ミニ・レビュー
某消費者金融のCMソングでなじみのあるデビュー・シングルを含めた、初フル・アルバム。メンバー全員山形県出身で幼なじみというプロフィールからも、熱くてやんちゃな素顔がうかがえる。ポップスもロックもいける、真っ直ぐで爽やかなバンド・サウンドは胸キュンもの。
ガイドコメント
プロミスのTV-CFソング「Silent movie」で注目を集めた4人組ロック・バンド、サザーランドの1stアルバム。類い希なメロディ・センスとバンドのグルーヴに定評のある彼らの魅力が凝縮されている。
収録曲
01Silent movie
井上和香の笑顔がキュートなプロミスのCMソングに起用された、サザーランドのデビュー曲。亡くなった幼なじみへの想いを綴った切ない一曲。哀しいだけでなく芯の強さを感じる爽やかなメロディ・ラインが印象的。
02君となら
ずしりと重いハード・ロック調のギター&ベースと爽やかなヴォーカルとの対比が面白い。ポップさを忘れないアレンジが聴く者を置いてきぼりにせず、歌に込められたメッセージをしっかりと届けてくれる。
03Dream of reunion
12弦ギターの特徴を活かした繊細な音の響きが、旅立ちを歌った若者の気持ちを見事に表現している。新しい世界に飛び出したばかりだった、当時の彼らの心境がリアルに封じ込められた生々しい仕上がりは、感動的。
04悲しみのうた
胸を引き裂くような鋭いギターの音は、争いごとばかりの世の中にうんざりしている彼らの姿を見事に表現している。オーソドックスなロック・ナンバーでありながら、彼らの真摯さが唯一無二の個性を作り出す。
05涙雨
静かで優しいギターと、タイトにまとまったリズム隊に支えられたヴォーカルは、力強さと儚さの間を行ったり来たり。それは、当時20歳そこそこだった彼らのリアルな感情の現われで、その率直さに輝かしい魅力が感じられる。
06GATE
目指している世界への「入り口」が見つからず、もがき苦しんでいた頃の日々について書かれた曲とのこと。刺々しいギターや一心不乱なヴォーカルにそんな彼らの焦りが表現されていて、物凄い迫力を帯びて迫り来る。
07スカイ線の向こう
4人のメンバーがそれぞれの楽器でぶつかり合い作られるサウンドに、ロックの醍醐味が体感できる。徐々に調和していく4人の心と、突き抜けていくヴォーカルは感動的。若さあふれる躍動感は、常に人を巻き込む力がある。
08その瞳のかげり
覚えやすいメロディが気持ちいいミディアム・テンポのバラード・ナンバー。過不足なく枠組みを作るベースやドラム、ムーディなギターなど、デビュー・アルバム収録曲にして、すでにかなりの実力を兼ね備えていることが分かる。
09MONSTER
アップ・テンポに突っ走るスピーディなナンバー。毒を孕んだ鋭いギター・リフが印象的。それでいて、キャッチーであり続けるメロディ・ラインは見事。堂々と歌われるヴォーカルの絶対的な風格が、楽曲の世界観を1つに繋ぎとめている。
10その先に霞んでいる
「プロミス」CMソングとして注目されたナンバー。悩み苦しみながらも1つ1つ前に歩み出ようとする瑞々しさと誠実さがキラキラと輝く。ダイナミックでありつつノスタルジーをも表現しているギターが秀逸の出来。
11Believe
アコースティックにアレンジされたラブ・ソング。ほとんど弾き語りのスタイルで構成されたシンプルさが、よりリアルな世界を描き出す。デビュー・アルバム『SCREEN』のラストを静かに締めくくる感動的なナンバーだ。