ミニ・レビュー
ラスベガスを拠点にする4人組のデビュー・アルバム。新しさはまったくないが、まるでデュラン・デュランがオルタナ風味になったような奇妙なノスタルジーが魅力とも、メロディの人懐こさが魅力とも言える。英米のチャートで大健闘。
ガイドコメント
2001年に結成されたラスベガス出身の4人組のメジャー・デビュー・アルバム。ニュー・オーダーやデュラン・デュランを彷彿とさせる、キャッチーで耳馴染みの良いポップ・チューンが満載だ。
収録曲
01JENNY WAS A FRIEND OF MINE
冒頭のヘリコプターの羽音が印象的。大仰なキーボードのフレーズやグラマラスでダークなサウンドなど、80年代UKロックの影響を色濃く感じさせる。美麗なメロディが秀逸だ。
02MR.BRIGHTSIDE
記念すべきデビュー・シングル曲。煌めくアルペジオと4つ打ちのビートに乗せて矢継ぎ早に繰り出されるヴォーカル。そこから感動的な盛り上がりをみせるサビへと繋がっていく構成は落涙ものの素晴らしさ。メロディメイカーとしての力を遺憾なく発揮している。
03SMILE LIKE YOU MEAN IT
ニューウェイヴ調のギターとキーボードのフレーズが絡み合って作り出す浮遊感のあるサウンドと、ブランドンの漂うようなヴォーカルが絶妙のシンクロをみせるナンバー。流れるようなメロディの美しさには思わず聴き惚れてしまう。
04SOMEBODY TOLD ME
キラーズの名を一躍有名にした大ヒット・ナンバー。スペイシーなキーボートとへヴィなギター・サウンドが融合したダンス・ロックだ。甘美なメロディと激しいビートがフロアを即炎上させるキラー・チューン。
05ALL THESE THINGS THAT I'VE DONE
ピアノの音色を冒頭にフィーチャーしたメロウ・チューン。心地良い疾走感に乗せて奏でられる透明感のあるメロディが風のように胸の中を通り抜けていく感覚は壮快。後半のゴスペル・コーラスが降り注ぐ展開は感動的だ。
06ANDY, YOU'RE A STAR
乾いたギター・サウンドと粘り着くようなダビーなサウンドが水と油のように交わることなく同居している不思議な曲。ダークで抑圧的な前半部から、聖歌のごとく清らかで開放的なサビへの転調は、そのギャップもあり非常に感動的なものとなっている。
07ON TOP
80年代テクノを感じさせる大仰なキーボード・フレーズをフィーチャーしながらも、サウンド的には直球のギター・ロック。UKの伝統ともいえる憂いを含んだ疾走感のあるメロディアスなサウンドを聴かせてくれる。
08CHANGE YOUR MIND
乾いたギター・カッティングにチープなキーボードがアクセントを加えている疾走感のあるギター・ロック。甘美かつダークでありながら、骨太なバンド・サウンドを前面に押し出している部分には90年代のニュー・オーダーを感じさせる。
09BELIEVE ME NATALIE
グルーヴィなドラムを中心に煌びやかなギターやキーボードが絡み合い、大きなメロディの渦を生み出していくスペクタクル・ナンバー。この手の曲の特徴としてのテンポの遅さは感じさせず、むしろスピード感を感じさせるあたり、バンドの力量がうかがえる。
10MIDNIGHT SHOW
金属的なギターとスピーディなドラムが印象的なロック・チューン。ニューウェイヴ調のサウンドとブランドンのダークなヴォーカルに、フランツ・フェルディナンドとのリンクを感じさせられる部分もチラホラ。
11EVERYTHING WILL BE ALRIGHT
ルーズなビートと浮遊感のあるシンセ・サウンドを前面に押し出した、エレクトロニカ的なアプローチを試みた一曲。祈るようなブランドンの声質もさることながら、幾重にも重ねられたヴォーカルが織りなす透明感のあるサウンドがとにかく美しい。
12GLAMOROUS INDIE ROCK & ROLL
まさにキラーズのサウンドを一言であらわしたタイトル通り、彼らの原点ともとれるナンバー。ルーズなビート、ギター・サウンド、ブランドンの高らかなヴォーカルなどに、デヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』の影響が見え隠れしている。
13THE BALLAD OF MICHAEL VALENTINE
キーボードとコーラス・ワークで構成されたイントロから雪崩れ込むミドル・ロック・チューン。少し土臭いギターが生み出す心地良いドライヴ感にハンドクラップでアクセントをつけるなど、終始ハッピーなサウンドで楽しませてくれる。
14UNDER THE GUN
美麗なアルペジオの生み出すメロディと前のめりのビートがあっという間に駆け抜けていくメロディアスなロック・チューン。たった2分半の間にキラーズのサウンドのすべてが詰め込まれている、密度の高いナンバーだ。