ガイドコメント
『ロンドン・コーリング』発売25周年記念の紙ジャケット・シリーズ。モット・ザ・フープルのプロデューサー、ガイ・スティーヴンスを迎えて制作された79年の3作目で、全ロック・ファン必聴の一枚。
収録曲
[Disc 1]
01LONDON CALLING
02BRAND NEW CADILLAC
50年代のロカビリー・シンガー、ヴィンス・テイラーの代表曲を、彼らのパンク・スタイルを生かして鋭い切れ味でカヴァー。自分たちのルーツをハッキリと示す、男気あふれた彼らの姿勢が最高にクール!
03JIMMY JAZZ
彼らの渋くダンディな一面を知ることができるジャジィなナンバー。パンク・ロックの代名詞的存在でありながら、その奥深いルーツと幅広い音楽性、そしてそれらを具現化する確かな演奏力に驚かされる。
04HATEFUL
アップ・テンポの勢いあるリズムと、どこか懐かしい雰囲気を持つメロディが印象深いナンバー。ジョー・ストラマーのかすれた歌声に重なる、ミック・ジョーンズの伸びやかなコーラスも心地良く、とても爽やかな作品に仕上がっている。
05RUDIE CAN'T FAIL
ジョー・ストラマーとミック・ジョーンズのツイン・ヴォーカルが最高のコンビネーションをみせる、楽しそうな雰囲気に包まれるレゲエ・ナンバー。バックを固める力強いドラムとホーンに、自然と体が動き出すこと間違いなし!
06SPANISH BOMBS
スペイン戦争をテーマにした、政治的メッセージの強いストレートなロック・ナンバー。ジョー・ストラマーのどこかやるせない歌声が、シリアスな歌詞とあいまって、骨太なサウンドの中でもの悲しく響いている。
07THE RIGHT PROFILE
力強い演奏とパワフルなホーンの響きが印象的なナンバー。ジョー・ストラマーの存在感のあるダイナミックなヴォーカルが味わい深く、その感情剥き出しの激しさが、単調に聴こえがちな曲にうまく抑揚をつけている。
08LOST IN THE SUPERMARKET
甘美なメロディとミック・ジョーンズのささやくような歌声が印象的なナンバー。ジョー・ストラマーが少年時代のミックについて書いたという詞も、“スーパーマーケットで迷子”というタイトルからして興味をそそられる。
09CLAMPDOWN
「クランプダウン(背後からのねじ上げ)みたいな労働の中で、最初の殺人(自分を殺す)をする」 と、労働者たちの苦しみを痛烈に吐き出したナンバー。曲全体を力強く牽引するドラムが印象的で、詞の深刻なメッセージをより強く打ち出している。
10THE GUNS OF BRIXTON
怪しいベース・ラインとニヒルな歌声が、曲全体にどことなく意味深で独特な空気を漂わせている、ゆったりとしたレゲエ・ナンバー。要所で「ボヨヨ〜ン」と気の抜けるような音が入っていたりと、実験的な試みを感じる楽曲。
[Disc 2]
01WRONG 'EM BOYO
シャッフル・ビートの哀愁漂うロックから、突如ノリノリのスカに変化する、彼らの柔軟な音楽性と冒険心がここぞとばかりに発揮されているナンバー。軽快なリズムと気ままなコーラスに、いやが上にも心が躍る。
02DEATH OR GLORY
「何事にも熱意を持て!」というメッセージの込められた、芯のあるストイックな歌詞。刹那的なパンク・ムーヴメントの中心的存在でありながら、物事に真剣に取り組む彼らの実直な姿勢が読み取れる、ストレートなロック・ナンバー。
03KOKA KOLA
威勢のいい“エレベーター上昇!”のかけ声で始まり、1分47秒であっという間に駆け抜ける、ノリの良いロック・ナンバー。男臭いジョー・ストラマーのヴォーカルに、少しズレた感のあるコーラスが曲に絶妙な味わいを持たせている。
04THE CARD CHEAT
ミック・ジョーンズの伸びやかな歌声をピアノとホーンの美しい音色が包み込む、ドラマティックなミディアム・ナンバー。パンクの枠を超えた、ロック・バンドとしてのクラッシュを見せつけた一曲だ。
05LOVER'S ROCK
甘く切ないギターの音色、恋人への愛情を説く歌詞、憂いを含んだ繊細な歌声と美しいバック・コーラスが映えるスロー・バラード。ラテンのリズムが入ってにぎやかさを増す展開を持つ、アイディア満載の楽曲。
06FOUR HORSEMEN
猛々しく吠えるようにして歌うジョー・ストラマーのヴォーカルが印象的な、ストレートなロックンロール・ナンバー。特に後半、ジョーの畳み掛けるような勢いあるシャウトにますます圧倒される。
07I'M NOT DOWN
「いつも打ちのめされてきた/しかしダウンはしない」と不屈の精神を歌った、励まし勇気をくれる、スピード感あふれるロック・ナンバー。心が折れそうな時にぜひとも聴きたい一曲だ。
08REVOLUTION ROCK
ジャッキー・エドワードとダニー・レイのカヴァー。3コードのパンク・ロックだけに収まろうとせず、以後も音楽的変遷を続けた彼らの、表現に対する貪欲な姿勢が顕著に現れている完成度の高いレゲエ・ナンバー。
09TRAIN IN VAIN
どうしようもなく落ち込んだやるせない感情を、ミック・ジョーンズがノリ良く歌うダンサブルなナンバー。発表当時のアナログ盤『ロンドン・コーリング』では隠しトラック扱いだったが、米国でシングル・カットされ、トップ40に入る大ヒットを記録。