ガイドコメント
ニューヨークを代表するクールなバンド、インターポールの2ndアルバム。ヨーロッパを席捲した前作や2003年サマーソニックで見せたステージと同様、ロックの真髄と言うべき音を聴かせる。
収録曲
01NEXT EXIT
オルガンで幕を開けるイントロは賛美歌のよう。緩やかに紡がれていく美しいメロディと歌は、デビュー作『ターン・オブ・ザ・ブライト・ライツ』と比べて格段に明るく、希望に満ちあふれている。
02EVIL
ずっしりと重量感を増したベースとドラムを軸にギターが彩りを添え、サビでは得意の美メロを炸裂させる抑揚の聴いた構成もさることながら、弾むようなサウンドが非常に心地良い。ピアノの軽快なフレーズもはさむなど、非常にポップなロック・チューンだ。
03NARC
ニューウェイヴなギターのフレーズから一転、美メロが伸びやかに突き抜けていくエモーショナルなミドル・チューン。感動的な広がりを見せるサウンド・スケープはミューズやコールドプレイにも匹敵する美しさ。
04TAKE YOU ON A CRUISE
乾いたギター・カッティングやメランコリックなサウンドといい、インターポールがそもそも持っていた耽美的ニューウェイヴ・サウンドを前面に押し出したナンバー。彼らにしては王道ともいえる作りだが、美しさと世界観の完成度はずば抜けて高い。
05SLOW HANDS
野太いギターと性急なビートが走り抜けていくロックンロール・ナンバー。ニューウェイヴとガレージを融合させたような現代的なサウンドやアルペジオの醸し出すメロディの美しさなどに、ニューヨーク・バンドならではのアート志向を感じさせる。
06NOT EVEN JAIL
垂直に叩きつけるような力強いビートとメランコリックなサウンド・スケープが繰り広げる、壮大な世界観とドラマティックな構成には涙せずにはいられない。すべてを飲み込んでしまうような美メロの波にひたすら圧倒される。
07PUBLIC PERVERT
音像をしっかり作り込む彼らとしては肩の力の抜けたサウンドだが、一見ラフに感じる構成やセッションには緻密な計算が施されている。適材適所にフレーズを入れこんで作られたメロディは無駄がなく、洗練された響き。バンドとして新境地を見せている。
08C'MERE
シンプルなリズム・ギターを基盤にしながらも、サイド・ギターがさまざまな色合いを添えることでメロディ全体を華やかに彩っていく。派手さはないが、小粋な技に思わず唸るような一曲。音の美しさにこだわり続ける彼ららしい曲と言えるだろう。
09LENGTH OF LOVE
へヴィなギターとダークなヴォーカル、光にも似た美麗なキーボードが同居している、なんともアンビバレンスな曲。光と闇、秩序と混沌といった相反する属性が渾然一体となり、不協和なサウンドを奏でている。
10A TIME TO BE SO SMALL
陰鬱としたヴォーカルと憂いを含んだサウンド、滴のようにこぼれ落ちるアルペジオ。退廃的かつ刹那的だからこそ際立った美しさが見える。彼らの原点でありひとつの到達点ともいえる完成度を誇るナンバーだ。
11SLOW HANDS
12SLOW HANDS
仕様
CDエクストラ内容:「SLOW HANDS」 (VIDEO)箱付き