ガイドコメント
大ヒット曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」を含む1965年リリースの名作。詩作と音作りの両面で冒険的かつ意欲的で独創性あふれる作品となっている。ロック史に残る1枚。
収録曲
01LIKE A ROLLING STONE
アル・クーパーのオルガンも印象的な、ロックの大名曲。社会の変化をイメージさせる歌詞、流れるようなコード進行といったディラン一流のセンスがこの一曲で完全に確立。米雑誌『ローリング・ストーン』のGREATEST SONG OF ALL TIMEで第1位に。
02TOMBSTONE BLUES
カントリー・ロック調のリズムに乗って歌われるトーキング・ブルース調の曲。異質な要素を強引に詰め込んだ狂騒的なサウンドが楽しい。ジャンルも時代も飛び超えた著名人たちの名前をちりばめた即興的な歌詞も面白い。
03IT TAKES A LOT TO LAUGH, IT TAKES A TRAIN TO CRY
ミディアム・スローのシャッフル・ビートに乗って歌われるオリジナル・ブルース。ディランの身体から自然にあふれ出したかのようなメロディと歌詞が秀逸。彼自身のマウスハープ・ソロを含む演奏も見事だが、なによりも楽曲と一体化しているヴォーカルが素晴らしい。
04FROM A BUICK 6
アル・クーパーのオルガンをフィーチャーしたエレクトリック・サウンドに乗って、ディランの歌声が自由に徘徊する。車の歌のようなタイトルだが、実は「ボ・ディドリーみたいに歩く」女の歌。サヴァイヴァル・ナイフのようなマウスハープがエレキ・ギターを圧倒している。
05BALLAD OF A THIN MAN
1960年代という時代を象徴する曲のひとつ。“Mister Jones”という別名でも知られ、古い世代を代表しているらしい“Mister Jones”を6分近くにわたって意地悪く責め立てるディランのヴォーカルが素晴らしい。オルガンをフィーチャーしたダルいサウンドも秀逸。
06QUEEN JANE APPROXIMATELY
ディランのフォーク・ロック時代を代表するような名演による名曲。ディランのヴォーカルとエレクトリック・サウンドのテンションが完璧に合致した秀逸な演奏が堪能できる。ピアノ、オルガン、マウスハープが特に好演。彼らしい自然なメロディも心地良く響く。
07HIGHWAY 61 REVISITED
パトカーのサイレンから始まる狂騒的なロック・チューン。ディランの故郷からニューオリンズへと向かうハイウェイを疾走しながら、世界中に喧嘩を売ってでもいるかのような速度と強度は圧倒的。名曲だらけのアルバムの中でも最も強力な演奏が楽しめる。
08JUST LIKE TOM THUMB'S BLUES
1965年のアルバム『追憶のハイウェイ61』収録曲。アル・クーパーらが奏でるフォーク・ロック・サウンドを従えた辛辣なトーキング・ブルース。昔話や童謡に登場する“親指トム”を60年代半ばのアメリカに放り込んだ物語風の歌詞も秀逸。
09DESOLATION ROW
詩人としての才能が煌めくように炸裂し続ける11分20秒のバラード。NYのタクシーの中で書いたという歌詞の即興的なイマジネーションの展開はまさに天才的。11分間を一瞬に感じさせるディランのヴォーカルとリリカルなアコギのリード・ギターも素晴らしい。