリー・ライトボディが意識的に低音で歌うAメロ。そこから大きく展開するサビの高揚感は絶品。UKギター・ロックのお手本ともいえる完成度の高い名曲。
08GRAZED KNEES
アルペジオ&ヴォーカルでしっとりと聴かせるスロー・ナンバー。シンプルなアレンジゆえに、美しいメロディが引き立ち、聴く者の心に響く。スノウ・パトロールの優しさが全面に出された珠玉のナンバー。
09WAYS & MEANS
マイナー・コードを刻むシンセサイザーと力強いビートが、ダークな雰囲気を漂わせるナンバー。「つまり僕たちはみんな暗い面があるということさ」と、人間誰しもが持ち合わせている暗部との葛藤を歌う。
10TINY LITTLE FRACTURES
ノイジーなギター&クラップで始まるアッパーな8ビート・ナンバー。「僕に行ける場所はあるんだろうか」と、若さゆえの不安にあふれた詞の内容だが、ダンサブルなアレンジが楽曲をポジティヴなものにしている。
11SOMEWHERE A CLOCK IS TICKING
ギター&ドラムの変則フレーズが心地よいナンバー。Vo.ギャリーによるコーラスの、「きみに対して何でもやりかねないんだ」というささやくように紡がれるフレーズにグッとくる。静寂から一転してサビの圧倒的な音圧が曲全体を重厚なものにする。
12SAME
3rdアルバム『ファイナル・ストロー』のラスト・ナンバー。心地よいピアノが響くなか、優しい歌声で時として残酷な現実を歌う。「いつもと同じ」という言葉の向こう側に見え隠れする繊細な心情を描いた、珠玉のバラード。
13WE CAN RUN AWAY NOW THEY'RE ALL DEAD AND GONE
4コードで展開していくミディアム・ロック・ナンバー。コードの繰り返しや終始淡々としたヴォーカルだが、後半にチープなシンセのフレーズやコーラスを重ねることで、楽曲に確信めいたポジティヴィティを持たせている。
14HALF THE FUN
Vo.ギャリー・ライトボディのノイジーなヴォーカルがクールなロック・ナンバー。常軌を逸したかのようなギター・ソロも疾走感あるサウンドにぴったりとマッチし、ライヴでは盛り上がること必至だ。
仕様
※〈エンハンストCD〉内容:スピティング・ゲームズランチョコレート