ガイドコメント
マンチェスター・ムーヴメントの中核を担い、世界的にも高い評価を得た『ザ・ストーン・ローゼズ』に続く94年発表の2ndアルバム。さらに骨太になった王道ロックで、日本における90年代UKロック・ブームを象徴する一枚となった。
収録曲
01ブレイキング・イントゥ・ヘヴン
02ドライヴィング・サウス
94年の2ndアルバム『セカンド・カミング』収録曲。ジョン・スクワイアのブルージィなギターが炸裂。それをレニの強靭なドラムが支える。力強くてダンサブルなバンドのグルーヴ感が漲るロック・ナンバー。
03テン・ストーリー・ラヴ・ソング
04デイブレイク
冒頭からファンクなギター・カッティングで酔わせてくれるグルーヴィなナンバー。レッド・ツェッペリン風ギター・リフがプログレッシヴ・ロック風オルガンと併走する終盤は、さながら90年代仕様の70年代ロックとでも表現すべきか。
05ユア・スター・ウィル・シャイン
アコースティック・ギターを基調としたハーモニックなフォーク・ナンバー。誰からも歌が下手と指摘されるイアンの、「歌は心で歌うもの」とでも言いたげな歌唱がなかなか沁みる。サイケデリックな音響も効果的だ。
06ストレート・トゥ・ザ・マン
1、2作目の収録曲中、唯一となるイアン単独での作曲クレジット。ジョン作の曲が“黒っぽい”のに対し、“黒い”のがイアン作のこの曲。スティーヴィー・ワンダーに通じる曲調に、ジョンとの似て非なる音楽性も明白だ。
07ベギング・ユー
08タイトロープ
アコースティック・ギターを基調に、イアン、ジョン、レニの三者が合唱するシンプルなナンバー。パーカッションが鳴り出す後半では、米国南部音楽に近接した頃のローリング・ストーンズに似たルーズな魅力が味わえる。
09グッド・タイムズ
いつになくロック・バンド然としたサウンドが、彼らの作品にあっては逆に新鮮に感じられるナンバー。ロックの約束事を律儀に踏まえたサビやソロ、そして骨太なグルーヴは、同時期のクーラ・シェイカーを思わせる趣がある。
10ティアーズ
ジミー・ペイジがイントロを聴いた瞬間に苦笑しそうなほど、レッド・ツェッペリンな作風。静かな序盤からハードでドラマティックな山場へと転じる劇的な作風やギター・ソロは、「天国への階段」からの影響が濃厚だ。
11ハウ・ドゥ・ユー・スリープ
より練り込んだアレンジと安定したバンド・サウンドで、デビュー作の収録曲を演じ直したようなギター・ポップ。曲を通しての抑揚やサビの雰囲気など、後続バンド(特にオアシス)の曲作りの手本にされたであろう1曲だ。
12ラヴ・スプレッズ